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綿紡績大手の繊維事業戦略/全社繊維で増収増益計画/新たな成長戦略スタート

2018年05月18日(Fri曜日) 午後3時45分

 綿紡績大手の繊維事業の2018年度業績は全社が増収増益を計画する。各社の戦略における共通項は、今年度から中長期的な成長に向けて新たな一歩を踏み出すという点にある。これまで取り組んできた既存事業の構造改革に一定のめどをつけ、新たな成長戦略をスタートさせる。(橋本 学)

 シキボウは今年度から20年度に向けた新たな中期経営計画をスタートさせた。清原幹夫社長は決算会見で、「長期的に成長していくためには新たな投資が不可欠」と述べ、「これまで既存事業の改革のため着手できずにいた設備投資、新事業・素材の研究開発、人材育成に今期から力を注ぐ」考えを示した。

 投資額は、前期までの経営計画比2・5倍の78億円。そのうち繊維事業は11億円で国内・海外工場の設備更新や建屋の老朽化対策に充てる。今期は紡績糸の海外販売強化、中東の市況回復、ユニフォーム素材の売り上げ増、リネン事業の拡大で業績を高める。

 クラボウは17年に発表した新素材や新たな取り組みが今年度から業績に寄与する見通し。色落ちしにくいデニム「アクアティック」や裁断生地の廃棄部分を再活用する新ビジネス「ループラス」、そしてスマート衣料「スマートフィット」を使った新事業が寄与する。

 今年4月に立ち上げたテキスタイルイノベーションセンター(TIC、愛知県安城市)では、最先端の技術を取り入れた“スマートファクトリー”構想を具現化する。年内にも投資計画を決める。TICでは今後の成長のための新商品の企画・開発や既に確立した技術の伝承も行う。

 オーミケンシはこれまで不動産の売却、売り上げ規模に応じた人員数の適正化や不採算案件の受注停止、ブラジル事業からの撤退と既存事業の整理、見直しを続けてきた。

 石原美秀社長は18年3月期業績について、「これまで続けてきた改革の成果でようやく経営の基礎体力がついてきた」と述べ、「3月の本社移転を一つの節目とし今期から、拡大策を打っていく」と話す。

 今年度は国内と中国でのレーヨン短繊維の販売を強める。とりわけ独自の技術力を生かした特徴ある商品の開発に力を入れる。価格競争に巻き込まれない商材を幅広く提案する。衣料品向けに限らず、コスメ、衛材、産業資材、食品用途など異業種とのコラボも視野に入れる。

 日清紡ホールディングスは中期的戦略でスマートテキスタイルによる介護やメディカル分野の深耕などに取り組む。商材は、子会社の日本無線と共同開発する。堅調なユニフォーム分野では暑さ対策商品を打ち出すなど、マーケットにない新しい価値を打ち出す。「利益を捨てた増収は目指さない」(同社)とし、あくまでも収益性に重点を置いた施策を進める。

 ダイワボウホールディングスは18年3月期の繊維事業の営業利益において3期連続で過去最高を更新、今期も更新を狙う。グループのダイワボウポリテックの工場で紙おむつに使われる不織布生産設備を増設。4月から稼働しており、この効果で20億円の増収と、3億円の営業増益が可能という。