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特集 シルバー・介護ウエア(2)/女性、若者向けを強化/機能性とデザイン重視

2017年09月27日(Wed曜日) 午後2時29分

 高齢化が進み、深刻な介護職不足が続く中、介護ウエアメーカーは、女性や若者に向けたスタイリッシュなユニフォームをそろえ、市場を盛り上げる。厚生労働省の推計では、2025年には約38万人の介護職員の不足が見込まれ、担い手確保は差し迫った課題だ。機能性に加え、多彩なデザインをそろえた各社の最新商品を紹介する。

〈素材研究、蒸れ軽減/「介護のプロ」へ提案/ナガイレーベン〉

 ナガイレーベンは医療・介護用ウエア「PRO―FUNCTION(プロファンクション)」を前面に打ち出す。介護のプロに向けて開発したウエアで、機能素材を使い、脇や背中の蒸れを軽減した。

 入浴やリハビリ介助などで常に体を動かす介護職員は、汗をかきやすい。プロファンクションは、脇の下や肩甲骨の部分にメッシュを使い、通気性に優れる。接触冷感素材も採用し、現場で働く人の負担を軽減している。

 腕を上げたときに肩や背中付近に負担がかからないよう設計されているため、生地の突っ張りを感じにくい。

 同社は「介護市場は拡大しているが、ユニフォームの必要性が浸透していない」と指摘する。今後は、事業者にユニフォームの意義や利点を訴えていく。

【ブース】1―03―09

〈ボーダーで普段着感覚/透け防止、防汚加工も/ボンマックス〉

 ボンマックスは特別養護老人ホームや介護老人保健施設を中心に、「普段も着用できるユニフォーム」を提案する。今年7月、新商品としてボーダーカットソーや、女性向けの伸縮性に優れたパンツを投入した。「介護現場を担う若い世代が着てみたいと思うような製品にした」(同社)。

 介護施設向けのスクラブも新しく作った。透け防止や防汚・制電機能素材を使ったジップアップスクラブは、医療用のPHSを入れるポケットを付けた。まずは介護老人保健施設に常駐する医師や看護師向けに提案し、介護職員への浸透を目指す。

 介護施設向けのカタログ「ナチュラルスマイル」もリニューアルし、デザインと機能性を併せ持つブランドとして認知度を高める。

〈豊富なスクラブ訴求/暖色系、花柄タイプも/フォーク〉

 フォークはスクラブの打ち出しを強める。10年以上前からスクラブを提案する同社は現在、デザイン、カラーバリエーションに富む149タイプをそろえる。

 医療機関では動きやすさや見た目を理由に、スクラブを採用する病院や診療所が増えている。介護現場でも、ポロシャツにチノパンといった従来のスタイルからスクラブに変える動きが見られるという。

 福岡女子大の研究によると、介護施設の利用者にポロシャツとスクラブを比べてもらったところ、スクラブのほうが好感度が高かった。暖色系が好まれる傾向もあったため、ピンクを基調にした花柄のタイプも提案している。担当者は「ユニフォームは職員の士気を高める。豊富な選択肢を用意したい」と話す。

【ブース】1―07―10

〈現場に合う製品追求/チノパンは股上深め/カゼン(アプロンワールド)〉

 「KAZEN(カゼン)」はHCRの出展に合わせてカタログを刷新した。吸汗速乾性に優れた素材を使ったポロシャツや、ストレッチ素材のアウターを新たに打ち出している。

 介護現場では、腰を曲げたり、しゃがんだりする動作が多い。このためチノパンは背中が見えないように股上を深く設計した。実用性にこだわりながらも、女性が奇麗に見えるシルエットにも気を配っている。

 豊富なカラーバリエーションも特徴で、男女兼用のニットシャツは8色展開。裾に向かって広がる短い丈と、スタンダードなボタンダウンのポロシャツも提案した。

 軽量の新素材「エアワン」を使ったジャージーウエアは、人に当たらないようファスナーを隠す工夫も施している。

【ブ―ス】1―05―10

〈女性が着てみたいを形に/差別化企画強める/明石スクールユニフォームカンパニー〉

 明石スクールユニフォームカンパニー(岡山県倉敷市)はHCRで、「ルコックスポルティフ」を中心に打ち出す。他社との差別化のできるケアウエアとして、フランスらしさのあるドット柄を用いたカジュアル感のあるデザインを採用。明るく、家庭的な雰囲気を大切にしながらもケアスタッフとしての作業性をサポートする機能性、女性の就業率の高い業界から、女性が着てみたいウエアを形にしたチュニックなどデザイン、ディテールも工夫した。

 HCRではフランスらしさのファッション感性を表現するブースで、スポーツブランドならではの動きやすさといった機能をアピールする。

 介護業界では人手不足が深刻になる中、「ユニフォームが人集めのツールにもなる」として施設での採用を広げる。独自の立ち位置を構築するため差別化企画を強め、「施設のイメージアップにつながるウエア」「職員が着用して誇りが持てるウエア」として訴求する。

【ブース】1―05―11

〈施設のイメージに合わせ/ウエアでコンセプト表現/トンボ〉

 トンボ(岡山市)はHCRで主力の介護ウエア「キラク」を中心に、施設固有のコンセプトイメージ(家庭的、シックな、明るいなど)が表現できるユニフォームや、サービス業務(入浴介助、訪問看護・介護など)専用ウエアなどを提案する。シックなテイストの介護ウエア「ケアリュクス」では、売れ筋のチュニックでビビッドカラーを追加、選択肢の幅を広げていく。

 医療、介護連携推進により居宅看護・介護が増え、通所・訪問系へユニフォームの需要が動き始めている。従来の施設型介護事業者だけではなく、通所系・訪問系サービス事業者、有料ホーム、リハビリ特化型施設など、幅広い事業所に提案できるユニフォーム開発を急ぐ。さらに検診衣や患者衣など施設内着(コンフォートウエア)の開発も強化する。

 また、タイムリーに生産できるように生地の調達を早め、自社工場や協力工場に専用ラインを増やすことで商品の供給力を高めている。

【ブース】2―09―09

〈改めてブランド認知推進/機能とデザイン追求/シーユーピー〉

 シーユーピー(岡山市)は、HCRで改めて介護ウエアの「プロフィーリング」のブランド認知に力を入れる。“良質”というブランドコンセプトを理解してもらうため、試着室を設置するなど、来場者に体感してもらい、楽しんでもらえる工夫を凝らしたブースにする。

 新商品では、機能性はもちろん、シルエットやディテールにもこだわった商品を打ち出す。特に、トータルコーディネートを提案できる羽織り物の充実や、タウンカジュアルイメージのジャージーアイテムを新たに展開する。

 介護ウエアの売り上げは、他社の参入で苦戦しているものの、昨年の新商品は発売から生産が追い付いていない状況。ユーザーニーズに沿った商品開発ができれば現状の価格帯でも評価してもらえることから、今後もマーケティングを強化し、ユニフォームとしての機能性、服としてのデザイン性、双方を兼ね備えた商品開発を進める。

【ブース】1―14―10

〈“心と体に寄り添う”開発/多彩なブランドそろえる/住商モンブラン〉

 住商モンブラン(大阪市中央区)は、“癒し”をテーマに上品な花柄をあしらった女性らしいデザインが特長の「ローラ アシュレイ」や、スポーツ工学を取り入れた動きやすい快適なウエアの「アシックス」に加え、さまざまなシーンに対応する「モンブラン」など、HCRでは多彩なラインアップを展示し、幅広ニーズを捉える。

 さらにエプロンやグッズなど含め、かわいらしいキャラクターの「ミニオン」&「ペット」も展示。どのアイテムも医療と介護の現場で働く人たちの“心と体に寄り添う”をコンセプトに開発。メディカルウエアの専門性と、サービスウエアのおもてなしの要素を取り入れた機能アイテムなどの充実でニーズをつかむ。

 介護へのニーズが拡大する中、ユニフォームとしては一般衣料との差別化がポイントとなる。そのため、視認性や機能性など、より専門性を高めたアイテム展開を図っていく。

【ブース】2―08―05

〈トピックス/ベンチャーバンク/ドレス姿で認知症予防!〉

 リハビリ・機能訓練型デイサービス「ゆずりは」を運営するベンチャーバンク(東京都港区)は、日常生活動作の機能向上を目指した筋力トレーニング法「暗闇シニアエクササイズ」を実施中。このほど都内で開催したイベントでは「昭和・銀座のキャバレー」をコンセプトに、参加者と施設スタッフがドレスアップしてプログラムを楽しんだ。

 暗闇のエクササイズは周囲が気にならないため、思いきり体を動かせる。キャバレーの演出は、懐かしい思い出を語り合うことで認知機能改善が期待される心理療法「回想法」を取り入れた。

 当日は最年少76歳、最高齢89歳が参加。「動いて笑って、若返った」「みんなすてきな格好で楽しくなった」と大好評。ドレスも登場する介護現場、装いはさらに広がるかもしれない。