インド/輸入関税の還付比率引き上げ/貿易政策見直し 中小企業を救済

2017年12月12日(Tue曜日) 午後3時13分

 インド政府は、企業の輸出を制度面で後押しする。2015~20年を対象とした外国貿易政策(FTP)を見直したと5日発表した。輸入関税の還付比率の引き上げなどが柱。今年7月に導入した物品・サービス税(GST)によって、一時的に事業に支障が出ている中小企業を救済する狙いがあるとみられる。特に労働集約型産業の育成を意識しており、雇用創出にもつなげたいとの考えを示す。

 プラブ商工相が5日午後7時に声明を発表した。FTPは、輸出入についての法的枠組みや規制、輸出促進策、免税スキームなどを定めている。

 今回の見直しの目玉は、特定の国に一定の製品を輸出する場合に適用される関税クレジット・チケット(DCS)の還付比率を2%引き上げたことだ。現行のFTPでは、8千品目程度が対象といわれる製品輸出スキーム(MEIS)とサービス輸出スキーム(SEIS)を通じて、対象製品やサービスを扱う企業は、DCSを取得することができる。これを使うと、製品やサービスの輸入の際に課される関税の一部などを相殺できるようになっている。DCSは譲渡することもできる。

 これまでの還付比率は、MEISはFOB(本船渡し)価格の3%、SEISは純外国為替収入の3~5%だった。商工省は、還付比率を引き上げることで、年間845億ルピー(約1470億円)相当の税優遇効果を新たに見込む。

 特に衣料・繊維や農水産物など労働集約型産業を中心に利用が促進されるとみる。現行制度ではDCSを利用して年間2500億ルピー相当の税優遇効果があった。商工省はDCSについて、有効期限を18カ月から24カ月に延ばしたほか、譲渡時に課せられる税金もゼロにした。

 今回の見直しでは、輸出業者向け保険の充実など既存制度も改善。オンライン相談窓口の開設や物流改善に向けた施策などを提言する専門部署の設置など新たな取り組みも始めた。

〈GST導入で混乱〉

 政府がFTPを見直したのは、GST導入によって混乱が生じた中小の輸出企業を下支えするためだ。その一例が、総額5千億ルピーといわれる還付金の未払い問題。特に一部の中小企業は、運転資金の一部を還付金で賄っており、未払いが資金繰りの悪化につながるとの声が高まっていた。このリスクを回避するため、企業の中には海外からの注文を控える動きがあった。

 実際、10月には製品輸出額が前年同月比1・1%減と、14カ月ぶりのマイナス成長に沈んだ。インドは7~9月期の国内総生産(GDP)成長率が前年同期比6・3%となり、前四半期の5・7%から伸びが加速。「景気は底入れ」(アナント統計・計画実施次官)との声が上がる一方で、輸出は勢いに欠けているのが現状だ。

 地元紙「ビジネス・スタンダード(電子版)」によると、プラブ商工相は、輸出業者が受けられる還付金の未払いについて「財務省が迅速に対応する姿勢を見せている」とコメント。早期に状況は改善すると話した。しかし、具体的な還付時期には言及しなかった。

〔NNA〕