明日へ これが我が社の生きる道 織布編(56)

2018年03月09日(金曜日)

新美 さまざまな要望に応える

 「人がやりたがらない、他にできない織物でも織る。今まで頼まれた仕事は断ったことがない」と、知多織物産地で小幅織物を手掛ける新美(愛知県阿久比町)の新美公男社長(72)は言う。強度の低いガラ紡績糸を経糸と緯糸に使った織物などを生産できるのは、新美社長が部品も含め織機を手直しできることも大きい。工場には溶接専用の部屋もあり、社長自ら作業する。「新美に頼めば何とかすると思われている。種類が多くて大変」と話すが、織機の改造も含めた技術力が不可能を可能とし、顧客の信頼に結び付いている。

 同社は1967年新美弘商店として創業、会社設立は89年。小幅織物と言えば浴衣や手拭いだが、こうした生地を手掛ける一方で、他社にはないモノ作りが同社の真骨頂。取材時にも特殊な素材の織布依頼があった。それは馬の毛。新美社長は手に取り「麻っぽい風合い。問題なく織れるだろう」と軽く言う。

 これまでにもガラ紡績糸の単糸使い、0・8番の太番手糸使い、麻糸を経・緯糸ランダムに織り上げたものなど「頭を悩ませるような織布依頼が来るが、織物に仕上げる作業は面白いし、出来上がれば達成感もある」。誰もできないことができれば当然だろう。

 先日はラオスで手織りされている生地を作ってくれないかとの依頼もあった。綿のガラ紡績糸使いだが、これも完成させた。こうした特殊な織物は全体の20~30%を占めるという。

 「夜寝ていても、ふと目が覚めてヒントが浮かぶことがある」と職人らしいが、その力量が知れ渡り「どこかで当社を聞き付けて、織布依頼が入ってくる」そうだ。

 しかも技術力は織布にとどまらず、織機の改造にまで及ぶ。25年ほど前に溶接の資格を取得しており、「溶接についてもプロ級になった」と笑う。こうしたモノ作りの精神は息子の弘郎氏にも引き継がれている。ちなみに、弘郎氏も溶接の資格を取ったそうだ。

 同社はこれからも、誰もがやりたがらないものを「あえてやる。さまざまなものが持ち込まれるので頭は痛いが、今後も追求する」と意欲的。広幅シャトル織機での帆布生産挑戦もその一つになる。

 あらゆる顧客の要望に応え続ける。それが信用にもつながる。「生き残るためにも大切」と強調する。

社名:新美株式会社

本社:愛知県知多郡阿久比町植大植中根33

代表者:新美 公郎

電話番号:0569-48-1454

URL:niimi-textile.jp

主要設備:シャトル織機=小幅212台(内、ドビー搭載31台)、広幅6台など

従業員数:17人