特集 アジアの繊維産業Ⅱ(6)/わが社のアジア戦略/カケンテストセンター/小ロットも試験依頼増加

2018年03月29日(Thu曜日) 午後4時11分

 カケンテストセンター(カケン)は国内だけでなく、中国、東南アジアなどに広く拠点を設ける。企業が生産拠点を中国に、さらに東南アジアへと移転する動きに合わせてきた。こうした海外事業の業績は全般に堅調だ。中国の見直しもあり、試験依頼件数は増加した。小ロット化も進んでいる。

 中国では寧波、大連の売上高が前年比微増ながら、青島、南通、上海、無錫の試験室は好調が続く。このため、4月に南通試験室に駐在員を1人増員し、サービスの向上を図る。

 韓国は横ばいながら、香港は欧州の有害物質規制を背景に試験は増えているという。東南アジアのハブとしても機能し、ベトナム北部の試験も受け付けている。台湾もスポーツ素材の試験を中心に現地のアパレルの依頼が増加した。

 インドネシアは2年連続して黒字が続いている。開所して6年目だが、地場の素材試験が増えているのが要因。ベトナムのBVCPSベトナムは好調を持続。提携先のビューローベリタスのネットワークを活用する。バングラデシュは韓国のKOTITIと提携し、KOTITIバングラデシュの日本チームが日本語で対応する。

〈差別化の追求で存在感/上海科懇検験服務〉

 上海科懇検験服務は、南通分公司との連携を強化するとともに、試験項目の充実など差別化を追求することで、今後も存在感を示していく構えだ。

 人件費高騰などで上海近郊でのモノ作りが減り続ける中、2017年の同社単独の受託件数は前年に比べ微減となる一方、南通分公司を加えた上海・南通グループでは上回った。

 南通分公司は現地の短納期ニーズに応えるため、16年11月に業務を本格化した。クイック対応を強みに、受託件数を順調に拡大している。上海法人は技術指導などにより、この好調を支える。「例えば上海で吸湿速乾の試験依頼が集中し、キャパシティーをオーバーした際、南通に依頼するなど連携もしている」と牟田勝広董事長は話す。

 差別化では、機能性評価試験の内製化をさらに進める。「モラクセラ菌の抗菌試験やゴムの機能評価の内製化を検討している」と言う。

 試験以外のサービスも重要視する。その一環として、アパレル製品の内販に取り組む日系企業の製品ラベルの表示支援に力を入れている。試験以外のサービスの提供を通じ顧客との関係を深め、試験受託につなげていく。

〈人員、サービス強化必須/カケンベトナム試験室〉

 カケンベトナム試験室では試験依頼数が依然として増加傾向。2017年4月~18年2月の依頼数は前年同期比50%増となった。池田翔太郎室長によると、SPAが生産能力を増強するための拠点を同国に求め、その他のアパレル関連企業も生産移管の受け皿としてベトナムの優位性を認めている。

 このため、人員の増強と「サービスをさらにきめ細かくすること」が継続課題。業務提携関係にある仏第三者検査・認証機関であるビューローベリタス社のベトナム拠点BVCPSから対日専属担当人員を加えた。日本向け試験数が存在感を示すようになったことで「BVCPSの方から派遣の提案があった」。カケンの人員も増えている。

 差別化要素を強化するサービスメニューでは、カンボジアからの製品試験対応で中国語も堪能な人員をそろえる。製造現場を対象とした出張セミナーも「きめ細かくニーズを拾うことが人材育成やサプライチェーンの構築につながる」として、改めて力を入れる。試験ごとのセミナーや依頼書の書き方、試験依頼の出し方に関するセミナーを常時、受け付ける。

〈河南省など広域で新規開拓/青島試験室〉

 中国の青島試験室の2017年受託件数は、前年実績を上回った。東南アジア地域から縫製の一部が中国に回帰したことや、華東地区から同地への生産移管が進んだことが背景にある。杉田貴史室長は「楽観はしていないが、中期的には微増傾向が続く」とみる。

 こうした中、顧客満足度をさらに高め、受託件数を少しでも伸ばそうと、納期短縮や社員のレベルアップに力を入れている。「今年は納期短縮のため、ピリング試験機を増設する予定」と言う。

 インナーウエアの産地である地元のニーズに応えるため、ここ数年機能性試験を拡充させてきた。抗菌防臭、吸水速乾、吸湿発熱の三つの受託が堅調に伸びている。

 昨年は、天津や北京など山東省以外での新規顧客の開拓を強化し、成果を上げた。今年は「河南省と山東省の遠隔地での営業に力を入れる」。

 「顧客から頼られる存在」を目指し、セミナーによる顧客支援にも継続して取り組む。8日に青島市で検査・検品の桑原と合同開催した「品質管理合同セミナー」は盛況で、約45社145人が参加した。

〈今期20%増収見込み/カケンインドネシア〉

 カケンインドネシアの試験受注が好調だ。2018年3月期決算は前期比20%以上の増収となる見込み。試験科目は9割以上がテキスタイルで、残りはカバンや生活雑貨など。

 染色堅ろう度や強度をはじめとする物性試験、ホルマリン検査、洗濯耐久性、機能性試験の受注が活発だ。日本で規制が始まった特定芳香族アミンを生成するアゾ化合物試験にもフランスの検査機関BVCPSと提携し対応する。

 日系素材メーカーの納期がアパレルニーズに呼応して短くなった影響で、短期間での試験要望が増えている。そのため、試験時間の短縮にも取り組む。抗菌、帯電性、特殊な機能試験は、東京に試料を送ってテストする必要があるが、物流企業と組んで試験反受け取りから1日で東京の試験場に届ける仕組みを構築、これまでより早く検査結果を出せるようにした。

 羽生浩之社長は「これまでインドネシアでの試験布は海外からの持ち込みが多かったが、徐々に素材から現地で生産するようになっている」と話す。縫製拠点として知られる中部ジャワのソロやスマラン近郊で生産されるテキスタイルの需要が増えていると言う。