メーカー別 繊維ニュース

特集 アジアの繊維産業Ⅰ(9)/わが社のアジア戦略

2018年03月28日(Wed曜日) 午後4時20分

〈宇仁繊維/中国事業の手法変える/ASEAN向けは順調〉

 宇仁繊維(大阪市中央区)は中国市場向け生地販売拡大に向け、手法を変える。停滞中の同国向け生地販売だが、宇仁龍一社長は「手を緩めることはない」と強調する。

 同社は上海、北京に法人を構え、「インターテキスタイル上海」など同国で開催される主要な生地見本市にも欠かさず出展する。しかし、中国市場向け生地販売の売り上げはここ3~4年、ほぼ横ばいと停滞。拡大が続く欧米向けやASEAN向けと比べて元気がない。

 このてこ入れのために、「陣容(人員)は大きく変えない」ものの手法は変える。これまでは基本的にメード・イン・ジャパンにこだわって同社が生産した全ての国産生地を、両法人を通じて販売していたが、今後は日本からの直接輸出を本格化する。そのためにエージェントとの関係強化も図り、輸出の対象を日系生地商社の現地法人などにも拡大する。同時に、深センなど上海周辺、北京周辺以外の地域への販路拡大も狙う。

 「今後も備蓄機能は絶対に強みになる」として日本国内や欧米市場向けと同様、多品種・小ロット・短納期対応を同国でも改めてアピールする。、中国への直接輸出拡大戦略に伴って、中国語を話せるスタッフも積極的に採用していく。

 中国以外のアジア諸国向けは堅調な推移。タイ、インドネシア、ベトナム、香港向けなどが、「分母は大きくない」ものの着実に伸びており、加えてオマーンなど中東向けも拡大基調という。

 今後も中東含めた実績のある中国以外のアジア各国向けで拡販を狙うほか、「大きな市場であるインドを注視していく」と新規開拓にも積極姿勢。台湾や韓国向けの強化も図り、アジア向けを全方位で拡大する方針をとる。

〈一村産業/アジア4極で最適生産/“一村品質”を徹底〉

 一村産業(大阪市中央区)のアジア戦略は、近年標ぼうする「グローバルコンバーター」の進展が鍵を握る。日本、中国、インドネシア、ベトナムという4極を有機的につなぐことでコスト低減と納期短縮を実現するものだが、ベトナム事業が順調に拡大するなど成果を出している。

 同社のアジア戦略は、縫製品は取り扱わず、原料、糸、生地に特化している点も特徴。金沢市に本店を置いて北陸化合繊織・編み物産地で培ってきたモノ作りのオペレーションを、アジアに応用するイメージ。各国で協力工場を選定し、アイテムの違いやタイミングを見定め、「いつどこで何を作るのか」を采配する。采配の際に重視するのは、コストと納期。

 グローバルコンバーターを標ぼうする上で近年特に重視するのがベトナム。2014年度からは「ベトナムプロジェクト」と題して同国での生地生産を本格化。取扱高は16年度に2億円、17年度に4億円弱となり、18年度は5億5千万円を見込む。昨年7月にはホーチミンに駐在員事務所を開設し、日本人常駐者も置いた。

 当初は紡績糸をメインとしていたが、ユニフォーム向けを軸に生機生産が急拡大、17年度からは現地染色加工場との連携が進展したことで染め生地の生産も本格化している。以前は布帛のみの取り扱いだったが、トリコットなど編み地生産もスタートした。

 用途開拓も順調に進展。これまでは中東民族衣装向けと対日ユニフォーム向けがほとんどを占めたが、カジュアル向けがこれを追随する形で拡大しており、今後はその他用途の開拓もにらむ。もちろん、今年中の発効が見込まれる「EU・ベトナム自由貿易協定」を活用した商機拡大にも期待する。

 ベトナムの協力工場は現在、織り・編みで2軒、染色加工場で2軒だが、それぞれ4軒、5軒に拡大する計画で、選定も済ませた。

 いずれも自社工場ではなく協力工場だが、「一村品質」を徹底することで顧客の信頼を得る。“プロ”と自負する技術サポート部門のスタッフが定期的に協力工場に入り、技術指導を行う。これにより「日本と遜色ない品質レベルや納期管理」を実現する。

〈クラボウインターナショナル/素材からの差別化が鍵/交流深めて人材育成〉

 クラボウインターナショナル(大阪市中央区)はチャイナ・プラス・ワンを本格化している。中国以外の縫製拠点は現在の中核であるベトナム、バングラデシュ、インドネシアに加えて、ミャンマー、カンボジア、ラオスにも広がりを見せる。今後は素材からの差別化戦略を推進しながら、各拠点で人材育成にも力を入れる。

 インドネシアには、ジャカルタに駐在員事務所があるほか、縫製子会社のアクラベニタマ(AKM)がある。ベトナムにはホーチミンに駐在員事務所を、バングラデシュにはチッタゴンに駐在員事務所を持ち、それぞれ協力縫製工場でのモノ作りが進む。加えて、中国の協力工場の出先工場として、ミャンマー、カンボジア、ラオスでの縫製も本格化している。

 西澤厚彦社長が推し進めるのが、「メーカー系商社として素材から差別化した製品事業」。クラボウ技術部との連携により素材からの新商品開発が進行している。縫製管理にとどまらず、素材関連の品質管理にも注力していく。今後はインドネシア、バングラデシュ、ベトナムを中心に、現地素材調達を強化する。これまでは縫製地は東南アジアでも素材は日本や中国から輸送するケースが大半だったが、現地調達の比率を高めることで、納期短縮やコスト低減につなげる。

 西澤社長は今後の課題を、「縫製技術者、管理者の減少」にあると指摘する。例えばAKMには工場スタッフが約200人いるが、管理者クラスの人材が乏しい。日本の縫製子会社、竹田工場、村上工場との人的交流を推進し、この改善を図る。来期からAKMのスタッフ数人を日本の両工場に派遣する制度をスタートする計画。

 現在の縫製比率は中国65%、その他35%という構成だが、これらの施策により「中国比率は自然と下がっていく」と見込む。