タイの日系繊維企業/勢いづく資材用繊維/衣料用は一層の高付加価値化が不可欠

2018年03月05日(Mon曜日) 午前11時0分

 タイ国民の敬愛を集めたラーマ9世(プミポン国王)の崩御から約1年半がたち、喪が明けたバンコクの街も活気を取り戻しつつある。経済成長率も上向き始めた。こうした中、タイの日系繊維企業も新たな立ち位置を確立しようとしている。(バンコク=宇治光洋)

 タイの2017年の実質GDP成長率は3・9%。15年の2・9%、16年の3・2%から成長が加速しており、18年もタイ政府は3・6~4・6%の成長を見込む。経済の堅調を受けてバーツ高の傾向が続くが、輸出も好調を維持した。こうした経済情勢はタイの日系繊維企業の業績にも色濃く反映され、資材用繊維が輸出中心に好調となる。

 テイジン・ポリエステル〈タイランド〉(TPL)のポリエステル短繊維は不織布・機能紙向けが好調。テイジン〈タイランド〉(TJT)の原着わたも、自動車内装材に加え一般資材用途でも販売が拡大した。ゴム資材向けシングルエンドコード製造のテイジン・コード〈タイランド〉も、先行投資で減益となった16年度と比較して利益が2・5倍に。16年に稼働したタイヤコードディップ反製造のテイジンFRAタイヤコード〈タイランド〉も、販売がスタートした。

 ポリプロピレンスパンボンド製造の旭化成スパンボンド〈タイランド〉、スパンデックス製造のタイ旭化成スパンデックスともに、16年に実施した増設効果で17年は販売数量が拡大した。いずれも衛材用途が販売拡大をリードしている。

 資材用途の生産・販売が勢いづく一方、衣料用途は転換点に差し掛かる。タイでの衣料用原糸・原反生産と販売は、タイ国内の縫製が縮小していることから東南アジア域内などへの輸出向けが中心となるが、人件費の高さや人手不足から他の新興国との競争で劣勢に立たざるを得ない。バーツ高も追い打ちをかけた。

 このためTPL、TJTともに衣料用ポリエステル長繊維が不振。紡績ではサイアム・クラボウのデニム糸に勢いがなく、タイフジボウテキスタイルも生産設備再編で減錘に踏み切った。タイシキボウは昨年9月に撤退している。もはやタイは衣料用で定番品を主力に生産できる国ではないことが共通認識となる。

 こうした中、タイ・クラボウは染色加工のタイ・テキスタイル・デベロップメント・アンド・フィニッシング(TTDF)と連携して綿・HWMレーヨン「モダール」複合やハイパワーストレッチなど高付加価値な生地に力を入れ、欧米向けで販売量を増やした。TPL、TJTも衣料用ポリエステル長繊維はスポーツなど高付加価値分野への特化を進めており、織布・加工のタイ・ナムシリ・インターテックスとの連携を強める。染色ではタイ東海がキュプラ混や精製セルロース繊維「テンセル」混など高付加価値品の加工に力を入れている。

 タイの日系繊維企業が衣料用途で活路を見出すためには一層の高付加価値化が不可欠となる。