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特集 アジアの繊維産業Ⅰ(10)/富士紡ホールディングスのアジア戦略/適材適所でモノ作り

2017年09月14日(Thu曜日) 午後3時38分

〈中国縮小しタイ増強/「BVD」とOEM強化/執行役員 フジボウテキスタイル社長 フジボウトレーディング社長 アングル社長 井上 雅偉 氏〉

 富士紡ホールディングスは、自社縫製工場である中国の富士紡〈常州〉服装やタイのジンタナフジボウで、「BVD」インナーの生産や量販店などのプライベート・ブランドのOEMなどを行っている。タイのタイフジボウテキスタイル(TFT)でも、紡績・編み立てに加え、縫製も開始した。タイの縫製能力を増強し、人件費が上昇している中国での生産の一部をタイに移管。適材適所でのモノ作りを進めるというのが同社のアジア戦略だ。

  ――中国の富士紡〈常州〉服装の状況は。

 織物製と編み地製の肌着を生産していますが、編み地製の一部をタイに移管しています。コスト的にタイの方がメリットがあるものを移管している形です。

 人件費の上昇で、中国の生産コストはやはり上がっています。「BVD」を中心に生産しているのですが、コストが上がったからといって販売価格を上げるのは容易ではありません。

  ――付加価値を高めて価格を上げることは。

 付加化価値を上げたら、高くても買っていだだけるかというと、必ずしもそうではありません。モノ作りの体制、作り方の工夫で、値上げせずにいかに対応するかということになります。

  ――中国生産の受け皿となるタイのジンタナフジボウの生産能力は大丈夫ですか。

 大丈夫です。注文が増えれば外注も使います。ただ、プライベート・ブランド品や、ナショナル・プライベート・ブランド品(量販店などとのコラボで展開するBVD)のOEMも強化しているので、タイ全体の縫製能力を上げる必要があります。TFTでも縫製を開始しました。現在、その増強を進めており、月産能力は11月ごろにほぼ倍増します。

  ――タイでも、労働力確保難が深刻化していると聞いていますが。

 確かにそうです。苦しいところですが、操業に問題が出るほどではありません。

  ――タイ以外の第三国に縫製拠点を作るということは。

 タイに既に拠点があり、協力工場もあります。これまでの蓄積があり、体制が整っています。もちろん、低価格品については、ベトナム、カンボジア、バングラデシュなどの協力工場で既に生産しています。適材適所でのモノ作りを進めます。

  ――BVDの海外販売は。

 一時拡大しましたが現在はわずかです。台湾で、代理店経由で販売していますが、それ以外は日本向けです。

〈ジンタナフジボウ/利益確保に精力傾ける/上半期は増収増益〉

 タイでのフジボウグループの中核縫製拠点であるジンタナフジボウ(JFC)の2017年度上半期(1~6月)は、前年同期比で売り上げ、利益ともに約30%増と好業績だった。日本向け輸出が特に期前半で順調に増加したことが寄与した。ただ、下半期はその反動のため減産となる見込み。今後はフレキシブルな対応力の向上と一人当たりの生産性を高めることに力を注ぐ。

 同社はフジボウグループの自社販売用インナー製品の主力生産工場で、東南アジア地区の中核拠点。「良いものを、より安く、タイムリーに供給する」ことを基本方針に、その深耕に取り組んでいる。今上半期の業績は好調だったが、今後は厳しくなるとみて生産体制を整備する。来期に向けて20人の減員を実施するなど筋肉質な体質を構築するとともに在庫の極小化にも取り組み、利益の上積みを図る。

 同社はこれまで、タイを中核に周辺国も含めて製品販売を試みてきた。しかし、日本向けの品質・コストであるため「商材そのものがマッチせず」、内販と周辺国への販売は一時休止の状況。生産工場としての機能を改めて追求し、原価低減と品質レベルの向上、短納期対応にしっかり取り組むことでグループ利益の確保に貢献する。ただ、販売の条件が整えば、「再び(内販や周辺国への販売)トライすることはありえる」としている。

 17年度は前年実績比6%の増産を見込むが、期中に会計処理方法が変更になったことなどで営業利益は20%減となる見込み。今期残り数カ月はこれを少しでも極小化することに努める。

〈タイフジボウテキスタイル/縫製設備増強が完了間近/上半期は増収増益へ〉

 タイフジボウテキスタイル(TFT)は紡績2万錘を保有し、丸編み機20台も保有する。近年は「紡績の受注が年々厳しくなっている」(岩國信利社長)ことや製品OEMが拡大基調にあることなどを受けて縫製設備の増強を図っている。同増強は今年11月ごろの完了を予定し、その後は現状の月産能力8万枚が15万枚に上がる。

 縫製設備の増強に伴い、紡績設備は一部縮小する。今後は、染色は協力工場に外注するものの、紡績、編み立て、縫製という一貫生産体制の強化を進め、全体の受注拡大を目指す。エネルギーコストを下げるために空調設備の一部更新も計画。引き続きコスト低減に努める。

 2017年度上半期(1~6月)業績は、前年同期比増収増益で着地した。昨年後半から受注が回復していたが、その流れが継続し、堅調な業績推移となった。ただ、下半期に入って受注が鈍くなっており、今後は厳しさを増していく見通しという。

 原糸の自販拡大方針を掲げ、数年前から種をまいてきた。この成果は着実に表れており、「徐々に(自販事業が)拡大、進展している」。自販比率は10%を超えた。汎用糸ではなく一工夫加えた商品で顧客開拓を進めており、強撚糸や「スーピマ」綿使いなどの提案が奏功している。

 同社の紡績は20~80番手のニット用純綿糸が主力で、編み地はインナー用途が中心。日本市場向けの「BVD」やタイ国内向けが主要販路。