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「第4回ウェアラブルEXPO」/実ビジネスへ充実の提案/幅広い商材が一堂に

2018年01月24日(Wed曜日) 午前11時3分

 ウエアラブル端末の活用と技術の専門展「第4回ウェアラブルEXPO」が17~19の3日間、東京都江東区の東京ビッグサイトで開催された。163社が出展し、ソリューションから部品・材料まで幅広い商材が打ち出され、ビジネスの本格化を狙う繊維関連企業の姿も目立った。ウエアラブルデバイスが世界規模で拡大する中、同展への関心は高く、初日から多くの来場者でにぎわった。

 IT専門調査会社によると、2017年7~9月のウエアラブルデバイス世界出荷台数は2626万台に達し、前年同期の数字と比べて7・3%の増加となった。全体の数字をけん引しているのが、スマートウエアラブルデバイスで前年同期比64・9%増となるなど大幅な伸びを見せる。

 ウエアラブルは今後の成長が期待できる領域として、多くの分野から注目されている。そのような環境下で開催された第4回ウェアラブルEXPOは前回展と比べて、展示スペースが約1割増えるなど規模が拡大した。繊維関連企業の出展を見ると、実ビジネスに向けて着々と準備を整えているという感があった。

 帝人フロンティアは、関西大学システム理工学部の田實佳郎教授と共同開発した「圧電刺繍(e―stitch)」を出展。モーションセンシングのほか、利用方法によってはバイタルセンシングも可能な技術だが、ファッション性を兼ね備えていることが最大の特徴と言える。

 旭化成が披露したのは、伸縮電線の「ロボ電」。パンティーストッキング用糸の原理を応用して伸縮性を付与したもので、パワーサプライや高速通信で強みを発揮する。電気回路としての提案だけでなく、島精機製作所とのコラボレートでウエアとの組み合わせを容易にした。

 その島精機製作所は、「ホールガーメント」横編み機「MACH2XS123」、バーチャルサンプルを生産できる3Dデザインシステム「SDS―ONE APEX3」をブース内に置いた。旭化成のロボ電を組み合わせたウエアなども並べた。

 東洋紡は、電極・配線材向けのフィルム状導電素材「ココミ」を展示した。眠り検知や見守りなどのシステムとして活用が広がり、東北大学に“産後鬱(うつ)”研究用の妊婦向けスマートテキスタイルとしても提供している。心拍や筋肉の電気信号、呼吸数が同時に計測できるコンセプトウエアも作った。

 クラボウはスマート衣料「スマートフィット」を紹介した。昨年、建設と運送業計13社で延べ7千人に実証実験したデータを基に独自のアルゴリズムを構築した。管理画面も改良し、熱中症や転倒といったリスクが高い人だけが表示され、現場の情報を把握しやすくなった。

 ウラセ(福井県鯖江市)は、アラミド繊維に金属加工を施した高強力導電糸を展示した。一般的な銅線に比べ、曲げに強く伸縮性に優れているのが特長で、強度が異なる導電糸を紹介した。洗濯にも対応する「リネンタグ」も開発し、RFIDやウエアラブル用の配線用として提案する。

 今回のウェアラブルEXPOは実ビジネスを目指した提案が多くなると同時に、「量産が可能になり、用途を探索したい」(ヒーティング機能を持つ「CNTEC」を提案したクラレ)と話す企業もあった。繊維関連企業では住江織物、セーレン、ミツフジ(京都府精華町)、村田機械などが出展した。

 クラレはカーボンナノチューブコーティング導電繊維「CNTEC」ファブリックを紹介した。1本1本の糸に電気が通るため全面が発熱し、速温性や省エネ性にも優れる。薄くて柔らかく、軽いのも特長。融雪用途などで訴求を進めてきたが、量産化も確立し、ウエアをはじめとする幅広い用途での展開を狙う。

 旭化成が展開する伸縮電線「ロボ電」は、体の伸縮、屈曲、捻回などの複雑な動きに追随可能であるほか、耐久性にも優れており、ウエアでの活用が増える気配を見せている。島精機製作所とのコラボレーションも進み、今後はヨガシーンやアウトドア、デーリーアウターでの展開拡大を予感させる。

 「ホースコール」用ベルトカバーを筆頭に活用事例が増えている東洋紡の「ココミ」。同素材を使った妊婦用インナーウエアは、ユニオンツールの心拍センサーと組み合わせたスマートテキスタイルだ。東北大学東北メディカル・メガバンク機構が取り組んでいる「産後鬱(うつ)」の研究向けなどで開発した。

 ミツフジは、ウエアラブル総合ブランド「ハモン」を幅広い顧客に提案した。介護・福祉、従業員見守り、スポーツを注力3分野に掲げており、今回のウェアラブルEXPOでは「実用化」をテーマに訴求した。取り組みも着実に増え、今後はソフトウエアの開発にも力を入れる。

 帝人フロンティアと関西大学が共同開発した「圧電刺繍」。センシングとファッション性を兼ね備えるのが大きな特長で、ウェアラブルEXPOでは「京都デニム」ブランドで知られる豊明(京都市)の協力を得て制作したサンプルを見せた。インソールやシューズのアッパー、ペットの見守り用途などでも広がりを見せそうだ。

 ふくい産業支援センターのブースでは、4回目の出展になるSHINDO(福井県あわら市)が伸縮、耐熱性に優れた4種類の導電ストレッチ素材を提案した。スポーツトレーニング用などの活用を期待する。ブースでは実用化された脳波を測るヘッドバンドなどを展示した。

 クラボウの「スマートフィット」は心拍数や加速度、衣服内の温度を測り、熱中症や転倒の危険性を解析する。作業現場で働く人全体の健康状態を把握できるほか、個人ページで一人一人の勤務状況や体調の履歴が分かる。ブースでは管理画面のデモンストレーションも行い、来場者に注目された。