メーカー別 繊維ニュース

紡績の素材開発最前線(3)/シキボウ/開発の原点に消費者の声

2018年04月18日(Wed曜日) 午前11時2分

 シキボウは臭い対策や抗菌といった衛生機能や衣服内環境の快適素材でこれまで多くの実績を残してきた。

 近年、注目を浴びているのが臭気対策消臭剤「デオマジック」。香料メーカーの山本香料と共同開発した商品で、元々は人工肛門の臭いを抑えるためのカバー用の加工として生まれた。

 その消臭メカニズムはとてもユニークだ。香水などの良い香りの成分の中には、一定量不快な臭い成分が元来含まれることに着目した。デオマジックは、良い香り成分に含まれる不快な臭いの要素を予め取り除いたものを人工的に合成し、実際の汚臭を取り込んで良い香りに変える効果がある。

 現在、繊維分野以外で急速に販売を増やしている。畜産農家で発生する家畜の糞(ふん)便臭の抑制やゴミ収集車の悪臭対策、介護現場で廃棄物となったおむつの臭いを抑えるためにも重宝されている。

 今年に入ってからは一般消費者をターゲットとしたさまざまなタイプを開発した。薬剤をジェル状にし部屋に置くだけで効果を発揮する商品や霧状に吹き掛けるエアゾールタイプ、手に付いた臭いを消す石けんタイプも開発した。

 衛生分野だけでなく暑さ、寒さに応じた快適な被服内環境を実現する素材開発にも力を入れる。今夏に向けて投入するのが新接触冷感後加工「アイスキープ」。肌が冷たさを感じる仕組みを分析し、特殊な加工で肌の温感に直接働き掛けて冷感性が長続きするようにした。

 冬場の発熱素材として注目されるのが吸湿発熱加工「サーモストック」と太陽光で発熱する加工「ソーラーギア」。サーモストックは人の皮膚から放出される汗や水蒸気などの水分を吸収して発熱する。一方、ソーラーギアは赤外線を吸収し、熱に変える綿の発熱加工でアウターに適する。熱変換効率の高い合成セラミックを使用する。

 こうした衛生分野や快適素材に共通するのは全て消費者の具体的な悩みや要望を開発の原点にしているところ。ニーズに応えるモノ作りこそシキボウの素材開発と言えるだろう。