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特集 快適素材・加工(2)/紡績の技術で多彩な機能

2018年05月21日(月曜日) 午前11時17分

〈暑さ寒さも快適に/シキボウ〉

 シキボウは夏の暑さやや冬の寒さにおいても快適な被服内環境をサポートする機能素材を多くそろえる。

 暑さ対策用途として4月に新たに投入したのが持続性冷感加工素材「アイスキープ」。肌が冷たさを感じる仕組みを分析した上で、メントールを配合する加工を施し冷たさが長続きするのが大きな特徴。

 これまで流通してきた接触冷感機能は生地が肌と接触した際に熱を素早く吸収することで効果を得ていたため、生地と肌の温度が等しくなると冷たさが感じられなくなる欠点があった。

 アイスキープは綿やポリエステルなど幅広い素材に加工可能で、織物とニットの両方で展開できる。信州大学での測定では蒸れの軽減なども確認された。

 18春夏で一部展開を開始したが、冷たさが持続するという特徴からでTシャツやビジネスシャツ用途で採用が進んだ。4月に大阪と東京で開いた同社展示会でも注目を浴び、19春夏でのさらなる拡大が期待される。

 暑いときは体温を下げ、寒い時は体感温度の低下を抑える――。そんな温度調節機能を持った生地が体感温度コントロール素材「テンプ―C」。外気温が高いと固まり、低いと液状になるという特殊な成分を加工薬剤に含ませており、生地の温度に応じて水分の蒸散を調節し寒暖差を和らげることが可能だ。

 冬場の寒さには発熱素材がある。発熱素材としては吸湿発熱加工「サーモストック」、太陽光で発熱する加工「ソーラーギア」がある。サーモストックは人の皮膚から放出される汗や水蒸気などの水分を吸収して発熱するインナー向け素材。一方、ソーラーギアは赤外線を吸収し、熱に換える綿の発熱加工でアウターに適する。熱変換効率の高い合成セラミックで熱を蓄える。

〈綿の風合い×多彩な機能/富士紡HD〉

 富士紡ホールディングス(HD)は日々の暮らしを快適にする綿主体のインナー素材の開発に取り組んでいる。綿本来の機能を生かしながら、さらに紡績技術や加工によって機能を加える複合化でこれまで多くの消費者ニーズに応えてきた。

 特に加工で強みを持つのが同社グループで、丸編み地染色加工場のフジボウテキスタイル和歌山工場だ。メインとなるのは百貨店向けの高級生地の染色加工。手掛ける生地の80%は、フジボウグループ外からの受託による。接触冷感加工「パールマイン」、汗染み防止加工「ディスノーティス」、防汚加工「ワンダーフレッシュ」などで息の長い人気が続いている。近年の百貨店の衣料品不況を受けシーツ・カバー用編み地への接触冷感、抗菌、防汚加工の提案にも力を入れている。

 和歌山工場は新たな機能加工の開発拠点でもある。今年に入って、吸汗速乾、抗菌防臭、さらに汗消臭機能をも併せ持つセルロース100%素材「デオスカイ」を開発した。機能の一つ一つは珍しくないが、一つの素材に3機能が複合されているのはデオスカイが初めてという。

 これまで吸水速乾性と汗の消臭加工の両立は難しいとされてきたが糸構造や加工で工夫することで実現。吸水速乾力では一般的に、乾きやすいとされるポリエステルにも劣らない性能を実証済み。

 抗菌防臭機能は臭いの原因になる細菌の増殖を抑えることで実現。消臭機能は汗に含まれるアンモニア、酢酸、イソ吉草酸のそれぞれで臭い成分を70%以上減少させることに成功した。いずれの機能でも優れた耐洗濯性を持つ。

〈ストレッチ素材を充実/クラボウ〉

 クラボウはワークウエア用途のストレッチ素材を充実させている。ストレッチ機能は本来、現場作業の快適性を高めることで採用が広がってきた。ところが、近年のニーズ拡大の背景には消費者がよりスタイリッシュな細身のシルエットを好むようになったことがある。

 ファッション性が重視されるようになったとはいえ、作業服は業務に十分に耐えうる耐久性、工業洗濯時の洗濯耐久性、耐薬品性などが欠かせない。こうした高い物性もクリアするのがクラボウのストレッチ素材だ。

 2016年に一格上のストレッチ素材として開発したのが「ジザイア」。一般的な、ストレッチ素材は使用する弾性糸の物性の関係上、どうしても耐久性に問題がある。これに対してジザイアは洗濯30回後でも機能を持続する高い耐久性を持つ。

 価格面の要求の高さもワークウエアならではだが、そうしたコスト競争力や汎用性も備えた素材として「バンジーテック」も投入した。伸縮率ではジザイアに劣るものの、定番素材の延長線上で使うことのできるストレッチ素材として好評だ。

 直近ではストレッチ機能と高通気、軽量、デニムのような表情といった機能と機能、機能とファッション性を融合させた新素材開発に取り組む。

 夏場の暑さに通気性の高い素材も根強い人気がある。「風を感じるユニフォーム」と銘打って展開しているのが高通気素材「風織」(かぜおり)。織り方の工夫で、通気性を高めた生地。シャツ素材を試料とした試験結果によると、1平方㌢当たりの通気度は、一般素材が毎秒20㏄なのに対し、風織は7倍の140㏄だった。この生地をベースに、さまざまな夏のユニフォーム素材を展開し新たな顧客を開拓している。