明日へ これが我が社の生きる道 織布編(46)

2018年01月23日(火曜日)

遠孫織布 自然体で“機屋”守りたい

 「“これが好き、面白い”という感覚で、暇を見つけて試織し、仕上げて表情を確かめる、工場(こうば)ならではのモノ作りがある。従来の産地の家内工業でこれを続けていく限界もある。機屋(はたや)で残るために何が必要かを考えることが増えた」と綿先染め織物の播州織産地で生地自販を手掛ける遠孫織布の4代目、遠藤由貴(47)社長は言う。

 全織機にジャカードを搭載し、立体感ある紋織地を得意とする同社の設立は1952年。以来約70年、今や産地で10社足らずの貴重な存在となったジャカード機屋の一翼を担ってきた。由貴さんが両親の切り盛りする工場に入ったのはバブル全盛の20歳の頃。他の産地機業同様、産元からの賃織を営んできた。

 ほどなくバブルが崩壊し受注減が始まる。業界縮小にいよいよ危機感を感じ、生地自販に乗り出したのは7年前。代替わりの13年前の工場建て替え時に導入し、ある産元商社とかねて二人三脚で切り盛りしてきた専属の広幅ジャカード2台に空きが目立ち始めた頃。

 自販に挑戦する産地の先輩機業に混じって展示会に出展。「最初3年は見向きもされなかった」が、「とにかく継続。相手を知らないのは向こうも同じ」という先輩の声に後押しされ出展を続けた。今では売上高の半分、生産量の3割が自販品となった。

 モノ作りでは機屋の自然体を崩さない。自社品に継続客が付き、パネル調や、ウール、ラメ使いまで相手の好みに合わせた提案が増えても、「オリジナル生地は発想を膨らませるためのもの。合間にふと思い付いたサンプルから、『こんなものも織れるだろう』と新しい発想の湧くもの」を出展してきた。「うちしかできないのはこれ、とイメージを固めたくない」。時に価格設定さえ後回しでまず生地を作る。採用となって、話し込みで仕様を詰めることも少なくない。

 「織り柄では既にやり尽くし感もある」中、「何か違うこと」も模索中だ。昨年4月、脱家内工業の布石で、市の補助金も活用して産地外から初めて女性新入社員を新卒で迎えた。製織の手ほどきの傍ら、デザインシステム活用の勉強も共に始めたという。働きたいという遠方からの問い合わせは他にもある。「ありがたいこと」と言う一方、工業高校のインターンを毎年受け入れる「地元の若い人にも、もっと働き場として魅力を伝えたい」と力を込める。

 3年前、工場の隣りに設置したショールームには話し込みに来る顧客以外に、地元民から産地見学の学生、観光客まで、工場見学を兼ねて訪れる人が増えた。「ご近所さえ隣は何を織っているのかと思っているはず。かつて“工場縞(こうばじま)”と呼ばれた頃から進化した播州織を足元からも発信したい」。播州織に限らず、機屋の自然体も進化する。

社名:遠孫織布株式会社

本社:兵庫県西脇市高田井町938

代表者:遠藤 由貴

電話番号:0795-22-2704

主要設備:広幅レピア織機4台(イテマウィービング製R9500、2台。石川製作所製ビートマックス2100、2台。筬(おさ)幅190cm、全てボーナス製電子ジャカード〈2688口〉搭載)、並幅レピア織機6台(ビートマックス1001、山田ジャカード製電子ジャカード〈1680口〉搭載、2台。ビートマックス735〈840口〉、山田ジャカード製メカジャカード〈840口〉搭載、4台。筬幅は150cm)、シャトル織機2台(今村製ロボット織機、山田ジャカード製メカジャカードV200搭載)

従業員:3人