明日へ これが我が社の生きる道 織布編(57)

2018年03月13日(火曜日)

高田織物 全ては畳のために

 畳縁を製造する髙田織物(岡山県倉敷市)は、児島産地の織布業の中でも独自性の高い事業形態を維持してきた。そもそも畳縁が「畳ありき」の存在で、畳業界との関わりが非常に強い。そのため衣料生地とは異なる事業展開が必要になる。

 近年は、畳縁を用いた小物や、畳縁自体を細幅織物の“生地”として自販するなど、新たなビジネスを展開する。しかし、髙田尚志専務(36)は「自販は畳縁を一般消費者に身近に感じてもらうために進めている。全ては畳業界に還元するための事業」と言い切る。

 同社は1892年の創業で130年近い歴史を持つ。創業時からさまざまな細幅織物を製造し、昭和初期に畳縁の製造を始めた。

 1962年にジャカードを導入し、合繊使いの柄入りの畳縁の生産を始めた。71年にニードル織機、87年に高速ジャカード織機、2005年に電子ジャカード織機を導入するなど節目ごとに設備を近代化させ、高い生産性を維持している。

 80年代後半には、独自性の高い自社製畳縁の見本帳を作り、畳店が見本帳を用いて販売する形態を確立するなど、畳全般の差別化、高付加価値化に貢献してきた。

 国内の畳の需要は、生活様式の変化などで基本的には減っているという。しかし、一部の宿泊施設では、海外観光客の増加に伴い、和室をしつらえる動きが出ている。その延長として、海外に畳文化を輸出する動きも業界内で盛んで、衰退していると一概には言えない。

 現在、同社製の畳縁は市場シェア35~40%を占める。現在も日に約2万畳分の出荷が続いており、年間500万畳分を出荷する畳縁の最大手企業だ。直近の決算でも増収になるなど堅調だと言う。

 髙田専務は、「畳縁が一般消費者に意識されるのは畳替えの時であり、多くて一生に数回。さらに畳の付属品という扱いで、業界内では明確な価格指標もなかった。そういった状況を変えたかった」と語る。

 同社は早い段階から工場見学の受け入れを積極的に行い、「髙田織物の畳縁」を一般消費者に周知する動きを進めた。この際の記念品として、畳縁を用いて製作した雑貨小物の販売が現在の自販事業のルーツになる。

 同社は10畳分(1反)からの小ロット対応も、通常の卸販売の中で進めており、どうしても発生する残反もそのまま自販の商材として活用した。

 当初は本社内で販売していたが、口コミなどで来客が増え、敷地内にショップ「FLAT」を15年に開設した。このほど隣接地に「ギャラリー」と「スタジオ」も竣工(しゅんこう)、同社の畳縁の持つ世界観を来店者に伝える。

 旅館、柔道、華道、茶道など“和”の象徴的な文化は畳と切り離せない。畳業界での事業継続は「和の文化を守り、伝えていくことにつながる」と髙田専務は語る。

社名:髙田織物

本社:岡山県倉敷市児島唐琴2-2-53

代表者:髙田 幸雄

電話:086-477-7162

URL:www.ohmiyaberi.co.jp/

主要設備:電子ジャカード搭載ニードル織機27台、ドビー織機21台、ジャカード搭載ニードル織機50台

従業員:30人