インドネシア日系繊維企業/収益基盤の見直しへ/生産コスト改善が急務

2018年03月12日(月曜日) 午後4時21分

 インドネシアの日系繊維企業が収益基盤の見直しを進めている。販売先の衣料品市場の低迷に加え、毎年上昇する最低賃金や原料コストで、利益の拡大がこれまで以上に難しい状況に置かれている。同国内でのコスト削減を徹底し、何を作りどこへ売るのか―事業の再構築を改めて進める。 (橋本 学)

 インドネシアの2017年の実質GDP成長率は5・2%(IMFによる)と、昨年に続き堅調な伸びを示した。景況感の指標の一つとされる自動車販売台数は、14年の120万台から15年に101万台にまで落ち込んだものの、そこから徐々に増え17年は108万台にまで回復した。

 景況感の明るさが数値に表れる半面、現地の日系繊維企業から聞かれるのは同国で事業を拡大する難しさだ。生地輸出では仕向地での衣料品市況の悪さが販売に影を落としており、内販も容易ではないのが現状。

 生地販売でターゲットとしたカジュアル用途の内販は、現地企業との競争に加え、中国やベトナムなどの生産品との競り合いが激しい。さらに、中国からの安価な密輸品も無視できない量になっている。

 毎年8%程度上昇する最低賃金やポリエステル、ナイロン、綿花、レーヨンの原料価格の高騰は利益を圧迫している。こうした難しい状況の中、日系企業は一層のコスト削減を進めるとともに、衛材用不織布、産業資材、ユニフォームといった成長分野に力を入れる。

 東レのインドネシア事業は、前期比増収増益を見込む。

 衣料向け繊維素材は低調で、中東の民族衣装向けテキスタイル輸出が現地の市況悪化で苦戦した。その不振分野を補ったのが産資やおむつ用不織布。現地の自動車増産で車両用途の樹脂レジンが好調なほか、生活水準の向上とともにおむつの売れ行きが良く、追い風となった。

 来期も、市場の成長が期待される産資や衛生資材用繊維で業績を拡大させる。衣料向けは、付加価値の高い素材開発や生産コスト削減がテーマ。中東の市況回復は不透明なため、トーブ用の素材をアフリカ向けのユニフォームや学生服、パンツ地などへの転換を検討する。

 帝人フロンティアインドネシアも17年4~12月は増収増益となった。中東向け民族衣装用のテキスタイル輸出が苦戦したが、縫製品輸出と産業資材の好調で補った。

 来期は、産業・自動車用資材、おむつや生理用品メーカーへの繊維素材販売で業績拡大を狙う。産業資材用途では、耐熱アラミド繊維を使った集塵フィルターなどが好調。来期も工場の新設などで伸びが期待できるという。

 縫製品はほとんどが日本向け。スポーツ衣料が大半で東京五輪が近づいた影響もあってOEMの受注が順調。20年までは底堅い商況を予想する。

 ユニチカの紡織加工子会社、ユニテックスは先染め織物をこれまでドレスシャツ地に販売してきたが、密輸入品の増加や低価格攻勢で苦戦している。そのためユニフォーム用途に切り替えて拡大を目指す。業務用シャツやサービス業の制服用途として提案する。独自の紡績糸「パルパー」の肌触りの良さ、吸水速乾性、寸法安定性といった多機能を強みに、糸・生地の両方で拡大を図る。