メーカー別 繊維ニュース

特集 アジアの繊維産業Ⅰ(11)/わが社のアジア戦略

2017年09月14日(Thu曜日) 午後3時39分

〈三菱商事ファッション/全体最適な生産体制を〉

 三菱商事ファッション(MCF)は、東南アジアでの縫製オペレーションで各地域の強みを生かした生産アイテムに力を入れるなど、生産体制の全体最適化を進める。

 東南アジア縫製の中心の一つであるインドネシアでは2017年に入って「生産の中身がはっきりと分かれてきた」(ジャカルタ駐在事務所の桑本幸三所長)。大手SPA向けやスポーツが好調な半面、それ以外のアパレル向けが伸び悩む。カジュアル衣料や婦人服は素材調達の利便性やロット対応力から中国、ベトナム、カンボジアが中心となった。

 一方、中部ジャワ地区の最低賃金はカンボジアやベトナムを下回るなどインドネシア縫製の競争力は依然として強い。このためMCFでは各地域の特性に応じた住み分けでMCFとして生産の全体最適化を進める。婦人服や一般カジュアルなどはベトナムとカンボジアが担い、インドネシアはSPA向けやスポーツ、さらに東南アジア内販に向けて戦略的に生産基盤整備を進める有力カジュアルブランドなどの縫製を担う。

 そのためにもインドネシアでの素材調達強化に加えて、品質とリードタイム短縮に取り組む。「現地企業と一緒になって仕組み作りを進める」ことが今年のテーマ。さらに現地スタッフを含めた人材育成にも力を入れる。

〈双日/製造合理化し顧客に貢献〉

 双日のアジア戦略は、既存の製造機能を徹底して合理化し、顧客の利益に貢献することを目指す。主力の大手SPA向け製品OEM/ODM事業で展開する生産背景は中国に加え、インドネシア、ベトナム・カンボジアのインドシナ半島2拠点。各国・地域でおよそ3分1ずつ分け合う。拠点を拡充するよりも、設備投資によるキャパシティーの拡大や占有率の向上でパートナー企業との関係を深掘り、生産性の向上も求めていく。

 足元では、カンボジア生産の物量が伸びている状況。中国パートナー企業の移管先となっているほか、台湾系工場も活用する。縫製1工程で関税免除のメリットを受けられる同国では、幅広いバリエーションを持つ中国素材が活用できることも大きい。ホーチミンから管轄していたが、プノンペンの双日現地法人に繊維担当者を異動させた。

 一方、中国でも内陸部を開拓している。パートナー企業の進出先で10月から量産を始める拠点もある。中・長期的に沿岸部での生産がさらに困難になるとの見通しから、人員の確保が容易で、中国の素材背景を活用してアイテムの幅出しができる同地域の開拓に力を入れる。交通インフラの整備も進んでいるという。

 主要顧客の海外戦略が進展するのと同時に、早期納入への要望も継続して高まる中、市場近接地でのサプライチェーン構築は、顧客から求められる欠かせない機能となる。このため、ハノイ中心の北越エリアでの生産拡大も来年度以降の検討課題に入れるほか、賃金が上昇する国・地域で生産に占める人件費の割合を低くする取り組みを、オペレーションの蓄積に加え、さまざまな切り口で実施していく。

〈カイタックトレーディング/ワークウエアで活用拡大〉

 カイタックトレーティング(岡山市)は、ベトナム・ハイフォンの検品センターCNVの活用幅を広げる。ハイフォン周辺での縫製協力工場の開拓を進めるほか、日本の企業以外からも受注を増やす。

 CNVは日新運輸(大阪市此花区)との合弁で2015年に開設した。現在は、日本向けの自社OEMのワークウエアやオフィスウエアの検品・検針業務での活用が中心となる。ベトナムではワークウエアの現地一貫生産体制が向上しており、さらに関税メリットが得られる環境も整ってきた。

 ベトナムでのユニフォーム生産について貝畑拓哉副社長は、「中国生産とのコスト優位性は当面は維持できそうだ。ただ、ハイフォンでは人件費が上がり、周辺のまだ賃金の低い地域を中心に協力縫製工場の開拓を進める必要が出てきた」と語る。

 CNVでは、閑散期を中心にキャパシティーに余裕があることから、日系以外の外部から検品業務の受託も増やす意向を示す。特にベトナムでは米国向けの医療用スクラブの生産が多いことから、米国・ロサンゼルスのグループ会社で洗い加工場のカイタック・ガーメント・プロセッシングとの連携を生かし、米国からの受託拡大を目指す。

〈宇仁繊維/アジア全方位が拡大対象〉

 宇仁繊維(大阪市中央区)の中国法人は上海と北京の2カ所。2017年度は北京が5%増収、黒字確保となるものの、上海は2桁%の減収で赤字となる見込み。来期以降は日本から中国、日本から東南アジア縫製向けなどを強化するとともに、人材の育成・登用に力を入れ、中国事業の再構築を図る。東南アジアなどその他アジア市場向けは徐々に拡大しており、展示会出展も加速する。

 現状、北京現法には11人、上海現法には4人のスタッフがいる。日本製生地を現地企業に販売するというビジネスモデルに特化している点が同業他社と違う点で、現地仕入れは禁じており、対日OEM向けも原則行わない。両現法を合わせた売上高は4億~5億円。

 宇仁龍一社長によると、現地スタッフの定着率が低いことなどが苦戦要因だが、「中国市場には魅力があり、あきらめず続けていく」と再構築を期す。

 再構築に向けた策の一つが、日本からの直接輸出の拡大。対象を日系商社の中国拠点や対日東南アジア縫製品にも広げ、全体として中国市場を攻略していく。

 東南アジア市場向けも「種まきの段階」とはいえ、徐々に進展している。タイ、ベトナムでは伊藤忠商事とタッグを組んで展示会に出展しながら実績を積んでおり、インドやインドネシアも拡大対象とする。シンガポールの日本の商工会議所には同社の生地見本が置かれており、オーダーも入る。台湾、韓国向けも展示会出展などで伸ばす。以前からいる韓国人スタッフに加えて台湾人スタッフを採用したのもその一環。

 宇仁社長は「国内も同じだが、輸出拡大のためには人材が不可欠」と強調、人材の育成・登用に改めて力を注ぎ、全方位で海外市場開拓を続ける。