香港輸出業/米関税は打撃、産業界憂慮/衣類や電子機器など

2018年03月13日(火曜日) 午前11時35分

 中国が知的財産権を侵害しているとして、米国政府が中国による対米投資の制限や、衣類や電子機器など中国からの広範囲な輸入製品に関税を課すことを検討していると伝えられたことに対し、香港の産業界からは「実行に移されれば、香港の輸出業に甚大な影響をもたらしかねず、軽視できない」との声が上がっている。「香港経済日報」などが伝えた。

 香港の電子業界団体、香港電子業商会(HKEIA)の黄震副会長は、「香港は中国の電子機器を輸出するための重要な中継港であり、電子産業は香港の輸出の6割を占める最大輸出産業」と指摘。「米国が中国製の電子機器製品に関税を課すことになれば、香港の輸出業に著しい打撃をもたらす」と警戒感を示した。

 工業業界選出の立法会(議会)議員、呉永嘉氏は「米中間で貿易戦争が勃発した場合の香港製造業への影響は多大」と警告。「関税の税率が10%上がれば、深刻なダメージを受ける。5%上がっても、現在の利益率が1桁%台にあるメーカーにとっては、人民元高による原料調達コストの高騰も重なって、生存余地を狭める事態につながる」と憂慮した。

 一方、アパレル業界団体である香港製衣同業協進会の簡曼麗副会長は、米国の消費市場は衣類を輸入に依存しており、新関税を課せば、現地の衣類販売価格を押し上げるだけに過ぎないとして、最大の輸入先である中国に衣類関税を課す可能性は大きくないとの見方を示した。

 香港地場商社最大手の利豊(リー&フォン)の馮裕鈞(スペンサー・フォン)最高経営責任者(CEO)は、世界60カ国・地域に1万5千カ所の工場を保有している自社の現状を踏まえ、「貿易戦争が起きれば、迅速に生産ラインをその他の市場に移すことができる」と説明した。

〈貿易戦争の可能性は3割に〉

 UBSアセット・マネジメントのアジア太平洋エリア最高投資責任者(CIO)である胡一帆氏は、年内に貿易戦争が起きる確率はこれまでの20%から30%に高まったとの見方を示した。

 中国による知財侵害を巡る調査で米国が「クロ」と判定すれば、中国は、対中サービス貿易で黒字を続ける米国に対し、金融商品に報復関税を課す可能性に言及した。

〔NNA〕