明日へ これが我が社の生きる道 織布編(26)

2017年10月27日(金曜日)

田口織物工場 世の中にないもの提案したい

 田口織物工場は1960年の創業。今年で57年の歴史を持つ。周辺は、「八王子織物」として400年以上の歴史を誇る織物の産地。「この辺のテキスタイルメーカーでは最も後発です」と田口造治社長(49)は説明する。

 和装の絹織物産地から発展した八王子の機業は、大別するとネクタイを織っているか、あるいはそれ以外を織っているかに分かれるという。当初は男物着尺(着物地)を織っていた同社は、70年代のデザイナーズブランド隆盛の時代に、創業者で田口社長の父・惠之助氏が洋服地の生産に転換した。

 インテリア向けの素材や雑貨向け資材も手掛けるが、半分以上は洋服地。顧客はデザイナーブランドや比較的小規模なアパレルが多い。綿、ウール、麻、シルクなど天然素材の先染めジャカード織物を得意とし、「大概の織物には対応できる」と語る。

 田口社長は地元の工業高校で繊維を学び、同社で働きながら専門学校で服飾も学んだ。その後アパレルメーカーに勤めた経験も持つ。99年に社長に就任した。バブル経済崩壊後の右肩下がりの中、「状況は厳しかった」と振り返る。

 転機は2006年、「これで反応がなければ、すっぱりやめる」との思いで、八王子織物工業組合から「JFWジャパン・クリエーション(JC)」に出展する。そこでかばんメーカーから大きな注文が入り、「頑張ろうと前向きになれた」と言う。その後は毎年JCに出展し、新規開拓を続けている。現在は産地横断型合同個展「テキスタイルネットワークジャパン」にも参加する。

 11年にはホームページを開設し、織物の工程や生地サンプルを紹介している。ここから国内の新規顧客につながることも多い。中国や韓国の企業との取引に発展することもある。

 「来る案件はできるだけ拒まず、日々の仕事に向き合っているだけ」と言うが、JCへの出展などでは「世の中にないものを提案したいと日々頭をひねっている」と、他では簡単にまねできないひと工夫を施した素材を提案する。その研究熱心な姿勢を信頼し、相談を持ち掛けるデザイナーやアパレルの企画担当者も少なくない。

 田口社長は「準備工程や仕上げ加工などの後工程をやってくれるところが、年々少なくなっている」と産地の将来について楽観視していない。それだけに機業として、八王子の織物をアパレルだけでなく一般の人にもっと知ってもらいたいという思いも強い。

 「ファッション以外にも織物を必要とする分野はたくさんある。今後はそういうところにもできるだけ仕事を広げていきたい」と語る。

社名:田口織物工場

本社:東京都八王子市大楽寺町178

代表者:田口 造治

電話番号:042-651-5159

URL:taguchiorimono.jp

主要設備:ジャカード織機7台。付帯設備としてワインダー、整経機

従業員:4人