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特集 事業戦略(6)/シキボウ 上席執行役員繊維部門長 加藤 守 氏/新中計で収益基盤を再構築/中東輸出と原糸販売で苦戦

2018年02月27日(Tue曜日) 午後4時6分

 シキボウの繊維事業の2017年4~12月決算は前年同期比減収減益だった。ユニフォーム事業は堅調だったものの、中近東の民族衣装向け生地輸出と国内外の原糸販売が大きく苦戦した。18年度に始まる3カ年の中期経営計画では原糸分野の収益基盤の再構築に取り組む。子会社を含めた海外生産拠点を連携させることでグループ全体の業績拡大を狙う。

  ――2017年4~12月業績を振り返って。

 繊維事業の業績は売上高173億3400万円(前年同期比7・7%減)、営業利益4千万円(91・7%減)でした。分野ごとに健闘したところと苦戦したところがはっきりと分かれました。

 ユニフォーム事業は健闘し増収増益でした。備蓄アパレル向けの素材は販売が順調に進んだほか、別注案件も底堅い動きでした。昨年4月に組織編制を変えたことが奏功しました。

 特に好影響を与えたのはニット素材・製品を扱うスポーツ課をユニフォーム課に編入したことです。この組織の変更によって、ユニフォーム市場にニットを展開し順調に売り上げを伸ばせました。

 カジュアル分野のニット製品の販売も利益の改善が進みました。ここも組織に手を加えたことで業容が良くなりました。これまでカジュアルニットは東京と大阪で別々の部署で販売していましたが、今期から一つに統合しました。

 これにより両部署間の情報共有ができるようになり、受発注の効率化が進んだため利益率が上がりました。これまでシニア向けが多かったのですがレディースの提案も緒に就くことができました。

 生産面ではユニフォームとニット製品においてベトナムで紡績から製品までの一貫生産を確立し、軌道に乗ってきました。まだまだカジュアルニット製品が多いですが今後、ユニフォーム向けも増やします。

  ――苦戦した分野は。

 原糸販売は非常に苦戦し大幅な減収減益となりました。シキボウ本体、国内、海外の関係会社の全てが厳しい結果となりました。特に国内の繊維産地向けの市況悪化が顕著でした。当社の糸は百貨店アパレルの高級衣料向けが多く、店頭の不振が産地企業の糸の需要を減らし、これが当社の糸販売を直撃しました。

 中近東の民族衣装向け生地輸出も商況が悪化し振るわず、減収減益でした。昨年の2月ごろから徐々に減速して現在も厳しい状況です。周期的に在庫調整期が来るのですが今回は長期化しています。その背景にあるのは販売国での消費不振です。昨年、販売国で初の付加価値税の導入が決まり、これからどの程度、消費に影響が出るのか、販売先は読めないため仕入れに慎重になっています。

 寝装やリネン向けの生活資材分野はほぼ前年並みでした。下半期に入って羽毛価格が上昇し布団販売が失速気味ですが、ホテル、病院向けリネン商品は堅調に伸びており悪くない状況です。

  ――来期の戦略は。

 これまで事業の選択と集中を進め、それに応じて生産体制の見直しを国内外で進めてきました。今後も環境変化に合った変更を加えます。今期はタイシキボウの撤退を決め、まずは一定のところまで来ました。

 来期から新たな中期経営計画が始まります。海外生産と海外販売の拡大によりグループ全体の収益基盤の再構築に取り組みます。その中で柱となるのが、原糸販売事業の立て直しです。

 原糸販売についてはインドネシア、ベトナムに加え、タイは新内外綿の子会社J.P.ボスコ、この3拠点に日本での生産を含めた連携を強めたいと考えています。これまで海外の生産拠点はそれぞれ、別々に市場や顧客を定めていましたが、来期からはグループとしてより組織的な販売戦略を実施します。

 国内は富山工場の活用法がキーポイントになります。現在は産地向けが中心で厳しい状況ですが、ここの糸を自社のテキスタイル、製品に使えないか検討中です。ニットの特徴あるアイテムや中東向け生地用途に富山で新たな糸を開発して使えないかと考えています。そのため、これまでより糸の開発を重視する方針です。当社の近年の開発は加工に重点を置いていましたが、これからは加工に加え、糸の設計や織り・編みなども複合した素材開発に取り組みます。