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特集 アジアの繊維産業Ⅱ(1)/世界が認める高機能素材/台湾/日本市場に熱烈アピール

2017年09月15日(Fri曜日) 午後4時20分

 台湾の高機能テキスタイルメーカーが日本市場への関心を強めている。主力とする欧米向けの販売量が伸び悩む中、東京五輪に向けた日本の機能衣料市場の拡大に期待する。強みとなるのは欧米の世界の著名なスポーツブランドでも実績が豊富な高機能・高感度素材だ。今年11月1、2日に大阪市中央区のOMMビルで開かれる台湾繊維総合展「パンテキスタイルフェア大阪2017」では過去最多の51社が来日し最新の素材をアピールする。

〈台湾繊維輸出ほぼ横ばい〉

 台湾の繊維産業の特徴として①アパレルより素材メーカーが中心となって形成②汎用品ではなく技術力を背景とした高付加価値品の輸出型③合繊リッチのテキスタイルが輸出の中核で、その多くは機能性や高感度を強みとする④織物よりニットの生産量が多く、欧米のスポーツ・アウトドアアパレルへの実績が豊富――といったことが挙げられる。

 台湾の繊維産業連合会に当たる紡拓会(台北市)がまとめた2017年上半期(1~6月)繊維品貿易概況によると、輸出総額はほぼ横ばいで、前年同期比0・3%減の49億6800万米ドルだった。

 輸出額を構成する主要5品目の内訳と構成比率は、テキスタイル68%▽紡績糸15%▽ファイバー8%▽衣料品5%▽その他の繊維品4%――で、生地輸出が大半を占める。前年同期比の増減は、テキスタイルが0・3%増の33億9500万米ドル、次いで紡績糸は2%増の7億3700万米ドル。ファイバーは7%減、衣料・服飾品は8%減で、その他の繊維品は7%増だった。

 最も輸出規模が多いテキスタイルの内訳は織物が前年同期比2%減の9億8700万米ドル、ニットが1%増の12億2800万米ドル、その他の特殊生地が1%増の11億8千万米ドルだった。特殊生地はコーティング生地、タオル、不織布、その他織物で構成。

 主要な輸出先は輸出額の高い順からベトナム、中国、米国、香港、インドネシアで全体の6割を占める。1位、2位のベトナム、中国は内販よりも協力工場での縫製を経て、欧米市場へ製品として供給するケースが多い。

 各国への輸出額と増減はベトナムが5%増の10億6800万米ドル(輸出額構成比率22%)、中国が1%増の9億2900万米ドル(19%)、米国が7%減の3億5300万ドル(7%)、香港が10%減の3億1600万ドル(6%)、インドネシアが2%減の2億7400万ドル(6%)だった。

〈主力の欧米への伸び鈍く〉

 紡拓会の資料から分かるように台湾の繊維品の上半期輸出総額はほぼ前年同期比横ばいだ。繊維ニュースが8月下旬に台湾の有力テキスタイルメーカー20社に輸出が伸び悩む原因について聞いたところ、「新興国の技術が高まったことで欧米市場での競争が激化したため」「欧米では市場は飽和状態で、新規開拓が容易でないから」、それ以外にも「近年、相次ぐテロ事件が欧米の衣料品消費にも悪影響を与えている」といった声も聞かれた。

 台湾の繊維産業は、新興国で安くてより良質な生地生産が可能となったことにより、日本と同様、絶えず独自の創意工夫で高い付加価値を生み出し大規模な展示会で市場へアピールし続けなければ業績拡大は容易ではない――という状況にあるようだ。

 そうした中で、台湾素材メーカーの間で近年、日本市場への関心が高まっている。その背景には、先述した欧米市場の鈍化からくる新規開拓の必要性や主力マーケットでの消費意欲の冷え込みに加え、欧米ならではのビジネススタイルにもある。

 あるテキスタイルメーカーのトップはこう話す。「欧米ブランドの発注は今年、大量にあったからといって、来年同じ量の発注あるとは限らない。これまであった需要が、翌年に急にゼロになることもよくある話。欧米企業だけの取引だけでは経営に安定性を欠いてしまう。その点、日本企業とは容易に商売はできないが、一度できれば継続的な発注が見込める」

 日本の変化に富んだ四季折々の天候や気候は、台湾が強みとする機能繊維の絶好の活躍の場でもある。

 合繊素材メーカー海外営業部の日本市場開拓担当は「日本は寒冷地帯から熱帯までさまざまな気候があり、四季を通じて、寒暖差も大きい。台湾の強みとする機能性テキスタイルへの潜在需要は高いはず」とみる。

〈東京五輪で高まる期待〉

 東京五輪での市場拡大に期待する企業も多い。「アディダス」「ナイキ」「プーマ」といったブランドで実績のあるテキスタイルメーカーの広報担当者は「2020年に向けて日本の消費者のスポーツへの関心は徐々に高まりつつある。健康志向と併せてアウトドアやスポーツウエアの需要はこれから高まっていく」と予想する。

 五輪に関連して5社ほどの台湾企業が従来のスポーツ向けの生地を、ビジネスユニフォーム用途にも広げ始めたのも印象的だった。「スポーツウエア向けをメインとしてきたが、建設業向けのユニフォーム(作業服)としても既に、日本のユニフォームアパレルに提案を始めている」という。

 テキスタイルの機能面では、吸汗速乾や、抗菌防臭、UVカット、撥水(はっすい)機能など、これまで後加工で付加していた機能を原料加工・改質や編み・織り組織によって出すという企業も多く、より洗濯への耐性を強調する。

 エコ素材の充実も今回取材した繊維企業の特筆すべき共通点だ。やはりメインの欧米向けで“環境配慮”が高い価値となるため、多種多様なエコ素材を開発している。ペットボトル再生繊維は日本の企業でも良く知られるようになったが、漁網再生ナイロン、もみ殻を原料に混ぜた素材、低温染色による環境負荷の低減などさまざまな環境配慮型素材をそろえる。

 環境保全への繊維でのアプローチは台湾企業が日本の一歩先を歩んでいると言える。11月1、2日に大阪市中央区で開かれる台湾繊維総合展「パンテキスタイルフェア大阪2017」ではこうした“エコテキスタイル”も大きな見どころの一つとなるだろう。