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特集 アジアの繊維産業Ⅱ(11)/カケンのアジア戦略/中国拠点の再強化進める/ベトナムでも知名度高い

2017年09月15日(Fri曜日) 午後4時37分

 カケンテストセンター(カケン)は中国の6拠点(上海、南通、青島、大連、寧波、無錫)を再強化している。また、韓国、台湾、香港、タイ、ベトナム、インドネシア、バングラデシュに拠点を設けて試験業務を行う。

 「中国は全般に堅調」と言うカケン。縫製工場の東南アジアや南アジアシフトはあるが、生地は中国製も多く、中国国内で生地試験するケースがあるためだ。短納期・小ロット生産でも中国の見直し機運がある。

 上海科懇検験服務は抗菌性試験を開始し、中国国内での短納期対応が可能になった。青島試験室は来年移転の計画で、大連試験室への依頼も増えている。ベトナムのホーチミンにはビューローベリタスと提携したBVCPSベトナムがある。日本の繊維系検査機関として最も早く進出したため、現地での知名度は高く、リピート顧客も多い。日本側スタッフは3人だが、他に日本から研修生も派遣している。衣料だけでなく、日本文化用品安全試験所(ブンカケン)やビューローベリタスと提携し、縫いぐるみや生活用品の試験も行う。

 バングラデシュは韓国のKOTITIと提携し、KOTITIバングラデシュの日本チームが日本向け試験を代行。インドネシアも試験量が増えている。ビューローベリタス経由でカンボジアの国内試験の依頼にも対応する。

〈需要増え試験室拡張/カケンベトナム試験室〉

 カケンベトナム実験室ではテキスタイルの試験依頼が急増中だ。今期(2018年3月期)、4~7月の試験依頼数は前年同期比2~3割増になっている。池田翔太郎室長は「現地調達を目的にベトナムでの素材開発が本格化している」とみる。

 このため、業務提携関係にあるフランスの第三者検査・認証機関であるビューローベリタス社のベトナム拠点BVCPSベトナムとも連携して試験室を拡張。洗濯試験機やピリング試験機など需要に沿った試験機を追加導入して対応能力を高める作業を進めている。報告書を作成する人員も従来比1・5倍に増やした。

 今後の需要増や消費市場としての発展を見据え、納期対応をはじめ、「難しい要望に応える体制」を訴求して差別化要素を固める。10年間、同国での試験に対応してきたノウハウ蓄積を優位性につなげる。

 カンボジア生産の需要を取り込むこともポイントの一つとする。池田室長は「5千枚弱から対応できる対日に適合した工場が出てきており、中国人が多い安心感がある」と見ており、プノンペンとバベット地区に無料ピックアップサービスを展開する利便性をアピールして顧客が持つ納期短縮需要を取り込む。

 また、「新しい部門を立ち上げてルーティン化する」作業も進めていると言う。

〈右肩上がりで試験受注増加/カケンインドネシア〉

 カケングループのインドネシア子会社、カケンインドネシアが堅調に試験受注を増加させている。2017年上半期(1~6月)も前年同期比20~30%増の受注となり、単体で黒字を確保した。羽生浩之社長は「インドネシア縫製で生地を現地調達する動きが加速していることが受注拡大につながっている」と話す。

 現在、SPAなどを中心にインドネシア縫製に使用する生地の調達を現地化する動きが強まる。このため生地の検査も現地で行うニーズが高まり、受注拡大につながった。生地検査だけでなくアパレルパーツなどの検査も拡大した。

 機能性試験も吸汗速乾性試験と形態安定性試験が定番化している。インドネシアで対応できない試験に対してもカケンの東京事業所と連携することで対応する。検品事業は中部ジャワ地区を中心に一定の受注を確保できている。

 羽生社長は「下半期も現在のペースで受注を拡大できる」と話す。SPAに加えてスポーツからの受注も増やす考え。さらに防止や手袋、鞄といった衣料以外の分野での試験も拡大させる。検品事業もカーテンや寝装などにアイテムを拡大させることで業容を拡大する戦略である。

〈機能性試験を充実/カケン青島試験室〉

 検査機関、カケンテストセンターの青島試験室はここ数年、インナーウエアの産地である地元のニーズに応えるため、機能性試験の拡充に取り組んできた。今後も試験機を追加導入し、機能性の試験項目を増やしていく方針だ。また強みの一つのセミナーも有効活用しながら、天津や北京など山東省以外での新規顧客の開拓も強化していく。

 顧客には日本向けのインナーを手掛けるところが多く、ホルムアルデヒドなどの有害物質の試験ニーズが多い。これに加えてここ数年は「機能性試験のニーズが増えている。吸水速乾の試験機を2台に増やすとともに、吸湿発熱の試験機を新規導入した」と杉田貴史室長は説明する。

 青島試験室の特徴の一つが、セミナーに力を入れている点だ。七つの項目のセミナーを用意し、顧客先や同試験室に顧客を集め、実施している。機能性加工や日本の法規についてのセミナーが特に好評。「顧客に頼られる存在を目指し、セミナーとその後のフォローを大事にしている」と言う。

 近年、中国沿海部からASEAN地域に縫製がシフトする一方、山東省での縫製は見直されつつあり、青島試験室の試験受託件数は横ばいで推移する。こうした中、「今後は攻めの営業が求められる。昨年、天津で初めてセミナーを開き、好評だった」。今後も北京など山東省以外の営業を強化していく。