アパレルトップ インタビュー2018 ⑩

2018年01月22日(月曜日)

ワコール 安原 弘展 社長

オムニチャネル実現へ/卸の得意先巻き込んで

  ――2017年のインナー市場を振り返ると。

 「快適」「解放」をキーワードとした、ワイヤーの入っていないブラが世界的に注目された。当社もこの流れに乗り遅れることなく対応できた。ただ、考え方を整理する必要がある。ワイヤーが入っている商品は古く、入っていない商品の方が今風で気持ちいいというような短絡的な捉え方をしてはいけない。市場にはさまざまなニーズが混在している。

  ――今年はどんな年になる。

 ネットで販売だけを行っていた企業が、作って売る側に回るという動きが既に出ている。コンペティターは同業だけではない。業界の垣根を越えてコンペティターが現れる。その中には、パートナーになり得るところもあるかもしれないが。いずれにしても、新しいビジネスモデルをいかにして構築するかが問われる年になる。

  ――貴社の課題を教えてください。

 ワコール版オムニチャネルを実現すること。直営店と自社EC(電子商取引)との連携は既に始めたが、百貨店や専門店など卸の得意先も巻き込んでオムニチャネルを実現したい。ただ、それには乗り越えるべき壁がある。

 例えば百貨店で当社商品を買われたお客さまの情報をどう得るか。売り場で管理はしている。しかし、それは紙のデータ。当社は千人以上の女性の幼少期から老齢期までの体形変化に関するデータを保有し、商品開発に生かしている。

 顧客が当社の商品をどこでどう買ったのかについての履歴情報はない。売り場での紙による管理にとどまっていた。顧客情報をデジタル化し、百貨店と共有したいと考えている。それにより、「ワコールって私のことを分かっているのね」と思ってもらえるようにしたい。

 在庫管理の一元化も必要だ。今期末までに、卸部門の在庫管理システムを一元化する。チャネル別に管理していた在庫をシームレス化し、サービス向上と在庫効率の向上を図る。

 オムニチャネルへの取り組みの目的は、単にネットで売ることではない。当社は強いリアル店を持っており、それをいかに強化するかが主眼だ。ただ、顧客の利便性を高めるために、いつでも、どこででも買える状態を作りたい。