テキスタイル産地 10~12月を読む (9)

2017年10月27日(金曜日)

今治・泉州タオル 堅調も先行きに一定の懸念

 今治タオル産地の生産量の指標となる綿糸受渡数量(今治糸友会まとめ)は今年、既発表の9月まで前年を上回る月がなく、7、8月は2月以来の5千コリ割れとなった。

 それでも全般的に産地に景況悪化の印象は薄い。「機業で織り上がりが早くなっている」(糸商)、「繁忙にも一服感が出てきた」(染色加工業)との声はあるが、それは、あくまで好調だった昨年との比較。綿糸受渡も糸友会の統計にカウントされない糸売買も年を追って増えているとみられる。

 事実、機業、染色加工業、刺しゅう・縫製業のいずれもが継続して受注を得ていることから、「今治タオル」ブランドの認知定着を背景に堅調を維持しているとみてよさそうだ。

 ただし機業では、この堅調が続くうちに、新販路開拓や高付加価値製品の打ち出しなど次の手を準備する動きも活発化。先行きに一定の懸念がうかがわれるのも確かだ。

 一方、大阪・泉州タオル産地の7~9月生産量は各月とも昨年を下回り、前年同期比5・04%の減少となった。4月以降、減産月が目立ち、需要減の傾向が顕在化している。

 今年の累計生産量は4月までの貯金を使い果たし、8月を境に前年割れに転じた。年末にかけての年賀需要や年度末のノベルティー需要も不透明と産地関係者は言う。

 それでも、各社とも現在は年末の繁忙期に向けて昨年並みの受注を確保している。機業数減少で受注が集中し、夏から繁忙状態が続く機業も目立つ。稼働日当たりの生産量は増加傾向で、生産量の伸び悩みにも機業の稼働日数減の影響を指摘する声も少なくない。

 事実、ヘム縫製のボトルネック化で機動的な増産が難しく、人手不足下での人材確保に向けて無理な増産を避け土曜を休業して労働環境向上に努める機業が若手中心に増えている。(おわり)