ベトナムの日系繊維企業/進む素材・縫製一貫/開発案件が立ち上がり

2018年03月08日(木曜日) 午前11時21分

 素材を国外調達に頼ってきたベトナムでの衣料品生産だが、それらを現地で調達・開発し、同国内の一貫生産で完結させる流れが順調に立ち上がっている。定番品から始まり付加価値素材の開発案件も見られる状況。“チャイナ・プラス・ワン”でのベトナムの存在感が高まり続けている。(石川 亮)

 「素材を現地調達化する方針は具体的な成果が出る段階に入った」。スミテックス・インターナショナルのベトナム法人スミテックス・ベトナム(SVL)の佐藤仁社長は現状をこう話す。

 17年度に約10%の増収を果たした同社のけん引役は、パンツを中心としたボリュームゾーン向け製品OEM。その多くが素材を現地化したもので、生産ロットが合う定番品向けで国外調達からの置き換えが進んだ。

 対日衣料品生産でベトナムの存在感は、こうした実績を象徴として高まり続ける。リスク分散と生産能力増の受け皿をベトナムに求める動きが加速しており、「ベトナム一国で完結させるサプライチェーンの要望は非常に強い」と、現地の日系商社は口をそろえる。

 縫製基盤として長年の実績があるところへ、台湾系・韓国系の企業を筆頭に川上・川中基盤が急速に発展。中国に次ぐ地理的な近さに加え、リードタイムを短縮する日本の顧客からの要望も拍車を掛ける。ある日系検査機関は「チャイナ・プラス・ワンはベトナムで決まり」と指摘する。

 SVLの実績に見られるように、素材の置き換えは韓・台メーカーを協業先としたポリエステル素材、綿と複合したボリュームゾーン向けが先行する。豊島ベトナムは生地販売事業で共同開発した素材を、現地の対日輸出用外資系工場に販売。三井物産ベトナム法人に開発担当人員を置く三井物産アイ・ファッション(MIF)は「スポーツウエア向け定番品とユニフォーム用独自素材の供給が確立した」(生田目直樹マネージャー)と語る。

 ヤギ〈ベトナム〉はショッピングセンターや通販向け春夏衣料などで素材の現地化を着実に進めた。同社はセレクトショップ向けジーンズ生産でも一貫生産に着手。吉井崇社長は「現法の事業拡大は、素材の現地調達化が鍵を握る」と語る。

 日系商社は次のステップとして付加価値品の開発を見据える。多品種・小ロットを求める日本の顧客と現地の開発協業先との間には最小ロットに隔たりがあり、この課題をいかに乗り越えるかがポイントとなる。

 MIFは中国企業との開発も開始。細番手綿糸を調達し、高密度に織るコート地が、ベトナムでの縫製一貫で一部、18秋冬衣料での採用を見込む。

 SVLはポリエステルレーヨン混素材、水着用トリコットなどが試織段階。ボンディング物など中高級衣料品向け素材開発にも着手した。製品化にこだわらず、生地段階で販売することも視野に入れる。小ロット生産につなげるために「発注を続けて、関係を深める」ことを重視する。