メーカー別 繊維ニュース

特集 環境(3)/わが社の環境戦略

2017年12月06日(水曜日) 午後3時29分

〈ダイワボウノイ/ファイバーで環境に貢献/新たな羽毛洗浄剤も登場〉

 ダイワボウノイは、環境配慮や快適性に焦点を当てた素材戦略「エコフレンド」プロジェクトを推進する。この中で独自原料・加工を活用したファイバー戦略が実を結びつつある。従来の紙糸や防汚加工に加え、水資源の節約につながる羽毛の洗浄剤も開発した。

 グループ会社である王子ファイバーの紙糸「OJO+」を活用したモノ作りでは、衣料品だけでなくカバン地や靴のアッパー材、デニムなど、新たな用途が広がっている。安全性の国際基準である「エコテックス」認証も取得済み。さらに原料の工夫で値ごろ感を実現した「KAMIの糸」も開発。吸湿性、クリアーな表面感、そして軽いのも特徴。ソフト感のある「森(MORI)」とドライタッチの「陽(HINATA)」の2タイプを展開。

 洗濯時の洗剤使用量削減に貢献する皮脂汚れリリース素材「エコリリース」も販売が着実に拡大している。昨年から新たに食品汚れに対する防汚(SR)性を強化した。

 ポリプロピレン(PP)短繊維「デューロン」も同社の戦略素材の一つ。PPは元々、石油精製の副産物を原料としており、燃焼しても有毒ガスを発生せず環境に優しい。綿やレーヨンとの複合素材で快適性の研究を信州大学繊維学部と共同で実施している。

 新たな羽毛の洗浄剤も開発した。羽毛の洗浄工程では一般的に7~10回程度洗うが、その水とエネルギーの消費量は莫大なもの。新たに開発したフタロシアニンなどを含む高機能洗浄剤を使えば、使用する水とエネルギー消費量を3~4割程度削減でき、汚染水も減らせるという。日本だけでなくアメリカ、中国、ベトナム、台湾へ提案している。

〈クラボウグループ/ゼロエミッション推進/“裁断くず”再利用へ〉

 クラボウグループは生産工程において極限まで環境の負荷となる排出物を減らす取り組み「ゼロエミッション活動」に力を入れる。

 再資源化率98%以上を目標とし、既に27事業所が達成、グループ全体での再資源率は着実に目標値に近づきつつある。今後はさらにグループ全体での再資源率の引き上げを目指す。

 そのための取り組みとして注目されるのが繊維事業部で今年6月から始まった、アパレル生産工程の裁断くずを資源として再び活用する取り組み「L∞PLUS」(ループラス)だ。今後、取引先であるアパレルやSPAなどからパートナー企業を募る。

 この取り組みは裁断時に排出される生地の廃棄部分をさまざまな繊維製品の原材料として再資源化し、服や雑貨など身近なファッションアイテムに利用するというもの。

 開繊、反毛のノウハウに、紡績や編織、そして染色・加工の技術を組み合わせることで衣料品などへの再利用を実現した。反毛は海外の協力工場で行い、国内の自家工場で紡績する。京都工芸繊維大学の協力の下、紙製品やプラスチック製品の原材料として活用することも視野に入れる。

 アパレル生産では使用する生地量に対して、10~20%程度裁断くずが発生し、その多くが廃棄処理されているのが現状。今回、独自の技術で服や雑貨などの新たな製品の原材料として再資源化する技術を確立した。

 北畠篤代表取締役常務執行役員繊維事業部長は今後の展開について「アパレルメーカーの18春夏商品の裁断くずを利用して19春夏企画の材料にしたり、顧客のユニフォームの裁断くずを使って、販促用の雑貨を作ったりと、双方でアイデアを出し合って取り組みたい」と話す。

〈シキボウ/天然繊維「エリナチュレ」/人を育む糸づくり〉

 「エリナチュレ」は、東南アジアに生息する蛾「エリサン」の繭から作る天然の機能繊維繊だ。2016年度にグッドデザイン賞を受賞した。背景には二つの環境性能がある。

 一つ目は「自然のチカラ」を生かしたモノ作り。昆虫が吐き出す糸には人間の手では作り出せないナノレベルの多孔質が備わっている。一般的な化学薬品の処理によって付加するUVカットや消臭機能を虫が持つ天然の力で実現する。薬剤に寄らないためベビー用途などにも使える。

 二つ目はエリナチュレが「人の繋がり」による持続可能な社会づくりに貢献している点だ。日本は戦前まで世界最大のシルク生産国の一つで、全国のどこにでも養蚕農家があったが、現在の日本にはほとんど残っていない。シキボウはそのわずかに残る日本の養蚕技術をカンボジアに伝え、現地の農業活性化を図る活動を行っている。

 国立コンポンチャム農業大学にエリサンの養蚕研究室を設置し、信州大学繊維学部の協力の下、農業を志す学生にキャッサバ芋の葉を使ったエリサン飼育法を教えている。養蚕を学んだ学生が自分達の故郷に戻った時、現地に多いキャッサバ農家にエリサン養蚕を指導し、単一栽培から繭や現地では食用になるさなぎを販売し副収入を得ると同時に農薬使用を減らし有機農業への転換を促すことが目的。

 来春から研究室で精力的に学んだ女子学生が日本のNGOの招きで1年間の農業研修を受けることも決定。15年から始まった協働の形が少しずつ現地に浸透していく契機となりそうだ。大きな成果はまだ出ていないがエリナチュレの生産販売が人のつながりによってカンボジアの社会を担う人材づくりにも役立っていくことを目指している。

〈ダイワボウレーヨン/天然成分を機能に生かす/森林認証で輸出拡大〉

 ダイワボウレーヨンは、機能レーヨンの開発で天然由来成分を活用する。

 天然素材を活用した差別化レーヨンとしてこのほど開発したのがココナッツオイル練り込みレーヨン「ココモイスト」。ココナッツ製品輸入販売・開発のココウェルと共同開発したもので、美容オイルとしても利用されるココナッツオイルの機能をレーヨンに持たせる。

 機能レーヨンでは大和化学工業とアパレル向けの防虫機能レーヨン「バグノン」、寝装向けの「マイテクト」を開発している。練り込む機能剤は香料として一般的に使用されている天然由来成分であるケイ皮酸誘導体を応用しているので安全性も高い。練り込み方式のため洗濯耐久性もある。

 海外への輸出拡大に向け今年、「FSC」認証を取得した。さらなる環境面での付加価値として訴える。同認証は、NPOであるFSC(フォレスト・スチュワードシップ・カウンシル=森林管理協議会)が運営する国際的な制度。適切に管理された森林から切り出した材木を原料としていることを認証する。日本のセルロース繊維製造会社の取得は同社が初という。日本より環境への配慮を重んじる欧米企業にアピールする。

 同社は、水解紙の素材として、レーヨン短繊維を欧米へ提案する。水解紙は絡み合った繊維から成り、水に触れるとそれが速やかに分解し、水中で拡散する。トイレに流せる便座シートや、赤ちゃんのお尻拭きなどの素材として、欧米で需要が拡大しているそうだ。主素材はパルプだが、それのみでは強度が不足し、拭くという作業に耐えられないため、補強材としてレーヨンが使われる。このニーズを狙って同社は3年前から欧米への提案を強化し、着実に実績を増やしている。

〈レンチング/トレーサブルレーヨン登場/開発方向は“サステイナブル”〉

 レンチングはこれまでも精製セルロース繊維「テンセル」、HWMレーヨン「モダール」、ビスコースレーヨン「レンチングビスコース」を天然由来原料による環境に優しい繊維素材として打ち出してきた。こうした中、開発の方向性として“サスティナブル”へのシフトを強める。このほどトレーサブルレーヨン「エコベーロ」も開発した。

 エコベーロは、レンチングビスコースに特殊な処理を施したもの。これにより原綿にエコベーロを使用した糸、生地、製品は、それを特殊な方法で分析することによって実際にレンチングのレーヨンが使用されているのかを確認することができる。

 流通・アパレルはレンチング素材を使用して環境に配慮したモノ作りを志向するが、レンチングが販売するのはあくまで原綿。このため最終製品まで長い工程がある。その中で実際にレンチング素材を使用されているのかを確認したいというニーズが高かった。これを応えたのがエコベーロである。レンチング素材のトレーサビリティーが確立する。すでに欧米では18春夏から採用も始まった。

 そのほかにもサスティナブルを切り口とした開発が加速した。廃棄綿布などをパルプ化して原料とするリサイクルテンセル「リフィブラ」への注目も高まる。原料確保の観点から特定ユーザーと取り組みとなるが、既にZARAなどが採用した。

 テンセル長繊維「テンセルリュクス」も開発し、セルロース系長繊維に参入した。2018年第3四半期には新工場立ち上げを決定する予定。こちらはレンチングの素材ラインアップの中でも最高級に位置付けるプレミアム素材として打ち出す。こうした素材ラインアップの拡充と合わせて、18年はレンチングとしてのリブランディングを実施する計画である。やはり環境が大きなテーマとなることは間違いない。

〈YKK/「エコプロ」へ出展/4ゾーンで環境訴求〉

 YKKは「エコプロ」に継続出展(ブース:東1ホールの1―022)する。今回はブース内をYKKの森と見立て、「エネルギーを上手に使おう」「資源を大切にしよう」「自然を次世代に残そう」をテーマに、ファスナーの製造工程からモノ作りにおける「こだわり」「つながり」を紹介する。四つのゾーンに分けてそれぞれに体感実験やクイズコーナーを設け、生き物カードを集めながら、ゲーム感覚で楽しくYKKグループの環境に配慮したモノ作りを学べる展示内容。

 「資源を大切にするこだわり」ゾーンでは、リサイクルファスナー「ナチュロン」、植物由来ファスナー、ファスナーの無水染色技術「ECO―DYE」の取り組みを訴求。「自然へのこだわり」ゾーンでは、YKK黒部事業所内にある「ふるさとの森・水辺」や黒部川扇状地の地下水への取り組みを紹介する。

 「環境への取り組み、環境配慮型商品を行政、企業、子供達や一般消費者などに理解していただくことで、企業ブランドと商品ブランドの認知と向上を図る」ことが目的。

 YKKの黒部事業所はこのほど「2017年度緑化優良工場等経済産業大臣賞」を受賞した。工場緑化、工場内外での環境整備を表彰したもの。黒部事業所は2万本の樹木を植樹し、絶滅危惧種・希少種などが生息する「ふるさとの森」なども整備している。

〈双日/「テンセル」で用途開拓/FSC認証活用を不織布でも〉

 双日は、精製セルロース繊維「テンセル」などレンチングのセルロース系繊維の輸入販売元として、環境に優しい繊維の特徴を打ち出しながら、新たな用途開拓を進める。

 テンセルは木材を原料とする植物由来のセルロース繊維であり、レンチング社の生産設備は完全循環型のため製造に用いる溶剤は99%回収・再利用できる。このため環境への負荷を最小限に抑えたセルロース繊維の代表格である。

 世界的にセルロース系繊維の需要が高まる中、レンチングはテンセルの増産を既に決定している。このため双日としても更なる拡販を目指すことになる。テンセルは衣料から寝具寝装、資材など幅広い分野で活用されているが、最近では不織布製品が大きな存在感を持つ。特にフェースマスクや制汗シートなど新たな需要が拡大した。いずれもレーヨンやコットン、キュプラ繊維など競合する分野だが、テンセルの特徴を的確に打ち出すことが拡販に向けて重要になる。

 新たな用途開拓も不可欠だ。世界的に安心・安全・環境を切り口にした商品を打ち出す需要家が増えている。このためレンチングも既に環境戦略を強めた。こうした流れが日本でも起こるとの見通しから、レンチングとの連携を強めながら新たなニーズへの対応を進める。

 その一つとして取り組みを検討しているのが森林資源の適正な管理を確認する森林認証制度(FSC認証)の活用。レンチングはFSC認証を取得した原料を使用していることから、既にさまざまな用途でFSC認証を活用した商品企画が行われている。これを不織布用途でも応用できないかを検討する。2018年6月には東京でアジア不織布産業総合展「ANEX2018」が開催される。こうしたイベントも活用しながら新たな打ち出しを模索する。

〈オーミケンシ/多彩な“自然派レーヨン”/生産過程も環境に優しく〉

 今年創業100周年を迎えたオーミケンシ。今後も「人と暮らしと地球への優しさ」の追求を第一の経営目標とし、環境に配慮したレーヨン素材の開発に力を入れる。

 レーヨンは原料である木材パルプに再生産性、生分解性があるため、地球環境への負荷が少なくエコ素材としての優位性がある。この強みに得意の天然由来成分による機能の付加や独自の生産プロセスによってさらなる環境負荷の低減に取り組む。

 11月の展示会では植物由来のオイルを練り込んだ「自然派レーヨンシリーズ」を発表。国内に加え、中国でも需要が広がるフェースマスク向けに開発。紅椿、アボカド、ヒマワリのオイルを練り込んだレーヨン不織布を用意した。

 紅椿油は保湿性を生みだすオレイン酸の含有率が高くスキンケアやヘアケアで頻繁に利用される成分で肌をトラブルから守る効果をうたう。アボカド油もオレイン酸に加え肌を中から美しくするパルミトレイン酸を含み、肌の環境を整える効果がある。ヒマワリ油はビタミンEを多く含んでおり、肌を健やかに保つ“エイジングケア”効果をアピール。

 その他にも「温故知新シリーズ」として日本で昔から体に良いとされてきたヘチマ、ヨモギ、アズキの成分を後加工したテキスタイルも発表した。

 生産工程でも自然環境に配慮する。二酸化炭素排出量の削減に力を入れており、加古川工場のボイラー燃料を従来の石炭から廃棄物固形燃料(RPF)に転換したほか、建屋屋上に太陽光発電装置を設置し施設内の照明もLEDに交換した。これら取り組みで二酸化炭素排出量は1990年対比で54・1%削減に成功した。加古川工場の排熱を利用した園芸事業も同社ならではの取り組みだ。

〈豊島/広がる「フードテキスタイル」/フードロス解決に貢献〉

 豊島は廃棄食材を染料として活用するテキスタイルブランド「フードテキスタイル」の取り組み先を広げている。大手食品メーカーに加え、農園、農林水産省が進める「農業女子プロジェクト」、大手アパレルメーカーが手掛けるカフェ事業などの参画も得た。ファッション衣料・雑貨向けでも生地供給やデニムメーカーとの共同開発が進む。

 フードテキスタイルは協力先の企業などから廃棄食材の供給を得て、それを原料に協力工場でパウダー染料化。国内染工場で特殊染色する綿を中心とした素材ブランド。ファッション業界からフードロス問題の解決へアプローチする事業として力を入れている。廃棄食材を再利用することが特徴だが、「採用企業の独自性創出やCSR活動に貢献する提案の仕方が広がりにつながっている」。

 重要な用途がユニフォーム。参画する食品メーカーの工場で使用されるユニフォームのほか、カフェの従業員が着用するサービスユニフォームにフードテキスタイルを採用するケースが目立つ。食品を加工する工程で発生する廃棄部分や残った部分をこうした用途で再利用することで、CSR活動やブランドコンセプトの発信に役立てている。

 ファッション商材でも、国内有力バッグブランド向けにキャンバス地を供給したり、デニムにコーヒーの出しがらを染料にした緯糸を使い、抗菌防臭機能を持った素材にする共同開発を進めている。

 取り組み先、原料となる食材が広がってきたことから、今後は「ベジタブル」「フルーツ」「ハーブ」「ビバレッジ(飲み物)」など染料のラインアップをカテゴリーごとに整理して提案する。ユニフォーム、ファッション衣料だけでなく地方の特産物を発信する取り組みやイベント用のウエアやノベルティー企画に取り組み先を開拓していく。