明日へ これが我が社の生きる道 織布編(45)

2018年01月19日(金曜日)

市川織布工場 模索と挑戦の日々

 カーテン地や多重ガーゼなどを製造する市川織布工場(愛知県蒲郡市)は、自販に力を入れている。日よけシェード、ガーゼケットに加え、ハンカチや手拭いなどの小物もそろえる。繊維産業では厳しい状況が続くが、市川裕茂専務(47)は「これからも日々、模索と挑戦を続けていきたい」と意気込む。

 同社は1964年、東京オリンピック開幕日の10月10日に、市川専務の父・良孝社長が創業した。当初は力織機14台で輸出向けの白生地を製造していたが、現在は主力のカーテン地のほか、産業資材や寝装などに使われる生地を手掛ける。

 自販は08年にスタート。それまではカーテン地の受託製造だけだったが、市川専務は「当時はリーマン・ショックもあり、受注状況も厳しくなっていた」と振り返る。今では売上高ベースで、自販、受託で半々の割合という。

 自販で最初に展開したのはガーゼケット。現在では「ふんわり、しっとり、ガーゼケット」の商品名で、5重織りを中心に、3、4、6重までを販売する。通常、多重ガーゼはジャカード織機で織ることが多いが、あえてドビー織機で製織する。先染めの糸を使い、ナチュラルなカラーで展開する。

 日よけシェードの「イチオリシェード」は12年に開発。自社の特殊な織機を駆使して製造する、からみ織りが特徴。ボーダーやグラデーションなどカラーやデザインにもこだわり、住宅の様式にとらわれない作りにした。

 自販をする上で、生地の開発にも力を入れる。「顧客が求めることに対して、多重織りで実現したいという思いがある」と語り、これまで多重織りだけでも、数百点以上の試作品を製造してきた。「多重織りは糸のバランスを見ながら重ねて織るのが大変だが、それなりの自信はある」

 今後については、「織物工場として、収益は確保していきたいが、お客さんありきなので難しい面もある」とし、受託製造を着実にこなしつつ、商品構成や販売力を付けて自販を強化する。2月に東京で開かれるギフト・ショーにも多重ガーゼ関連の自社商品を出品する。

 三河をはじめ、全国の産地で規模の縮小や企業の廃業といった状況が続く。そんな中でも、「あまり悲観しても仕方ない」と前向きに語る。「今後もこだわりのモノ作りで、商品やストーリー性を意識した生地作りをしていきたい」

社名:市川織布工場

本社:愛知県蒲郡市鹿島町西郷90

代表者:市川 良孝

電話番号:0533-68-2920

URL:www.ichiori.com

主要設備:ソメット社製のドビー搭載レピア織機15台で、全台緯糸8色対応。筬(おさ)幅は230cm12台、210cm3台。ほかには検反機やワインダーなど

従業員数:10人