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特集 スクールスポーツ(1)/市場縮小を前にシェア拡大へ

2017年12月15日(Fri曜日) 午後3時5分

 スクールスポーツウエアの2018年入学商戦は、引き続き一部の大手スポーツ用品メーカーが事業集約を進めている影響もあり、学生服メーカーや他のスポーツ専業メーカーがシェアを広げる状況となっている。一方で生徒減による市場縮小は避けられない状況で、独自性の高い商品開発や、安定した供給体制が求められる。

〈18年商戦も積極的攻勢〉

 18年入学商戦に向けた動きは、前年に比べ採用の決定が「やや遅い」との声が聞かれるが、前年並みの新規採用校を獲得する企業が多く、市場環境はそれほど悪くない。

 これはアシックス・ジャパンの事業集約の影響があるようで、今年は制服の販売代理店だけでなく、学校へ商品を納入している「スポーツ販売店からも受注が増えている」(学生服メーカー関係者)ことで、販路拡大に向けた動きが加速する。

 最大手の菅公学生服は、17年商戦と同じくらい「新規採用校を順調に獲得できている」と、地域密着による市場開拓が進む。昨年関東だけだったスポーツ専任担当者を関西にも設置、販売への攻勢を強める。

 明石スクールユニフォームカンパニー(明石SUC、岡山県倉敷市)は、18年商戦で、過去最高だった17年商戦の150校を上回るペースで「デサント」の採用が推移。国内生産で「安定した納品が大きい」ことが販売拡大につながりつつある。

 トンボ(岡山市)は17年と同様に、「ヨネックス」と自社ブランド「ビクトリー」双方で100校ずつ新規採用校を獲得。ウオーミングアップ用に人気のピステを改良した「ピストレ」の採用がこれまでの東京以西から東北、北海道へも広がってきた。

 スポーツ専業メーカーも攻勢を掛けている。ギャレックス(福井県越前市)は「フィラ」の採用校が100校近く増える見通し。「スポルディング」も20校増え、順調に伸ばす。ユニチカメイト(大阪市中央区)は、「プーマ」の累計採用校が、来春時点で100校を超える見込みで、型数を増やした効果が出た。

 ただ、事業集約の影響は「今年がピーク」(専業メーカー関係者)との見方が強い。生徒減の反動がこれから色濃く出そうな中で、新商品開発や学校との関係深耕がますます重要になってくる。

〈ニーズ捉え新商品開発〉

 18年、19年入学商戦向け新商品の傾向としては、スポーツウエアで広がる昇華転写プリントの採用が増えてきた。ギャレックスは「学校から昇華転写プリントのものができないかという要望が増えていた」ことから「ギャレックス」ブランドで1シリーズ打ち出す。

 瀧本(大阪府東大阪市)も、「ロット」で昇華転写プリントによるデザイン性を高めたウエアを投入。デザイン性だけでなく、イタリアのスポーツブランドらしいシルエットでありながらも動きやすく、「学校からの評価も年々、上昇している」と言う。

 明石SUCも19年商戦向けにデサントで昇華転写プリントによるデザインを取り入れた商品の投入を予定する。

 自社で設備を持ち、商品開発で先行してきたトンボは、全面にプリントして大胆な柄を企画するなどデザイン性で他社との差を付ける。さらにマーチングウエアやチアウエアなど、学校内の部活動だけに限らず、学校外でもニーズのありそうな販路も広げる。

 一方で“防風”も最近のトレンド。トンボのピストレは、軽くて防風性が高いといった機能や、昇華転写プリントによる多彩なデザインから採用が増えつつある。

 ギャレックスもフィラの「ゴーグル」、ギャレックスの「ウインドバスター」といった防風機能を備えた商品の販売が好調。

 菅公学生服は「カンコープレミアム」を開発。新素材「グランガード」を採用し、防風・保温、耐久、軽量など「体育着が本来持つべき機能を追求した」と言う。

 今後どのようなニーズが出てくるかを捉えた開発も増えてきた。児島(岡山県倉敷市)では、共働きの家庭が増える中、手入れのしやすさなど「保護者に向けた戦略」を強化。東洋紡と共同開発した素材「速衣(はやい)」を搭載したウエアは、夜に洗い忘れても、朝洗濯して干して学校に持って行けることをコンセプトに打ち出す。

 ミズノは、「プロスポーツウエアのデザインが体操服にも影響を与えている」ことを受け、ファッションとスポーツを融合させた意匠性の高い商品の企画開発を強める。

〈設備投資でより供給安定化〉

 生産面では、学生服メーカーが設備投資で増強を進めている。菅公学生服は10月に南九州カッティングセンター(宮崎県都城市)が稼働。これまで各工場に分散していた裁断工程を1カ所に集約することで、生産を効率化する。

 トンボは来年6月をめどにスポーツウエア専用の工場を新設する。女子ブレーザーを中心に生産するトンボ倉吉工房(鳥取県倉吉市)の隣接地に建設する予定で、初年度約30人の従業員から生産をスタートする。

 明石SUCは、宇部テクノパークアソートセンター(山口県宇部市)で2次加工を増強するため、拡張工事を実施、来年から本格的に稼働する。プリント、刺しゅうの設備などは従来のままだが、将来増設することも想定し、加工場を広げている。

 一方で懸念されるのが、生地の染色加工の遅れだ。学校への別注対応で小ロットが増え、採用決定が年々遅くなっていることで、どうしても生地の加工が時期的に集中し、納期遅れが発生してしまう傾向にある。これはスポーツウエアに限らず、学生服も同じで「衣料の中でも最も色に厳しい業界だけに、染色できる工場が限られる」(学生服メーカー関係者)と、今後さらに問題が深刻化する可能性がありそうだ。