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特集 スクールユニフォーム(1)/未来見据え、新たな戦略で臨む

2017年08月21日(Mon曜日) 午後2時44分

 スクールスポーツ市場は、一部のスポーツ専業メーカーの事業集約の影響から、そのパイを巡ってシェアを広げようとする動きが活発化している。この2~3年は市場再編が進むことで事業拡大を見込めるが、2020年の東京五輪以降、加速する生徒減が追い打ちをかけ、市場の停滞が予測される。各社は五輪後を見据え、新たな戦略の練り直しに迫られる。

〈学生服メーカー/“国産”生かしシェア拡大〉

 学販スポーツウエアメーカーなどで構成する任意団体のスクール・スポーツ・クラブ(SSC会)によると、16年度のスポーツウエア全品目の総販売数量(13社)は3年ぶりに増加した(6面参照)。減少傾向から再び増加に転じたのは、アシックスジャパンの事業集約で、学校でのモデルチェンジが活発化していることがありそうだ。

 さらに学校納入向けの売り上げ全体に占める輸入品のシェアは15年度の24%から、16年度は20%に低下。国内の生産比率が高い学生服アパレルが、攻勢を強めていることが反映したものとみられる。

 実際、大手学生服メーカーの17年入学商戦は好調だ。明石スクールユニフォームカンパニー(明石SUC、岡山県倉敷市)は17年5月期、前期比6%の増収となった。「デサント」の採用が150校超と過去最高で「ブランドの認知度が高く、ラインアップの充実で選択肢が広がっている」(宮﨑将人スクールスポーツ部長)ことが奏功した。

 トンボ(岡山市)は「ヨネックス」と「ビクトリー」合わせて200校以上の採用校を獲得し、17年6月期は増収を見込む。自社で設備を持つ昇華転写プリントを活用したデザインへの引き合いが多く、「オリジナリティを出したい学校のニーズを捉えることができた」(橋本俊吾執行役員)。

 菅公学生服(岡山市)は、小中高で「例年より採用校が増えた」(田北浩之提案企画部長)ことで、17年7月期は増収となる見通し。スポーツの専任担当者を関東だけでなく、昨年8月関西に置き、地域密着で学校との関係を強化できたことも増収につながった。

〈“生徒減”に立ち向かう〉

 来入学商戦に向けても「今年並みに動いている」といった声が聞かれ、2年後まで拡大の余地があるとの見方が強い。しかし、20年の東京五輪以降、生徒減の影響が顕著になってくるものとみられる。

 先を見据え、各社が取り組むのがまずブランド力の強化だ。菅公学生服は「リーボック」でデザインを一新し、改めて発信を強める。明石SUCはスイムウエアで知名度のあるブランド「アリーナ」の販売に乗り出した。瀧本(大阪府東大阪市)は、今期から「ロット」のデザインで昇華転写プリントを採用した商品開発を強める。

 新たな視点から市場を掘り起こす動きもある。トンボはビクトリーでウオームアップウエアの概念を取り込んだ「ピストレ」を投入するなど、これまで市場になかったアイテムを創出する。

 児島(倉敷市)は、手入れのしやすさなど“保護者に向けた戦略”を強め、実用的な機能性を高めた商品を充実。節約志向で「以前ならシャツを2枚買っていたところが、1枚しか買わないケースが増えている」(山本真大副社長)ことから、新たな付加価値を追求しながら商品単価も高める。

 組織面でも一段と企画力や開発力を高める動きが加速。トンボは6月に従来のMDと販売を統合し、営業統括本部を新設、「営業がくみ取ったニーズを商品開発に落とし込みやすくする」(橋本執行役員)のが狙いだ。

 菅公学生服は8月にスポーツだけでなく制服も一緒に商品企画する提案企画部を設置、「制服との企画で垣根をなくし、トータルでの提案を強める」(田北部長)ことで、細分化する市場のニーズをうまく捉える。

〈スポーツ専業メーカー/巧みなブランド戦略で広げる〉

 スポーツ専業メーカーの17年入学商戦も善戦する。ギャレックス(福井県越前市)は地域別営業戦略やブランド戦略が奏功し、新規校の獲得が順調に進んだ。ライセンスブランドの「フィラ」「スポルディング」がともに新規校を獲得したほか、基幹自社ブランドの「ギャレックス」も採用校を増やした。

 今後も「まだまだ拡大の余地はある」(田中誠一郎スクール営業グループグループマネージャー)として、それぞれのブランドで新商品を投入しながら、市場開拓を進める。

 ユニチカメイト(大阪市中央区)は「プーマ」の累計採用校が今期(18年3月期)で100校を超える見通し。世界的に知られるブランドであることや、シンプルなデザインと色合い、着心地の快適さに配慮した設計、機能素材の採用で支持を広げている。女子高校生用にレディース専用商品を新たに企画するなど販売を加速させ、「20年4月には累計150校の採用を目指す」(清水義博社長)。

 スポーツ専業メーカーは、海外生産比率が高いだけに、国産比率が高い学生服メーカーに比べ、採用校の獲得に向けた追い込みをかけにくい事情がある。

 しかし、ブランド力に加え、スポーツ分野の先端のトレンドを取り込んだ商品開発で、市場での優位性を高める。