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特集 アジアの繊維産業Ⅰ(7)/わが社のアジア戦略/シキボウ/海外拠点の連携で業績拡大“プラス”の構造改革へ

2018年03月28日(Wed曜日) 午後4時17分

 シキボウは、インドネシアに紡織加工のメルテックス、中国にはニット縫製の上海敷紡服飾、寝装品縫製の上海敷島家用紡織、寝装プリントの湖州敷島福紡織品を持つ。ベトナムでは協力工場による紡績から縫製までの一貫生産体制を構築する。撤退したタイシキボウの生産分はベトナム、インドネシアで補う計画。来期からグループの新内外綿のタイ子会社J.P.ボスコも含めた海外拠点の連携を強化し業績拡大を狙う。

〈上席執行役員繊維部門長 加藤 守 氏/コスト減らし、品質高める〉

  ――近年、中国でのニット製品縫製の再編を進めてきました。

 中国生産は、人件費の上昇などで収益性が低下していたためベトナムへの生産移管を進め、2016年度にほぼ再編を完了しました。

 現在、中国の自家工場は規模を縮小し、小ロット生産やサンプル生産を中心に行っています。量産はベトナムと中国の協力工場に切り替えることで収益が改善しました。

  ――ベトナムの現状は。

 現地の紡績会社に技術指導をしながら特殊な紡績糸を生産しています。同社は日本のモノ作りを理解しており、パートナー企業として最適な取り組み先です。顧客からも、糸のバリエーションの多さが好評です。「コットンUSA」マークやオーガニックコットンにも対応します。同国の編み立て・染色・縫製の協力工場を活用し、糸から特徴ある製品のOEMも可能です。

  ――インドネシアは。

 現地の人件費の上昇が早いため今後の事業継続のために希望退職を募り、人員削減を進めています。

 内販に関しては現地の低価格品との競争で難しい状況ですが、撚糸機や加工による高付加価値化で違いを出して拡販を狙います。

 今後の課題としては老朽化した設備の更新や人材教育を進めることです。機械を新しくするだけでも生産効率の改善、省人力化が進みます。オペレーターの教育も充実することで不良品率を低減させます。

  ――紡績子会社、タイシキボウの撤退後は。

 技術の継承、品質維持が難しいと判断し、合弁3社の合意により撤退を決めました。タイシキボウでの生産していた双糸と強撚糸の生産は今後、ベトナムの協力工場とインドネシアのメルテックスが補います。ベトナムでは綿100%の、インドネシアではポリエステル綿混の双糸、強撚糸の生産を担います。

  ――来期に向けたアジアでの生産戦略は。

 これまで事業の選択と集中を進め、それに応じて生産体制の見直しを国内外で進めてきました。今後も環境の変化に合った変更を加えますが、今期で縮小や撤退といった“マイナスの構造改革”はほぼ終わりました。来期からは今ある拠点のレベルアップや投資による“プラス”の構造改革に取り組みます。

 18年度に始まる新たな中期経営計画では海外生産と海外販売の拡大によりグループ全体の収益基盤の再構築に取り組みます。その中でも柱となるのが、原糸販売事業の立て直しです。

 原糸販売についてはインドネシア、ベトナムに加え、タイは新内外綿の子会社J.P.ボスコ、この3拠点に日本での生産を含めた連携を強めたいと考えています。これまで海外の生産拠点はそれぞれ、別々に市場や顧客を定めていましたが、来期からはよりグループとして組織的な販売戦略を実施します。

 国内は富山工場の活用法がキーポイントになります。現在は産地向けが中心で厳しい状況ですが、ここの糸を自社のテキスタイル、製品に使えないか検討中です。

 これからは加工に加え、糸の設計や織り・編みなども複合した素材開発に取り組みます。

〈メルテックス/日本向けと内販拡大へ〉

 メルテックスはシキボウのインドネシア紡織加工子会社で現在、売上高の大半を親会社への素材供給が占める。

 保有精紡機は5万錘、糸の生産力は月200万ポンド、生機・加工布が月100万ヤード。日本向けの生産でフル操業が続く。昨年のタイシキボウの撤退に伴い、タイでの双糸生産を補う形でダブルツイスター10台を新たに購入した。需給状況を見て今後も増強、更新を検討する。

 2018年度は、主力生産品の品質向上に取り組む。不良品率を下げてコストを改善し、日本向けとインドネシアでの内販の拡大に取り組む。

 内販拡大に向けた課題は主力のポリエステル綿混、CVC素材(糸・織物・加工布)で、ローカル品との違いをいかにつけるかにある。消臭、抗菌防臭といった機能加工を強みに、商品の高付加価値化を図り需要を掘り起こす。

 営業を担当する半田耕一副社長は「いかに現地ニーズに合った素材を開発するかに加え、納期や品質面でのサービス向上が欠かせない」と述べ、「まずは品質を高め、C反の削減に取り組む」と話す。不良品の削減はコスト改善で即効性があるため。日本人技術者による現地人材への指導と並行して、生産設備も更新する。「メルテックスは今年で創立48年目。老朽化した織機も更新するだけでも、省人力や相当の効率アップが期待できる」(半田副社長)と言う。

 人件費と原料コスト上昇への対応も急がれる。「ポリエステル原料が高騰し、綿相場もレーヨンにつられて高値圏にある。少しでも生産コストを下げ、原料上昇分は売値に転嫁するよう努力する」(同)

 17年12月期決算は売上高が前期より増え、営業利益は横ばい。主力の日本市場向け繊維素材が総じて堅調だった。日本市場でワーキング・スクールユニフォーム用素材が底堅く動いた。寝装・リネン向けは前年並み。

 中東民族衣装用素材が10~12月期で低調になった。販売国での在庫調整に加え、18年から付加価値税の導入によりバイヤーがこれまで以上に仕入れに慎重になっているという。