中国/シェア経済、47%増の4.9兆元/生活サービス伸長、7億人が参加

2018年03月07日(水曜日) 午後3時29分

 中国国家発展改革委員会(発改委)系シンクタンクである国家信息中心によると、2017年の中国のシェアリングエコノミーは前年比47・2%増の4兆9205億元規模となった。シェア自転車など生活サービスを中心に高い成長を維持。幅広い産業を含む中国のシェア経済には、国民の2人に1人となる7億人が参加しているという。一方で産業の急拡大に伴い、利用者の権益保護など制度整備の必要性も指摘されている。

 国家信息中心シェア経済研究センターと中国インターネット協会シェア経済作業委員会がこのほど、「中国シェア経済発展報告2018」としてまとめ発表した。

 17年のシェア経済を分野別に見ると、資金を借りたい人と貸したい人をインターネットで結び付けるピア・ツー・ピア(P2P)融資など「金融」が2兆8264億元で全体の57・4%を占めた。非金融分野の合計は2兆941億元で全体の42・6%。金融の占める比率は前年の62・4%から縮小しており、同分野が中心だった中国のシェア経済はより裾野が広がっていると言える。

 非金融の中では、シェア自転車や出前などの「生活サービス」が1兆3214億元で最も比重が大きかった。生活サービスの伸び率は82・7%となり、全体平均を超えている。

 そのほか生産や物流の設備や技術サービスを融通し合う「生産能力」シェアが4120億元(前年比25・0%増)、カーシェアリングなど「交通」が2010億元(同56・8%増)、インターネット上でのQ&Aサービスなど「知識・技能」シェアが1382億元(同126・6%増)となっている。空き住宅を短期間貸し出す「シェアハウス」も規模は145億元と小さいが、伸び率は70・6%と知識・技能シェア、生活サービスに次いで高かった。

〈参加者1億人増加〉

 シェア自転車の運営会社など関連サービス企業で働く人の数は716万人となり、前年から22・3%増加した。シェア経済への参加者は1億人増の7億人。サービスや資産などをシェア経済に提供する人の数は1千万人増の7千万人に達している。

 国家信息中心の報告は、シェア経済は鉄鋼や石炭などの産業の過剰生産の整理で発生した失業者の受け皿としても機能していると指摘する。配車サービス「滴滴出行」ではサービス提供者2108万人のうち、過剰生産の削減で職を失った人が393万人を占める。出前サービスなどの「美団」などでも、多くの失業者や貧困地区の労働者を受け入れているという。

〈ユニコーン企業31社〉

 中国のシェア経済市場で、非上場で企業価値が10億ドルを超えるベンチャー企業、いわゆる「ユニコーン企業」は31社に達している。

 企業価値が100億ドルを超える大手には「美団」やP2P融資の「陸金所」などがある。日本へも進出しているシェア自転車の「モバイク」や「ofo」の企業価値も30億ドルを超えているという。ほかにもウェブサイト(オンライン)から実店舗(オフライン)に消費者を導くビジネスモデル(O2O)を手掛ける「恵民網」、動画配信の「微影TV」、民泊の「途家」、Q&Aサイトの「知呼」などがシェア経済のユニコーン企業に数えられている。

 一方、中国のシェア経済は大量の投資マネーの流入により急拡大しているという側面もある。昨年のシェア経済への資金供給額は2160億元となり、前年比25・7%拡大した。分野別では「交通」への投資が1072億元と約半数を占めたほか、生活サービス(512億元)、知識・技能シェア(266億元)も多くの資金を集めた。

〈利用者の権益保護など課題〉

 急拡大する中国のシェア経済だが、成長によって生じる各種問題も指摘されている。国家信息中心の報告は、個人情報の管理や保証金の流出リスクなど利用者の権益保護▽新業態が多いため複数の政府部門に管理がまたがるといった管理面▽シェア自転車の無秩序な駐輪など、都市管理での対応▽市場独占行為の防止や企業責任の線引きなど基本的なルール――の4点に課題が集約されるとしている。

〈今後も年30%成長へ〉

 その上で国家信息中心の報告は、シェア経済は勃興期から成長期へ向かい、今後も年平均30%以上の安定した伸びが見込めるとした。サービス分野も広がって行くとし、特に農業や教育、医療、高齢者サービスが注目されるとみている。サービスの海外進出が加速するほか、市場のニーズに合わせて保証金不要のサービスが増えるなど信用体系の整備も進むと楽観している。

 中国のシェア経済の統計やリポートはさまざまな企業、機関が発表している。市場調査の艾媒諮詢が2月初旬に発表したリポートによると、17年のシェア経済は前年比44・6%増の5兆7220億元だった。同社は18年について、31・2%増の7兆5050億元になるとの予測を示している。

〔NNA〕