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国内テキスタイル商戦/消耗戦より外需獲得を/生き残りへ争い激化

2018年04月13日(金曜日) 午前10時51分

 国内テキスタイル商戦が激化している。衣料品消費の低迷、少子高齢化などを背景に市場規模が縮小する中で各社が生き残りに向けてパイを奪い合う構図だ。ある生地商社幹部が「ある程度の争い、パイの奪い合いは仕方ない」と話せば、別の生地商社幹部は「業界の秩序を著しく乱すような手法は慎むべきだ」と苦言を呈する。少子高齢化が加速し、ショッピングセンターの乱立が終息して“仮需”も見込めなくなった今、必要なものとは――。(吉田武史)

 生地商社Aは長年、生地商社Bに生地を販売していた。B社の先にはCというアパレルがいた。今年に入ってA社が、B社を飛び越えてC社に生地を直接販売した。それに気付いたB社はA社に対して激高。C社向け以外にも多くの生地をA社から買っていたが、それを全て拒否する事態になったという。

 生地商社Dによると、生地商社Eが各売り先に対して、「D社の生地値を教えてほしい。当社はそれを下回る価格で売ります」というセールストークで商いを拡大中という。D社は現在のところ静観の構えだが、「個別の社名を出してその下をくぐるやり方は汚すぎる」と怒りを隠さない。

 こうした事例は以前の国内テキスタイル業界であまり聞かれなかった。もちろん各所でつばぜり合いはあっただろうし、取った取られたの話はいつの時代にもある。しかし、そこには常に一定の「共存」意識があり、それを背景にすみ分けが成されてきたのも事実だ。

 先に挙げた2件の事例について、トップの指示があったかどうかは定かではない。現場営業スタッフの勇み足の可能性はある。ただ、トップの指示にしろ、現場の判断にしろ、その背景に業界不況があるのは間違いない。

 2008年をピークに日本は人口減の時代に突入し、好調な企業業績とは裏腹に個人消費は伸びず、衣料品消費の低迷も顕在化する。生地商各社はこのような国内環境の中で外需の取り込みを重視する施策を打ち出し、輸出売上高や外・外ビジネスを徐々に伸ばしているが、将来の国内市場縮小分を補完する水準にはまだほど遠い。この不安感と目先の売り上げ目標達成意識が、これまでの商習慣を無視するような激しい販売合戦を生んでいるようだ。

 国内生地販売最大手であるスタイレムは18年1月期で、生地販売額を前期比1・8%減らした。市況悪化の中で健闘した結果と言えるが、微減にとどめた要因は海外販売が伸びたことが大きい。創業以来の連続増収が途切れない宇仁繊維は、半期決算とはいえ初めて本年度上半期(17年9月~18年2月)で減収を計上した。

 今後も国内向け生地販売の成長は見込めない。安値合戦による消耗戦は共倒れ、総倒れの危険性もはらむ。生き残るためには外需獲得を優先すべきだ。