メーカー別 繊維ニュース

特集 快適素材・加工(3)/“快適”を科学的に評価する検査機関

2018年05月21日(Mon曜日) 午前11時18分

“快適”の意味する範囲は幅広い。着心地のストレッチ性、夏の汗染み防止や吸水速乾性。抗菌防臭、制菌、消臭といった清潔加工などもそのカテゴリーに入る。検査機関はそうした快適素材の評価・試験を通じて、業界に貢献する。

〈カケン/新試験装置の開発を/大阪に「CTC+」増設〉

 「衣料に機能性が求められ、素材開発も進む。新たな試験装置ができれば、評価の範囲も広がる」。カケンテストセンター(カケン)は、機能性繊維の特性を評価測定する試験方法や装置を開発する。その一つが物質の吸放湿特性を高精度で簡便に測定できる装置「CTC+」。

 人体から出る汗や湿気は、蒸れやべとつきなど不快感の原因となる。生地がどれだけ衣服内の湿気を吸収し、吸収した湿気を放散するかを評価する吸放湿性試験は以前からあった。

 CTC+の特徴は吸放湿の量だけではなく、吸放湿のスピードを精密に測定可能なこと。衣服内の温湿度環境は刻々と変化する。これに素早く応答して吸放湿する素材が、究極の快適性につながるという考え方に基づいて、新たに開発された。

 「従来の吸放湿性試験は材料試験的だった。これでは高温多湿の外からエアコンの効いた室内に移動したときの変化は分からない」。CTC+はさまざまな温湿度環境下、電子天秤(てんびん)で水分含有量を経時測定する。従来の重量法測定方式や含水率測定方法と比べ、構成や測定手順がシンプルで、精度よく測定できる。

 設定温度範囲はマイナス10℃から80℃まで、湿度は0%RH~95%RHまでで、温湿度領域は従来比3倍ほど拡大した。30分刻みといった短期間の応答性も得られる。衣料素材だけでなく、寝装寝具材料、壁紙などの建築材料、フィルム類にも適用できる。

 大阪事業所では需要増で2台目を増設した。「防透け、汗染み、防汚性分野などでも提案を行っていきたい」と言う。

〈QTEC/生活用品の機能を評価/微生物試験は業界リード〉

 日本繊維製品品質技術センター(QTEC)は、東京地区の拠点一本化として、東部事業所の試験部門を東京総合試験センター(東京都港区)に移転、4月1日から同センターを「東部事業所」に名称変更した(本部は3月に中央区の日本橋蛎殻町に移転)。

 新しい東部事業所は生活用品の試験も行ってきた。靴の屈曲性、防水性、耐滑試験のほか、ヒールや底材のテストなども実施する。かばんでも強度や耐荷重、落下衝撃の強さや保冷・保温性などの性能を評価している。傘の漏水性や傘骨の強さ、中棒の引っ張り強さも試験する。

 福井試験センターではカーテンの機能性試験を行う。防炎性能の評価、遮像性試験、断熱/保温性試験などで、防汚試験は生地の汚れだけでなく、花粉の付きにくさ、細かい紛体による汚れなども評価する。「夏に向けてプライバシーの観点から遮像性試験が注目されている」と言う。QTECは繊維検査機関で唯一の防炎ラベルの登録確認機関でもある。

 神戸試験センターは抗菌性や抗ウイルス性など微生物に関する機能性試験を行う。JNLA登録試験事業者を取得し、試験所の技術能力(抗菌分野)がISO/IEC17025に適合する。抗菌製品技術協議会の抗ウイルス委員会にも参加し、抗ウイルス性試験の開発、ISO化にも尽力する。

 「テキスタイルだけでなく、非多孔質製品(プラスチック製品など)の抗ウイルス性試験はISO制定に向けてFDIS(国際規格案)段階の調整が進められている」ようだ。この技術力を生かし、微生物試験は顧客の要望に応じて対応する。

〈ニッセンケン/立石に雑貨試験機を新設/ニーズを聞き、試験提案〉

 ニッセンケン品質評価センター(ニッセンケン)は接触冷感、吸湿発熱、蓄光保温など、衣料素材の機能性を評価するほか、抗菌、消臭、抗ウイルス性試験などの試験で、生活の快適性を支える。衣料以外の分野でも「ニーズを聞き、試験提案する。雑貨分野の試験もその一つ」と言う。

 東京事業所立石ラボでは靴やバッグなどの試験設備を増やした。傘の試験はJUPA(日本洋傘振興協議会)の基準で耐久性や強度、耐漏水性などを試験する。

 スーツケースは、キャスター走行衝撃性、耐荷重性などのほか、SG(製品安全協会)基準や依頼主の要求を参考に行う。耐落下衝撃性の試験機も導入した。

 靴には安全靴、静電気帯電防止靴、革靴などのJIS規格がある。ニッセンケンはサトラ(英国靴研究所)のスリップテスターで耐滑試験を行うほか、ウイリアムス式の摩耗試験を行うための設備も導入した。

 ヒールの強度を評価するため、疲労耐久性、取り付け強度の試験を行っていたが、耐衝撃性試験の試験機も新たに導入。耐衝撃性試験は「ヒールを履いて走ったり、階段を駆け上がったり、踏み外したりしたときに加わる重度の打撃を想定」するものだ。

 屈曲性試験でも試験機を豊富に備えた。表底の表面を上側に、90度屈曲を5万回繰り返すROSS式屈曲試験、靴の甲革や柔軟な革の屈曲による破れや亀裂を観察するフレキシオメーターの試験。

 完成靴屈曲試験は甲革のひびや破れ、サイドのシール部分の剥離などを評価するもので、同時に防水性試験も可能である。これらの試験受付は内外の全ての事業所で対応する。