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2017秋季総合特集(15)/top interview/ダイワボウレーヨン/旺盛な不織布需要で堅調/社長 福嶋 一成 氏/下半期は輸出拡大に期待

2017年10月23日(月曜日) 午後4時21分

 ダイワボウレーヨンの2017年度上半期(17年4~9月)業績は前年同期比微増収、微減益になりそうだ。国内外ともに美容関連の不織布需要に支えられたが、生産・原料コストの上昇で減益となったようだ。福嶋一成社長は下半期に「輸出でこれまでの取り組みの効果が出てくる」とし「輸出増を見据え20年度に向け20億円を投資し生産量を20%増強する」考えを示した。

  ――今後を生き抜くための独自性とは。

 世界のレーヨン生産量は数年前に年間300万トン強でしたが、需要増と共に拡大する傾向にあります。現在は、大まかに見積って500万トン、4、5年後には600万トンを超えると予想します。

 シェアの50%以上は中国のメーカーが握っているのが現状で、価格決定権は中国にあります。当社の年間生産量は約2万5千トンで、全体に占める割合はたった0・5%しかありません。そうした中で、当社が生き抜くには他社が手掛けないもの、独自性のあるものを売るしかありません。

 例えば、機能性を付加したり、特殊な技術で差別化したり、あるいは少量・多品種生産や短納期対応したりすることが当社ならではの独自性ということになるでしょう。さらに、同じダイワボウグループ内に繊維2次製品製造のダイワボウポリテック、衣料品まで手掛けるダイワボウノイといった会社があるため、こうした企業との連携も強みとなります。

  ――17年度上半期を振り返っていただくと。

 上半期の業績は前年同期比で微増収、微減益となりそうです。

 微増収の背景にはレーヨンわたを使用する不織布メーカーの市場が国内、海外ともに拡大していることがあります。国内も成長していますが、海外はそれを上回る伸びです。中国では美容関連の不織布需要が好調です。日本でもこの分野のニーズは増えており、不織布を使ったフェースマスクや制汗シートがコンビニでも売られるようになりました。

 米国へは、ホテルや一般家庭で使うマットレス用途の防炎レーヨンを販売しています。上半期は売り先の在庫調整で苦戦しましたが、後半になって持ち直しつつあります。

 これまで米国で寝装分野のEC(電子商取引)ビジネスは商品の持ち運びが難しいことを理由に遅れていました。ところが、最近になってマットレスを巻いて真空パックにして小型化し、持ち運びしやすくすることで徐々にインターネットでも販売されるようになっています。

 マットレスを一時的に小さくできれば、輸送用コンテナにもたくさん入るので今後、米国産が中心だったマットレス業界に中国産の商品が大量に入ってくるのではと懸念しています。そうなると防炎レーヨンの販売にも影響するからです。

 水に流せる水解紙は米国で高いニーズがありますが、法整備が遅れているため、一足飛びには拡大しませんが、徐々に伸びるでしょう。

  ――下半期(17年10月~18年3月)の方針は。

 輸出を強化していきます。2020年度(21年3月期)に向けてわただけでなく繊維2次製品の輸出を増やしていく方針で、下半期から実績が上がってきます。

 中国向けに輸出するのは、特殊な形状で透明感のあるレーヨン短繊維「ベイリーズビーズ」を使ったスキンケア用不織布です。わたの供給先である不織布メーカーの販売に協力する形で、当社と大和紡績香港、大和紡工業〈蘇州〉を販売会社として活用します。

 当社が2次製品を本格的に輸出するのは今回が初の試みとなります。11月に上海で開かれるSINCE(上海国際不織布見本市)にも初出展し高い付加価値の不織布だけでなく、わたもアピールします。

 輸出拡大のために、約20億円を生産設備に投資します。付帯設備も含めた増強で20年度には現状の月産2200~2400トンから20%程度生産量を増やす計画です。

  ――今年3月に「エコテックス」認証、6月には「FSC」認証を取得しています。

 これらも輸出強化に向けた取り組みです。レーヨンが使われる商品は、不織布をはじめ最終製品となった時に直接肌に触れることが多いので、エコテックス認証があることは確かな安全性を裏付けるために重要です。

 FSCに関しては、世界的な環境保全の高まりも意識して取得しました。欧米市場において環境への配慮は大きな強みとなります。

 今後もCSRの一環であらゆる観点から環境に優しい企業を目指します。中国には工場からの排水で環境を汚染しているレーヨンメーカーも多くありますので、環境に配慮していることは商品の付加価値の一つでもあると言えます。

〈25年前のあなたに一言/英語と中国語を勉強せえ〉

 福嶋さんは25年前、環境関連のフィルターの開発を手掛けていた。ドイツや中国での駐在経験もある。当時の自分には「英語と中国語をもっと勉強せえといいたいですね」との答え。「この業界で生きていくのに、ネイティブレベルじゃなくても、もっと言葉を操れたらもっと成果が出せたかも」と振り返る。中国語の勉強に熱を入れたこともあった。だが、十数年前に中国駐在が決まった時には、前任の総経理が日本語の上手な中国人を採用していたため、中国人の日本語のほうが上手だったそうだ。「もっと言葉がうまければ別の人生だったかも」と苦笑い。

〔略歴〕

 ふくしま・かずなり 1982年大和紡績(現ダイワボウホールディングス)入社。蘇州大和針織服装総経理や第一事業本部国際開発部長を経て2011年ダイワボウホールディングス戦略事業推進室長、13年ダイワボウレーヨン専務、16年6月から大和紡績取締役兼ダイワボウレーヨン社長。