縫製機器のデジタル革命 (前)

2018年03月01日(木曜日)

ビッグデータ活用へ/ミシンのネット接続も

 デジタル技術の進展によって、第4次産業革命が起ころうとしている。当然ながら縫製機器メーカーも、この世界的潮流を強く意識している。縫製機器のデジタル革命はどこまで進んだのか。

 「スマートファクトリー」とは、工場内のあらゆる機器をインターネットに接続し、品質・状態などのさまざまな情報を見える化した工場。縫製工場内の全ての機器をインターネットに接続することはまだ難しいようだが、自動裁断機(CAM)についてはかなり進んでいる。

 レクトラ・ジャパンは10年以上前から、納品したCAMの稼働状況を、インターネットを介して把握。その情報を分析し、部品の交換時期や、より効率的な稼働のさせ方などをユーザーへフィードバックしてきた。このことは、ビッグデータが同社に既に蓄積されていることを意味する。このデータを活用して新たな提案を行う。内容はまだ公表していないが、2020年からの全面展開に向けて、幾つかの顧客と運用試験を進めていることを田中昭彦社長は明らかにした。

 CAMとは対照的に、ミシンのインターネットへの接続はほとんど進んでいない。1工場当たりの必要台数がCAMとは比較にならないほど多く、接続できるようにすることで1台当たりの価格が高くなり過ぎると、受け入れてもらえないからだろう。ただ、スマートファクトリー化に向けて挑戦する動きはある。

 JUKIは、工具などで行っていたミシンの調整をデジタル化し、パネル上で行えるようにした。将来のネットワーク化に備えた試みだ。この種のミシンを同社は、「デジタル・ソーイング・システム」と呼ぶ。これによりデータの保存も可能になった。同システムで調整したデータは、USBや近距離無線通信規格のNFCなどにより、他のデジタル・ソーイング・システムに移すことができる。加えて同社は、ロボット縫製の研究にも取り組んでいる。

 JUKIの挑戦は、縫製工場全体がスマートファクトリー化する時代の到来を予感させる。そして、その予感を確信に変えるかもしれないブレークスルー技術が登場した。

 特定のミシンのデータを取り出す場合、これまではUSBやNFCなどを使うしかなかった。つまり、人が介在する必要があった。ところがブラザー工業が、電波でデータを送ることを可能にするアクセサリーを、同社工業用ミシンの戦略機種、「ネクシオ」用に開発した。同アクサセリーを、ネクシオのUSB端子に挿入すると、そこから発信されるデータが、工場内に設置した200台対応可能のゲートウエーサーバーを介して、クラウドサーバーに送られるという。

 ミシンのデータを、電波を介して収集するのは非常に難しいとされていた。工場内にさまざまな電波が飛び交っており、その中から特定のミシンが発信する電波を確実に取得するのが難しかったからだ。それを可能にする無線通信技術の確立が、今回のブレークスルーにつながった。