ジェトロ調査/越は消費市場としても価値/日系企業の7割拡大方針

2018年02月09日(金曜日) 午後3時55分

 日本貿易振興機構(ジェトロ)ホーチミン事務所は6日、「2017年度アジア・オセアニア進出日系企業実態調査」について、ベトナムの動向を解説した。調査では製造・サービス業を含めた日系企業の6割が黒字見通しとなり、7割が事業拡大の方針を示した。ジェトロは「ベトナムは製造拠点だけでなく消費市場としても価値を持ち始めた」と分析する一方、「人件費の高騰」がリスクと回答する企業も6割を超えた。

 黒字見通しの日系企業は、前年比2・3ポイント増の65・1%となり、輸出型の製造業が67.5%、国内販売向けの製造業が62・5%、非製造業(サービス業)が63・4%だった。その上で日系企業の69・5%(前年比2・9ポイント増)が事業の拡大方針を示した。その理由として、「売り上げの増加」を受けたものが約88%。さらにサービス業はおよそ6割が「市場の成長性」を挙げた。ジェトロ・ホーチミン事務所の滝本浩司所長は、「従来型の製造業からサービス・消費財産業へシフトし、ベトナムを消費市場と考える企業が増えている」と解説した。

 ベトナムの投資環境のメリットは「市場規模・成長性」(64・2%)、「安定した政治・社会情勢」(61・8%)、「人件費の安さ」(52・5%)だった。対してリスクは「人件費の高騰」(61・6%)、「法制度の未整備・不透明な運用」(46・9%)などとなった。後者について、企業側からは具体的に中古機械の輸入規制や外国人の強制社会保険制度などが挙がったという。

〈小売業FTA有効活用〉

 製造業の現地調達率は、33・2%で前年から1ポイント下落。中国の67・3%、タイの56・8%、インドネシアの45・2%、フィリピンの42・2%などに比べて、依然として低い水準にある。調達先全体に占める地場企業の割合は13・1%にとどまっていて、滝本所長は「優れた地場企業の発掘もしていきたい」と述べた。

 今回の調査では経済連携協定(EPA)や自由貿易協定(FTA)の利用状況についても尋ねた。日本、ASEAN、中国を輸出入の相手国とし、FTAなどを使って輸入している業種は、卸売・小売業が最も多かった。滝本所長は「ホーチミン市などで購買力が上がり、輸入が増えている。ベトナムは製造拠点だけでなく消費市場としての価値を持ち始めている」と解説した。一方、輸出は日本向けが繊維、ASEAN向けが鉄・非鉄・金属、中国向けが輸送機械器具だった。

 サービス業向けには市場開拓の取り組みを質問。ベトナムでは、消費者が「品質を重視する」との回答が、他国より高い傾向にあった。商品・サービスについて、「現地向けにカスタマイズした商品」が好まれるとの回答が58・4%に上り、全体の54・4%を上回った。効果が高いと思う宣伝媒体は、会員制交流サイト(SNS)が69%で最も高かった。

 同調査は、アジア・オセアニアの計20カ国・地域に進出する日系企業1万1994社を対象に17年10月10日~11月10日に実施し、4630社(全体の38・6%)から有効回答を得た。このうち、ベトナムは652社(有効回答率48・5%)だった。〔NNA〕