メーカー別 繊維ニュース

生地商社の商況と今後/問われる備蓄の在り方/国内生地販売は総じて苦戦

2017年10月20日(Fri曜日) 午後1時44分

 アパレル不況は生地商社の国内生地販売事業にも影響を及ぼしている。主要生地商社の中で同事業を拡大するのは宇仁繊維(大阪市中央区)やコスモテキスタイル(同)などごく一部。業界大手のスタイレム(大阪市浪速区)や瀧定名古屋(名古屋市)も同事業で前年同期比減収を強いられるなど、アパレル市況の低迷がテキスタイル販売にも負の影響を与えている。伴って備蓄の在り方など各社の事業展開も岐路を迎える。(吉田武史)

 スタイレムの2017年度上半期(17年2~7月)は、製品が増収だったものの生地は苦戦した。生地のうち輸出は引き続き拡大したが、国内向けは減少した。瀧定名古屋の同期の生地販売事業も減収だった。ここ数シーズン好調を続けていた婦人服地は微減にとどめたが、紳士服地は市況低迷の影響を受けて減らした。

 サンウェル(大阪市中央区)の同期も先の2社と同様の基調で、国内生地販売事業は減収。コッカ(同)の17年10月期は切り売り向けの一部が伸ばしたものの、アパレル向け生地販売は前年割れだった。東光商事(同)の4~9月期は「全体として計画通りに推移」したものの、生地販売は苦戦した。

 一方、生地販売に特化する宇仁繊維(同)の17年8月期は前期比7・1%増収で、国内向け、輸出とも伸ばした。コスモテキスタイル(同)の4~9月期は製品事業が苦戦したものの、アパレル向け生地販売は新規開拓が進展して増収だった。

 一部を除いて生地商社による生地販売事業の直近商況は、輸出は堅調から好調も、国内向けは厳しい。アパレル不況が深刻化したのは15年あたりから。以降、百貨店アパレルを中心に人員のリストラや店舗縮小、ブランド廃止が相次いだが、昨年の生地商社の業績は堅調なところが多かった。各生地商社の直近業績の悪化は、アパレル不況がタイムラグを伴って、生地業界にもその影響をもたらし始めたものと言える。

 各社の今後の戦略を見ると、「企画力の強化」(スタイレム、サンウェル、宇仁繊維、コッカなどほとんどの生地商社)を柱に据えるところが多い。“右から左”のトレーディングではなく自ら企画することが生地商社の役割。ここを改めて追求することで生き残ろうとする意識が高まっている。

 備蓄についてはやや意見が分かれる。「リスク(備蓄)に挑戦する会社であることに変わりはないものの、二極化の中でその手法は考えていかなくてはいけない」とスタイレムの酒向正之社長が言うように、高級ゾーンは独自性を重視する傾向を強めており、あてがいの備蓄生地を必要としない。一方、ボリュームゾーンは売れ筋の追加という要素があるため備蓄生地の出番はある。ネット通販も同じだ。

 自社のターゲットによって備蓄の手法は異なってくるが、不況の中で「危険な賭けはできない」(複数の生地商社トップ)という意識が強まっているのは事実だ。備蓄系生地商社がアパレル不況の只中で、転換期を迎えている。