メーカー別 繊維ニュース

不織布新書 17秋(6)

2017年09月28日(Thu曜日) 午後2時55分

〈日本バイリーン/家庭用マスク拡販に力/眼鏡曇り抑える新商品も〉

 日本バイリーンは、家庭用マスクの拡販に取り組んでいる。同社の特許技術である「トリボレックフィルタ」を採用するなど、他社製品とは一線を画した打ち出しが評価され、ドラッグストアなどでの採用も進んでいる。9月には「フルシャットマスク」シリーズの新商品も発売した。

 家庭用マスク市場への本格参入は、2015年4月にフルシャットマスクを市場投入したのが始まりとなる。その後、「フルシャットマスク 肌にやさしい」や「フルシャットマスク UVカット」「フルシャットマスク ふわっと 椿オイル」といった商品を順次上市してきた。

 同社にとってB2Cの商品は未知の領域だったが、マスクが持っている高い機能が浸透し、ドラッグストアなどでの取り扱いが増えている。

 今月には「フルシャットマスク ふわっと プリーツタイプ」を投入した。強力帯電処理によって細かい粒子をキャッチするトリボレックフィルタを用いることで息のしやすさを大幅に高めると同時に、眼鏡の曇りを改善することに成功した。柔らかな耳ひもで長時間使用しても痛くなりにくい。

 従来のマスクに不満を持っている人やPM2・5、花粉、インフルエンザ対策で提案する。同社は「眼鏡の曇りにくさや息のしやすさを実感してほしい」と強調している。

〈呉羽テック/四つの“新”目指す/商品の加工度を上げる〉

 呉羽テックは、新技術、新用途、新顧客、新商品という四つの“新”をテーマにした新事業開発プロジェクトに取り組んでいる。「主力の自動車向けは、産業構造が大きく変わる可能性がある。あらゆる先入観を捨てて新しいことを考える必要がある」(斉藤正和社長)との考え。

 同社の2017年度上半期(4~9月)商況は前年同期比微増で推移した。主力の自動車向けフィルターはエアフィルター、液体フィルターともに堅調。メディカル用途は貼布剤基布がニットとの競合が激しくなる中、不織布使いに底堅いニーズがあることで健闘している。東洋紡グループとして取り組む環境対応商材も出荷量が伸びた。

 一方、将来的なリスクとして世界的な電気自動車(EV)シフトがある。同社のフィルターはエンジン関連用途が多く、EVシフトが需要減退につながるとの危機感は大きい。このため昨年から新事業開発プロジェクトを立ち上げ「あらゆる可能性をリサーチしている」。

 商品の加工度を挙げることにも取り組む。単純な原反販売ではなく、スリット、貼り合わせ、打ち抜き、成型なども自社で取り組む事業形態を強化する。既に自動車内装材などは、こうした取り組みが進んだ。

 海外市場開拓も重視。米国子会社のトウヨウボウ・クレハ・アメリカ、タイ子会社のクレハ・タイランド、台湾の新麗との合弁、台湾呉羽があるが、日本と同じく自動車関連用途が多い米国とタイの子会社は本体と一体運営で需要家の動きに応じた市場密着型営業と適地生産を重視する。台湾呉羽はカーペット基布と貼布剤基布が主力だが、続く用途開拓に取り組む。

〈倉敷繊維加工/中国加工拠点が操業開始/「クラングラフト」にも期待大〉

 倉敷繊維加工はこのほど中国加工拠点、仏山倉敷繊維加工(広東省仏山市)の操業を開始した。フィルターを中心に中国市場の開拓に取り組む。

 同社の2017年上期(4~9月)業績は微増収微増益で推移する。主力のフィルターは自動車、空気清浄機、産業用プレフィルターの各用途とも堅調だった。自動車用ではインシュレーターも拡大。生活資材分野ではマスク基材が安定している。

 こうした中、「さらなるグローバル化を進める」(青山克己社長)として、仏山倉敷繊維加工で貼り合わせやディッピングなど不織布加工をスタートさせた。ターゲットは空気清浄機用フィルターとなる。「現在、世界的に家電生産の中心は中国。フィルター需要も高まっている」として、市場開拓に取り組む。受注状況に応じてさらなる増設も検討する。

 電子線グラフト重合による機能不織布「クラングラフト」も期待が高まる。既に量産ラインも確立した。半導体洗浄用途で取り組み先と性能評価などのテストも始まった。半導体は世界的に大規模設備投資が続いていることから、市場開拓への期待は大きい。

 一方、既存商品については「機能加工、複合加工を強化し、中身を高度化していく」ことが基本戦略。国内工場は倉敷、早島、静岡の3工場体制だがフル稼働が続いている。このため汎用品生産のウエートが高い静岡工場でも製造ラインを改良し、複合化・機能加工の能力を増強した。「積極投資の成果を次期中計に向けて具体化させていく」との方針をとる。

〈アサヒ繊維工業/不織布加工品を受注生産/加工機自社開発強み〉

 アサヒ繊維工業(愛知県稲沢市)は、不織布を使用したフィルターなど特殊な繊維加工品を製造販売する。

 オレフィン系、エステル系熱融着繊維を使用し不織布を円筒状に成型した主力のフィルターは単一構造「MF―Ⅰフィルター」と複層型「MF―Ⅱフィルター」などがある。ともに顧客ニーズに応じた生産販売を行うのが特徴だ。

 自社開発による成型加工機10数台を構え、年間800万本のフィルターをオーダーメード生産する。

 現在は半導体製造やロボットなどの空圧機器、油圧機器向けのフィルター製品の受注が好調に推移するほか、浄水器用も安定しているという。

 フィルター以外では筆記具の中わた、芳香剤の吸い上げ芯などに使う「ファイバーロッド」、ペン先用「ファイバーニブ」などもラインアップする。

 浅井耕治社長は「ニッチな商品が多いだけに、いかに新しい顧客をつかめるかが基本課題」と強調する。

 ただ、通常の営業活動だけで新たなニーズを掴むには限界もあることから、展示会への出展やホームページの充実なども通じた新規顧客開拓に力を入れる。

 顧客ニーズを掴めれば小回りを生かして素早く試作を行う。それも量産機で生産するため、すぐに本生産へ移行できるのも同社の強みの一つになっている。

〈ダイワボウレーヨン/コスメへ機能レーヨンを/SL向け原綿販売は安定〉

 ダイワボウレーヨンは不織布用途でも機能レーヨンの販売拡大を進める。

 特にターゲットとなるのがコスメ分野。原綿の差別化や特殊成分の練り込みなどでフェースマスクなど高付加価値市場への拡販に取り組む。

 同社の不織布向けレーヨン短繊維販売は2017年度上半期(4~9月)も安定的に推移した。スパンレース(SL)向けが中心である、ウエットティッシュ用途に底堅い需要がある。ただ、今年に入ってから副原料のカセイソーダ価格が高騰。主原料の溶解パルプ価格も上昇が続く。このため販売数量は堅調ながら採算が極めて厳しい状況にあり、9月から5~10%の値上げに踏み切った。

 こうした環境下、「レギュラーわただけでは、ますます苦しくなる。不織布用途も機能レーヨンを拡販する」(高橋伸行機能原料部長)。特にソフトタッチの極細繊度わたや異形断面にすることで表面の平滑性を高めたタイプなど差別化品でフェースマスクなどコスメ用途への販売拡大を目指す。ココナッツオイル練り込みレーヨンなど特殊成分を配合したタイプの機能レーヨンも期待の商品である。

 機能レーヨンの拡販のためには不織布メーカーや最終製品メーカーとの取り組み強化も欠かせない。技術者を営業に同行させるなど企画開発型の営業活動も強化することで市場開拓を目指す。

〈オーミケンシ/フェースマスクに重点/100周年記念展示会で披露へ〉

 オーミケンシは不織布向けレーヨン短繊維でフェースマスクなどコスメ用途への提案を加速させた。機能性を高めたタイプの開発を進めており、高付加価値ゾーンに向けた販売に力を入れる。

 同社は現在、不織布原反販売は現状維持しながら原綿販売を拡大させる戦略を取る。このため2017年度上半期(4~9月)も不織布原綿販売が拡大し、同社のレーヨン販売の60%超を占めるまでになった。特にワイパー、ウエットティッシュ用スパンレース(SL)向けがリードする。

 ただ、今年に入ってから副原料のカセイソーダ価格が高騰。主原料の溶解パルプ価格も上昇が続く。このため採算が極めて厳しい状況にあり、10月から5~15%の値上げに踏み切る。

 こうした中、力を入れているのがフェースマスク向け。「フェースマスクは中国メーカーが大きな力を持つが、彼らは欧米市場も狙っており、さらなる需要拡大が期待できる」(髙口彰取締役素材販売部長)。こうした動きに対してツバキオイルやアボガド、ヒマワリなど植物由来成分を練り込んだレーヨンや備長炭レーションなどでプレミアムゾーンの開拓を進める。

 さらに高保水性、抗菌、消臭など機能を高度化し、マルチ機能化も実現したレーヨンの開発も進む。コスメだけでなく産業資材やメディカル用途への展開も狙う。

 同社は今年で創立100周年を迎えた。これを記念して11月から東京、大阪で展示会を開催する。そこで開発品も披露する計画である。

〈双日/「テンセル」シェア拡大/不織布輸出にも取り組む〉

 双日はスパンレース(SL)用原綿として同社が販売するレンチングの精製セルロース繊維「テンセル」の更なるシェア拡大を目指す。また、販売先である日本の不織布メーカーの生産品の輸出にも力を入れる。。

 テンセルの販売は2017年度もウエットティッシュ向けSL用を中心に安定的に推移している。このためSL原綿でのテンセルのシェアも拡大した。引き続き、これまでテンセルを使っていなかった不織布メーカーへの提案を進める。

 そのために細繊度品などの開発も進めた。特にフェースマスクなどコスメ分野がターゲットとなる。湿潤時強度の高さ、硫黄成分を含まないことによる無味無臭などテンセルの特徴を打ち出す。

 一方、レンチングのインドネシア子会社、サウスパシフィックビスコース(SPV)が生産するレーヨンも取り扱うが、こちらも順調な販売となった。レンチングが不織布用に品質強化しており、設備も改善していることへの評価も高い。

 ポリエステル短繊維も国内メーカーの生産が減少したことで、ニードルパンチ向けに海外品の輸入販売に取り組む。取り扱い品種の拡大やストックオペレーションの強化で拡販を図る。

 原綿の販売先である不織布メーカーの生産品の輸出にも取り組む。特に衛材やコスメ用途の海外販売に力を入れ、商社としての機能を発揮することを目指す。

〈服部猛/家庭雑貨の新規開拓/加工ノウハウを生かし〉

 資材専門商社である服部猛(名古屋市中区)は、不織布による家庭雑貨分野の新規開拓に取り組んでいる。

 全売上高に占める不織布比率は35%。小島弘敬社長は織・編み物も含めて「手掛けていない分野はあり、用途を積み重ねながら伸ばす余地はある」と述べ、地道な用途開拓を継続しながら、着実な成長を目指す考えを示す。

 同社は1970年代から不織布を手掛ける。これまで積み重ねてきたノウハウを生かして、染色・印刷・ラミネートや機能加工などを施した製品を販売するが、その加工ノウハウを武器に家庭雑貨分野の開拓を狙う。同時に織・編み物も含めた自動車向けなど産業資材の拡大も目指す。

 織・編み物ではメーカー機能も持つ。経編み地の生産を行う小松島工場(徳島県小松島市)とインドネシアに織物・丸編み地・縫製を行うハットリ・インドネシアがある。

 2014年に豊通マテックスから経編み地事業と小松島工場の事業譲渡を受け、織物、丸編み地、不織布に加え、経編み地事業にも本格参入した。両工場とも現在は不織布の加工を手掛けていないが「将来的な検討課題」としている。

 自家工場については老朽化対策も打つ。インドネシア子会社が新建屋の建設に着手済み。小松島工場もタイミングを見て改築等を考える。

〈宇部エクシモ/基盤強化へ「エアリモ」開発/衛材用は再び拡大基調〉

 宇部エクシモ(東京都中央区)は主力の衛生材料向け熱融着繊維に続く事業基盤の強化を課題としてきた。このほど、新規事業開発部が発表した極細オレフィン繊維「エアリモ」もその一環。18年度からの量産化を目指し、用途開発を順調に進めているという。

 エアリモは鞘部に低融点樹脂、芯部に高融点樹脂を用いる芯鞘複合繊維ながら0・2デシテックスの細繊度を実現したことが最大の特徴。表面積が拡大することで期待できる機能向上を、不織布の高度化ニーズに適合させる。水処理フィルターなどフィルター関連、電池材料、特殊テープ基材といった産業資材での採用を幅広く想定する。

 主力の芯ポリプロピレン・鞘ポリエチレンで構成する複合熱融着繊維「UCファイバー」は最大用途の紙おむつ用不織布向けの販売が順調。在庫調整の影響を受けた前年から回復している。ユーザーの拡大路線に合わせて通期でも堅調に推移する見込みという。

 関谷博繊維営業部長は同部の今期売上高が「7~8%増になる」との見通しを語る。衛材不織布用を基盤に、フィルター関連など非衛材用途の開拓が、「前期からの取り組みが徐々に成果に結びついている」ことも理由。

 同部売上高の5~6割を占める衛材不織布用途を補完する産業資材分野の強化を着実に進めている。

〈日本フイルコン/「アドセップ」展開強化/消臭の可能性広げる素材〉

 日本フイルコン(東京都稲城市)は、新開発の特許消臭繊維「アドセップ」の展開拡大を図っている。両性イオン交換体を、植物由来のビスコースに分子レベルで融合させることで「アンモニアなどに対する瞬間消臭」(日本フイルコン)を実現した。不織布やわたでの販売のほか、今後は国内の紡績会社との取り組みも進める。

 アドセップは、湿式混合紡糸法技術によって生まれた新消臭繊維。汗臭や加齢臭の原因となるアンモニアや酢酸などの臭気成分に対するバランスの良い消臭を実現している。消臭効果は洗濯することで回復する。吸湿性も向上するため、蒸れによる不快感の軽減につながる。

 2014年に事業化し、16年から本格販売を始めている。包材製品などを取り扱う富士包装資材(さいたま市)で採用され、マスクや消臭袋、インソール、靴下といったアイテムの商品化が行われた。マスクは総合専門小売店で販売され、売り上げも伸びているという。

 今後は幅広い企業と連携し、壁紙をはじめとするインテリア関連やエアフィルターといった用途の開拓を狙う。現在、国内紡績会社と共同で紡績糸の開発にも取り組んでいる段階にある。日本フイルコンは「消臭の可能性を広げる素材。3年後には事業規模を今の数倍に育てたい」と力を込める。

〈春日電機/エレクトレット化に注目/不織布産業支える技術力〉

 電気機器の製造・販売を手掛ける春日電機(神奈川県川崎市)は、不織布の高度化や付加価値化に貢献する装置を多数そろえている。その中の一つがエレクトレット化装置であり、大きく注目されている。1955年の設立以来、静電気除去装置や帯電装置を提案してきた同社は、技術力で不織布産業を支えている。

 エレクトレットは、半永久的に電気分極を保持し、周囲に電界を形成する物質のことを指す。同社のエレクトレット化装置を不織布に応用することで帯電効果の持続につながる。高機能フィルター用途などで用いると、長期間にわたる高捕集性能の付与が可能になる。

 高い捕集性を実現するには多層化などで対応されることも多いが、この装置を利用することで高性能化やコストダウンになる。電荷保持力は素材・材料で違いが出てくるが、同社ではエレクトレット処理された不織布の性能(電荷保持力)を測るシステムも持つ。

 そのほか、不織布の二次加工に役立つものとしては、「コロナ・プラズマ処理装置」を展開している。高周波・高電圧の放電を照射することによって、不織布や合成樹脂などの表面を改質する装置で、親水性向上や接着性強化、印刷特性の改善、コーティング特性の向上などの効果が得られる。除電・帯電・エレクトレット・表面処理などのテストやサンプル作製を受け付けている。

〈兼松KGK/トータル機能で存在感/発火検知装置なども扱う〉

 「面倒見の良い機械専門商社」。産業機械と工作機械を取り扱う兼松KGK(東京都練馬区)は自社の特徴をそう表現する。オーストリアのアンドリッツグループなどの日本国内総販売代理店として不織布製造設備を展開してきた。ラインのコーディネートなどさまざまなサービスを提供し、存在感を示す。

 2014年11月からアンドリッツグループの正式な国内総販売代理店を務める。アンドリッツ・パーフォジェット社(フランス)とアンドリッツ・アスラン・チボー社(同)のスパンレースラインなどを日本のメーカーに届けている。

 兼松KGKは「アンドリッツグループの設備は高速性や安定性のほか、メンテナンス性や清掃性に優れている。歩留りの改善も期待できる」と言う。こうした設備特性に加え、「船積みから荷下ろし、据え付け、試運転を終えるまで対応する。空調や集塵(しゅうじん)まで全てに応じるトータルの機能が強み」と力を込める。

 ダンウェブ・マシナリー社(デンマーク)のパルプ・短繊維エアレイド不織布製造機も扱う。17年からは北欧の機械メーカーの発火検知装置の輸入販売も始めた。兼松KGKは「スマートファクトリーやIoTがキーワードとなる中、こうした装置は必ず求められる」と話し、「既存のラインにも据え付けることが可能」と説明した。付帯装置の関連ではコロナ処理機も販売している。