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2018季総合特集Ⅳ(12)/top interview モリリン/AIなど先進技術に投資/社長 森 正志 氏/中計課題推進し目標達成

2018年04月26日(Thu曜日) 午後3時6分

 モリリンは今期(2019年2月期)が中期経営計画の最終年度に当たる。中計で掲げる販路拡大、提案力の強化、事業拡大への積極投資に取り組む一方、市場が変化する中で、外部環境の変化に対応し「自ら解決策を見いだし、対処していくことが重要」と森正志社長は強調。最終年度の今期に掲げる経常利益30億円の達成に向け中計の基本戦略をさらに加速する。

  ――第4次産業革命が進行しつつあるとされますが、実感はありますか。

 実感はしていますし、出来ることには取り組みます。AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)、ロボット化などについて繊維業界は遅れていますが、当社としても予算を組んで挑戦していきます。EC(電子商取引)ビジネスはもちろん強化していますし、先行投資にはなりますが、モノ作りにおいてAIを取り入れていきます。その一環として、先進技術に強い川下企業との連携も検討しています。

  ――2018年2月期業績はいかがでしたか。

 売上高は目標に達しませんでしたが、利益は計画を上回ることができました。前期比で見ると増収増益で着地することができました。利益が計画を上回ることができたのは選択と集中によるもので、低採算や不採算の取引を見直しました。同時に経費圧縮も図った効果によるものです。

 前期は特に下半期の商況が厳しかったですね。国内は百貨店・量販店からファストファッションや専門店にアパレル小売市場の主役が変わり、ECサイトの急成長やITの進化により新興勢力の存在感も増し、専門店も二極化が進みました。

 顧客の直貿シフトや低価格への要望が増す一方、縫製や生産管理の難しい受注案件が増えています。期近発注の動きも顕著で従来のように売り上げが作りにくくなっています。

 利益的に見ても為替相場の不透明さ、中国の環境規制強化により、中国や東南アジアでの品質・納期問題、さらに国内では物流費や人件費やの上昇など不安定要因も多くあります。

  ――その中で今2月期の課題は何でしょうか。

 今期は中期経営計画の最終年度であり、設立115年の節目にも当たります。現中計では「企業としての持続的な成長」と「商社として売り上げにこだわる」との考えを基本に売上高1300億円、経常利益30億円という高い目標をあえて掲げていました。

 ただ、足元の厳しい経営環境を踏まえ、売上高目標は1100億円に見直しましたが、経常利益の計画は30億円に据え置きました。

 この目標達成には既存顧客に既存商品を同じやり方で販売していないか、当社の生産背景や提案内容を踏まえたコスト競争力が、同業他社に比べて低くないかなど改めて掘り下げて解決策を見出し対処する必要があります。

  ――事業別にはいかがですか。

 リビンググループ(G)は業績を堅実に伸ばすとみています。産業資材、繊維資材、内装資材の資材系3Gも引き続き売り上げを伸長する見込みですが、ファッションアパレル事業本部とマテリアルGの苦戦が続くとみています。

  ――その中で今期の課題は何でしょう。

 前期同様に販路拡大、提案力の強化、事業拡大への積極投資に取り組み、さらに深化させます。販路拡大に向けてはファッションアパレル事業本部でデータ整備を進め、業態別、カテゴリー別、服種別などの切り口から取り扱いの少ない分野を浮き彫りにし、新規取引先、未取引先ブランド攻略と合わせて今後の攻め口を明確にして取り組み強化を図ります。

 マテリアルGは産地との協働によるアパレルへの提案や素材メーカーとの連携拡大が課題です。資材系3Gはラインアップの充実、新事業分野、隣接新分野への開拓を図ります。

 海外生産による国内販売というビジネスモデルは、国内市場が縮小する中で難しさを増しています。その面で海外取引を強化します。日系以外の海外アパレルなどの開拓にも取り組みます。

  ――提案力の強化では昨年、全社横断の素材開発プロジェクトチーム(PT)を設けました。

 他社にはない機能素材の開発は同業他社に対する優位性を保ち、取引先に「刺さる」提案を行う上では不可欠であり、急務です。全社的にサポートしていきます。

 ファッションアパレル事業本部も設置して2年目となります。今期は企画提案機能と生産管理機能を持たせて営業力を強化しながら横連携を軸とした展開を目指します。

  ――事業拡大への積極投資は。

 ECの存在感は年々高まっていますので、いかに取り込むか。大きな可能性を秘めていますので、積極的に取り組みます。持続的な成長を目指す上で、新事業領域を立ち上げるためにM&Aも検討します。

〈私の記念日/1つの区切りが誕生日と総会日〉

 森さんの記念日は誕生日である5月26日。理由は誕生日だからというだけではない。同社は毎年、森さんの誕生日前日、25日に定時株主総会を開く。このため、何となくだが、個人としても、経営者としても、5月25、26日が「一つの区切り」のように感じているそうだ。ただ、会社の意志を決定する機関である株主総会と誕生日が近いものの、同日開催はいまだにない。総会日が土曜日になると24日に繰り上げられ、後ろにずれることがないためだ。森さん、少し残念そう。

〔略歴〕

(もり・まさし)1980年モリリン入社。95年取締役、2004年常務、07年専務、09年副社長。10年11月から現職。