開発最前線 (8) 東京西川・日本睡眠科学研究所 (前)

2017年10月30日(月曜日)

寝具開発に科学的視点

 「日本睡眠科学研究所」として、寝具業界でいち早く自社の研究機関を設けたのが東京西川だ。設立は1984年。世の中はバブル期に向かう経済発展の只中、さまざまな繊維製品同様、寝具にも機能性へのニーズが出始めた時期だった。

 当時から眠りが日中の活動の疲れを癒やし、翌日の活力をもたらすことは認識されていたが、これを科学的にアプローチしようと立ち上げたのが日本睡眠科学研究所だ。

 「生活者が睡眠自体の科学的解明に関心を持つようになり、寝具はその身近なものとして科学的側面を反映した商品開発が重要になると、医学博士や理学博士など睡眠の専門家を顧問に招き設立に至った」(志村洋二・営業統括本部研究開発室 日本睡眠科学研究所課長)

 以来、健やかな眠りと健康の提供を目指し、恒温恒湿室(人工気象室)や体圧分散測定器などの設備を活用しながら、「睡眠生理の研究」「寝室環境の研究」「寝床内の研究」「寝具の研究開発」を柱に活動を展開している。

 快適な眠りには何が必要か――という視点で最初に着目したのが寝床内気象だった。寝床内気象とは、寝具によって体の周囲につくられる温度と湿度のこと。当時はまだ、心地よく熟睡するために最適な温度・湿度の数値の定説はなかった。

 そこで同研究所はさまざまな実験を重ね、「温度33±1℃、湿度55±5%RH」という快適な寝床内気象の数値を導き出した。この基準は掛け布団を主体に、その後の商品開発に貢献。高温で湿気の多い夏場、寒く乾燥した冬場など四季のある日本の気候に合わせた素材の開発・選択、加工方法や織り・編み組織などの工夫をし、きめ細かな提案を実現してきた。

 敷布団では、体圧分散性と寝姿勢保持の観点から、無理なく体を支える寝具の研究に取り組む。この概念で最初に誕生した敷寝具が「整圧ふとん」だ。ここから、国内外の一流アスリートも愛用するコンディショニングマットレス「エアー」や、パーソナル・フィッティングをベースに一人一人に最適な寝具を提案する「アンドフリー」などの開発につながる。