明日へ これが我が社の生きる道 織布編(28)

2017年11月07日(火曜日)

池藤織布 最大手として先を行く

 「堅調な受注を見越して設備投資を行う」。池藤織布の池藤悦男社長(67)は明るい将来を描きながら、この間進めてきた織機のエアジェット(AJ)化を来年中頃で完了すると明かす。綿白生地機業としては国内最大手の同社はここ4~5年、安定受注を続けている。「(国内生産の空洞化も)底を打ったのではないか」との推論すら容易に成立するのが現状だ。

 同社は綿白生地を大量生産するタイプの機業としては、「最後の生き残り」とされる。かつては経営破綻したシオタニ(大阪市中央区)や、織布業からは撤退した正織興業(岡山県倉敷市)など綿白生地大量生産型の機業はそれこそ全国に幾つも存在した。しかし、縫製の海外シフトに連動して海外生地調達が徐々に拡大し、国内の綿白生地大量生産型機業は同社を残すのみとなった。財務内容の強固さなどがその原動力になった。

 受注の軸はユニフォーム向けと大手SPA向け。この2本柱は以前、非常に受注が不安定な時期があった。1~2年ごとに受注の山谷があり、谷の際には「地獄の苦しみ」を味わった。ここ4~5年、谷はない。この安定操業を背景に、オールAJ化を決めた。

 現在の受注の中身は、大手SPA向けが約50%で、残りがユニフォームやその他。「その他」はここ数年で将来の種まきとして受注確保に努めてきたもので、中東民族衣装向け、車両資材向け、研磨布などで形成する。戦略的に動いて受注したものもあれば、他産地機業の廃業で同社に依頼があったものもある。この流れの中で、最近は経糸にポリエステル短繊維、緯糸に同長繊維を配した生地など同社にとっては全く新しい品種にもトライしている。

 こうした従来にはなかった分野への挑戦は、今後の池藤織布を背負って立つ、池藤社長の2人の息子、文彦氏(35)と正彦氏(33)によるものだ。国内で規模感を追求するいまや希少な機業である同社にも「2本柱だけでは将来が安泰とは言えない」という危機感はある。

 2人に将来展望を聞くと、「最低でも今の規模は維持したい」との答えが返ってくる。ただし、その中身は大きく変化するかもしれない。変化の可能性の一つが、価格改定だ。2人は「長期的に事業継続が可能な水準に引き上げていきたい」と考えている。織布の海外シフトが底を打ったのなら、国内では選択肢がもはやほとんどない現状、同社の価格改定が順調に進む可能性は高い。その流れは同社だけにはとどまらず、日本の機業全体に波及していくはずだ。

社名:池藤織布株式会社

本社:大阪府貝塚市窪田    277

代表者:池藤 悦男

電話番号:072・431・5727

主要設備:津田駒工業製エアジェット(AJ)織機157台。内訳はカム30台、電子開口20台、ドビー100台。石川製作所製レピア織機10台。(来年央にAJ織機15台を入れ、レピア織機10台を廃棄予定)。他に、サイジング機2台、整経機4台、ドローイング機1台、自家発電機など。

従業員数:約80人