インド バットトークス/男性用パンツ定期購入で起業/「無頓着」商機に

2018年05月09日(Wed曜日) 午前11時12分

 インドの南部タミルナド州チェンナイに、男性用パンツのみをインターネット上で販売する新興企業がある。バットトークス(Buttalks)は2017年8月に創業。これまでに4千人以上の顧客を獲得してきた。インド人男性はパンツに対して無頓着で、購入の優先度も低いといわれる。同社は定期購入事業を展開。見た目と品質に満足できるパンツを提供できれば、需要が取り込めるとみる。

 「ブリーフ派? ボクサー派? それともトランクス派?」「デザインはベーシック、セクシー、ポップのどれが好み?」。ウェブサイトの購入ページを進むと、幾つかの質問事項が出てくる。「遊び心のある大胆なデザインのパンツは必要か」を答える項目もある。

 注文の翌日、ポップなお尻のデザインが入った段ボール箱が届いた。中を開けると3枚の男性用パンツ。購入前に答えたアンケートを反映した商品が入っていた。

 このサービスを展開するのは地場バットトークス。チェンナイ出身の若者3人が16年に意気投合し、17年8月に資本金35万ルピー(約57万円)で立ち上げた。

 ブランド名の由来は、お尻の意味を表す英語「バットトックス(Buttocs)」。この単語のスラングとして使われる「バム(Bum)」のように身近な存在になるとの思いが込められている。

〈起業後7カ月で顧客は4千人〉

 特長は4カ月に1回のペースで3枚の男性用パンツを自宅に配達することだ。3コース用意しており、価格(計9枚)はそれぞれ2699ルピー、4049ルピー、1万3499ルピー。配達1回分のお試しサービスは同999~4999ルピーで提供している。購入手段はクレジットカード払いを含む電子決済。現在は外国ブランドのみ扱い、最高価格のコースには米「ディーゼル」や伊「エンポリオ・アルマーニ」などのパンツをそろえる。年内には自社ブランド(PB)商品も投入する予定だ。チェンナイに置く倉庫から配送している。

 顧客は起業後7カ月で4060人以上を獲得。内訳は男性が8割、女性が2割。今後はPBブランドの開発とマーケティング活動の強化に向けて1千万ルピー増資する計画だ。既に機関投資家と協議しており、向こう数カ月での契約締結を目指している。

 創業者の1人ブリジェシュ・デバレディ氏(27)は「インド人男性の大半は、パンツについて無頓着だ」と指摘。「高温多湿や酷暑の中でも同じパンツを長年はき続ける。品質を気にせず、低価格の商品を選ぶ傾向もある。こうした生活スタイルと意識は、衛生的に良くなく、病気のリスクを高める」と話す。女性顧客が一定数いることに関しては、「夫や彼氏の健康や清潔さを考えている表れではないか」と分析する。

 サービスの利点は、定期的にパンツを交換できることと述べた。「炭酸飲料で米『コカ・コーラ』を思い浮かべる人は多いだろう。男性用パンツは『バットトークス』と認知されるようなブランドを目指したい」と語る。将来は女性用下着の定期購入サービスも検討すると述べた。

〈ブリーフに一定の存在感〉

 人口13億を抱えるインドで、男性用下着は成長市場。企業・消費者間取引(B2C)分野のコンサルティングや調査を手掛ける地場ワジール・アドバイザーズによると、男性用下着の市場は2015時点で850億ルピー規模だったが、所得向上や消費志向の変化に伴い、20年までに年率14%のペースで拡大。1650億ルピーに達する見通し。

 市場の構造もインフォーマルセクターが85%を占めているが、20年にはこの比率が80%まで下がるもよう。ブランド商品の存在感が高まるとみられる。

 インド人男性の好みも変わってきているようだ。同国の市場ではブリーフが一定の存在感を放っており、筋肉質な若者を広告塔に起用したテレビ・コマーシャルが流れることは珍しくない。トランクスは年配の男性がはくものとの認識もあるようだ。

 しかし、バットトークスのデバレディ氏は、「現代の10代後半の若者はトランクスやボクサーをはくようになっている」と指摘。市場の裾野拡大に期待を寄せている。

〔NNA〕