特集 アジアの繊維産業Ⅰ(8)/わが社のアジア戦略/富士紡ホールディングス/生産の最適化進む

2018年03月28日(Wed曜日) 午後4時18分

 富士紡ホールディングスは中国とタイに生産拠点を展開する。中国の富士紡〈常州〉服装、タイのジンタナフジボウで、「BVD」インナーの生産や、量販店などのプライベート・ブランドのOEMを手掛ける。タイのタイ・フジボウ・テキスタイル(TFT)でも、紡績・編み立てに加え、縫製も強化し一貫生産体制を構築する。近年、中国での人件費上昇に対応すべく、生産の一部をタイに移管し、生産の最適化を進める。

〈代表取締役副社長執行役員 青木 隆夫 氏/「BVD」の販売好調/タイに移管でコスト改善〉

  ――国内でのインナーの販売状況は。

 「BVD」はインターネット通販の伸びが顕著です。売上高は2017年4~12月期で前年同期比20%以上の伸び幅となっています。特にレディース商品の売り上げがけん引役となっています。着心地の快適さを前面に打ち出した商品が支持を広げています。メンズインナーは大手量販店向けのOEMの販売が拡大しています。

  ――中国の富士紡〈常州〉服装の状況は。

 布帛とニットの肌着を生産しています。人件費の上昇が課題となっており、編み地の一部に関しては生産コストで優位なタイへの移管を進めています。中国では「BVD」をメインに生産していますが、日本の消費動向を考えると生産コストの上昇分を売価に転嫁するのは難しい状況です。

  ――加工などで商品価格を引き上げる戦略もあります。

 消費者の低価格志向は根強く、商品の付加価値を上げれば、買ってもらえるかというと必ずしもそうではありません。やはり生産体制の工夫によって、いかに現状の価格体系を維持しつつ、同時に利益率を上げていくかが重要になります。

  ――今後のタイ工場の方針は。

 中国からの移管に合わせて縫製能力を上げていきます。昨年にはミシンを増やして月産能力は前年比倍近い15万枚を生産できるようになりました。今後の受注状況によっては外注も使って対応します。

  ――タイ以外の国に縫製拠点を設ける構想は。

 タイに既に拠点があり、協力工場もあります。これまでの生産ノウハウの蓄積があり、体制が整っています。低価格品については、ベトナム、カンボジア、バングラデシュなどにも協力工場があるため、受注内容に応じた適材適所で生産できます。

〈紡績から縫製まで一貫体制強化/タイフジボウテキスタイル〉

 タイフジボウテキスタイル(TFT)は2017年に縫製工程を増強した。インナーブランド「BVD」の生産拠点として紡績から縫製までの一貫生産体制を強化している。

 TFTは、BVD向けの綿糸生産と編み立てが主力だが、近年はBVDの肌着生産がタイにシフトするのに合わせて縫製も強化。17年にミシンを増設し、従来は8万枚だった月産能力を15万枚に拡大した。同時に、2万錘あった紡績は1万4千錘に減らした。

 岩國信利社長は「現在は縫製スタッフの熟練度を上げている段階。早期に月産15万枚のフル生産体制に持っていく」と話す。ジンタナフジボウと合わせてタイでの紡績から縫製までの一貫生産体制の強化を目指す。

 一方、紡績も「設備規模に見合ったコスト競争力を確立することが必要」と指摘。昨年12月に空調・冷却設備を更新し省エネ対策を行った。綿糸の自販再構築にも取り組む。同社が生産する綿糸はBVD用原糸が中心だが、自販向けも生産量の5~10%ある。これを10~15%まで高めたいとする。そのために細番手化や小ロット対応など生産品種と販売の高度化を進める。

〈生産多様化への対応力高める/ジンタナフジボウ〉

 タイ縫製子会社のジンタナフジボウは、東南アジア地域での富士紡グループのインナー製品生産の中核拠点を目指す。そのために生産性の向上と合わせて生産内容の多様化への対応力を高めることに取り組む。

 2017年度は日本向けBVD製品の輸出が堅調だったことで増収となった。生産内容の多品種化が進んでいるが、日本からの技術指導を受けながら対応したことで生産性が向上し、利益も前年度並みを確保している。

 桑山輝男社長は「“良いものを、より安く、タイムリーに供給する”が生産工場の役割。18年度も引き続き生産性を高め、筋肉質な会社にしていく」と強調する。

 特に生産内容の多様化が一段と進むことが予想されるため、品質の安定化と高難度の縫製への対応力強化に取り組む。社外の教育講習会などを積極的に活用するなどで、現地スタッフの意識改革に取り組む。こうした取り組みで従業員1人当たりの生産性を高め、効率的な工場運営を推進することが18年度の重要課題となる。