特集 アジアの繊維産業Ⅱ(10)/わが社のアジア戦略

2017年09月15日(Fri曜日) 午後4時34分

〈グンゼ繊維資材事業部/一貫体制で年内本格稼働〉

 グンゼ繊維資材事業部のベトナム・ハノイのミシン糸工場が、一貫工場として年内にも本格稼働する。第2期工事を進めている染工場と排水設備が近く完成。仮撚機も1台から3台に増やし、当面は月産40トンを目指す。

 本工場は独資によるもので、工場建屋は染色を含めて約1万5千平方メートル。ミシン糸の供給先はインナーウエアを中心にニットやスポーツウエアなどの縫製工場。糸は日本と欧米に向ける。

 近くの仮工場でのミシン糸生産・販売を2016年に開始し、今年4月には染工場を除いて本工場が稼働した。完成後の染工場は、大・中・小合わせて20台以上の糸染め機を持つ。

 扱う糸は、同社のバングラデシュ工場で好調な販売を続けるポリエステルウーリー糸「ポリーナー」と、強撚と特殊撚り止め加工によって撚り戻りを防止し、ストレッチ性も持つ「玲玲(リンリン)」など、スパンとフィラメントのミシン糸。ポリーナーと玲玲をベトナム工場の主力戦略商品とする。

 目標月産量は100トンだが、約10トン規模からスタートしている。これを早い時期に40トンにまで持って行く計画。従業員数は40トン段階で約100人、100トン段階で200~250人を想定する。その都度、従業員を募集し増員する。

 ホーチミン周辺の需要に対応するため7月、同市に事務所と保管倉庫を置いた。さらに、カンボジア・プノンペンにも拠点を構える考え。

 ハノイは欧米や日系などの縫製拠点が増加。糸だけでなく、「商社」としての機能を使い、衣服に関係する各種資材も積極的に供給する。

〈QTEC/スピード感でニーズに応える〉

 日本繊維製品品質技術センター(QTEC)の奥田利治理事長は“メリハリ経営”を推進する。アジア戦略も、顧客ニーズに即したスピード感のある変革と実行を進める。

 中国では新設した南通試験センターを現地法人化するとともに、8月には青島試験センターも現地法人化し、機械設備や人材など業務内容の充実を図っている。無錫試験センターは羽毛試験に特徴があり、上海総合試験センターは機能試験や特定芳香族アミンの分析など安全性に関する試験で定評がある。

 この上海総合試験センター、無錫試験センター、南通試験センターの華東地区3拠点による華東会議も行っており、「3拠点が協力して横連携し、面で戦う」方針。華南地区の深セン試験センターは見直し作業を進めている。

 2015年11月開設のベトナム試験センターは現地でセミナーを開くなど知名度の向上にも力を注ぎ、効果が出てきた。日系の繊維検査機関として最も早く進出したバングラデシュのダッカ試験センターは好調を維持。「10年に進出したが、競争の第2ステージに入った。欧米を意識する時期に来ている。ローコストオペレーションも進める」という。

〈ボーケン/中国内販対応にも注力〉

 ボーケン品質評価機構(ボーケン)の堀場勇人理事長は「中国では領域を広げると同時に、内販向けにも取り組む」考えだ。東南アジアでは「縫製の拠点か、素材を含めた生産の拠点かを見極める。東南アジアは単純な中国のコピーではなく、顧客が求めるものに対応していく」と語る。

 上海試験センターはCMA(計量認証証書)、CNAS(中国が国家基準として与える試験室認定)を取得し、内販にも対応できる体制だ。抗菌試験の指定機関でもあるが、営業拠点としての特徴も出していく。

 常州試験センターは年内をめどに新ビルに移転し、業容を拡大する。CMA、CNAS取得の準備も進める。杭州、南通、上海、常州の連携を軸に華東地区を固める。青島試験センターは、日本向け事前検査事業を拡充、今後の需要増を期待。広州試験センターは衣料品のほか、SGSの協力を得て家具や服飾資材の試験にも対応する。

 メルマガ「ボーケンに聞いチャイナ!」で中国情報も提供する。「現地化を進めながら、業務を広げていく」。

 東南アジアではジャカルタ、バンコク、ホーチミンに拠点を設け、カンボジアにはプノンペン事務所を開設している。

〈ニッセンケン/インドモデルを広げる〉

 ニッセンケン品質評価センター(ニッセンケン)の駒田展大理事長は「海外進出は自由度の高い自前主義を基本にする。欧州の大手検査機関との厳しい競争になるが、ニッセンケンらしい特徴を出して展開していく」と語る。

 インドには2014年にジャイプル事業所を開設して進出。デリーとチェンナイに支所も設け、情報面を含めて日本企業のインド進出をサポートする。現地では試験業務だけでなく、品質コンサルティングチーム(QCSチーム)を設置し、生産の現場での問題解決を図るほか、工場紹介など生産のコンサルタント役も担う。「インドはJIS、ISO、内需向けと三つの規格で対応。インドでのやり方をバングラデシュ、さらにベトナムの拠点にも広げていきたい」と言う。

 中国・南通には3事業所(南通、崇川、南通人民路)を設け、試験だけでなく検品も行う。このほど四つ目となる「南通港閘区検品センター」を開設。南通の検品需要の高まりに対応するためだ。ミャンマーとカンボジアでも検品業務を行っている。煙台の山東ニッセンケンは年内に開発区へ移転する計画。大連にも支所を設けており、中国縫製の北方シフトに対応している。