「らしさ」に 勝機  MU・PV レビュー (下)

2018年03月01日(木曜日)

「現地化」も大切な要素

 「らしさ」とは相反するようにも思える「現地化」も輸出拡大には不可欠な要素になる。

 今回の「プルミエール・ヴィジョン(PV)・ファブリック」と「ミラノ・ウニカ」(MU)でよく耳にしたのが、「日本らしさ」「自社らしさ」の追求だったが、「自己満足では意味がない」との指摘も出る。「らしさ」にこだわるあまりおろそかになりがちなのが、現地化という要素。「らしさ」と「現地化」。プロダクトアウトとマーケットインとも言い換えることができるこの二つの要素が輸出拡大への両輪となる。「らしさ」だけでも「現地化」だけでも輸出拡大は成らない。

 現地化を実践できている日本出展者はそう多くない。スタイレムのようにイタリア法人の生地ブランド「レティンテ」や「エディチオーネリミタータ」、日本発海外向けブランドの「ゼン・キワミ」など、マーケットリサーチに基づいた各種コレクションを発表できる例は、日本企業には少ない。

 どちらかと言えば日本の出展者が得意とするのは、「らしさ」の方。中小産地企業や染工場にこそ独自技術があることや、商・工分離が根付く日本の特徴が背景にあることがその要因もしれない。

 瀧定名古屋は前回展に引き続き、「サステイナビリティー」をPVの展示テーマとした。それは、提案を強化する北欧系ブランドの多くがこの切り口を重視しているためであり、市場調査の結果でもあった。思惑通り北欧ブランドで同社生地の採用が進んでいる。

 日本市場ではまだまだ根付く気配のない「エコロジー」という要素を各社が強く打ち出したのも、現地化の一つ。昨年ごろから「徐々にエコの要求が強まっている」という指摘がMUやPVの日本出展者から示されていたが、その流れは今回展でひとまずのピークを迎えたと言えるほど熱心なものだった。

 「エコの打ち出しはまだできていない」(宇仁繊維など)との声も一部にあるものの、特にPVではほとんどの日本出展者が何らかのエコ関連商材を展示訴求していた。日本出展各社が、欧州ブランドが急速にニーズを高めるエコという流れを強く意識し、現地化を図った結果による。

 設備改良による希少性や日本の固有文化の表現で商品面の「らしさ」を身に着け、備蓄販売など世界に対して日本が秀でるとされるサービス機能を携え、エコなど世界の潮流を意識した提案を行う。この繰り返しと研さんが海外市場を開く。

(おわり)