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2018季総合特集Ⅳ(17)/top interview 宇仁繊維/ブランド化の流れ取り込む/社長 宇仁 龍一 氏/開発の方向性は高級化

2018年04月26日(Thu曜日) 午後3時10分

 2017年8月期で創業以来の18期連続増収を記録した宇仁繊維だが、本年度上半期は0.5%ながら初の減収とやや苦しかった。しかし宇仁龍一社長は「反転は可能」と自信を示す。開発生地の高級化を加速するほか、人材への投資も引き続き強化。特にジャカード関連では「ゴーゴージャカードプロジェクト」と題したチームも立ち上げ、全社運動として一気に増強を図る。

  ――モノのインターネット(IoT)や人工知能(AI)など第4次産業革命が進行しつつあります。

 当社がどのようにEC(電子商取引)戦略を掲げていくのか。直接的に何かを導入するという考えは今のところありませんが、衣料品のネット販売については、その影響を注視しています。ネット販売では人件費と店舗運営費が大幅に削減できます。その分、良い生地を使おうという機運が高まるのではと期待しているのですが、その傾向は現時点では感じられませんね。

 一方、ネット販売によって消費者のブランド化は進むでしょうね。サイズの問題もあり、お気に入りのブランドを幾つかに定める傾向が強まるでしょう。当社としては国産品というこれまでの姿勢を今後も貫くとともに、生地の高級化も図って需要を取り込んでいくつもりです。

  ――上半期(2017年9月~18年2月)が終わりました。振り返ってください。

 単体の売り上げは前年同期比0・5%減でした。社員数が増えていることもあり低調と言えます。ただ、開発費用の抑制に取り組んだことなどでロスの低減には成功、営業利益は倍増しました。前の期の利益水準が低かったことの反動もありますし、開発生地の高級化を進めたことも利益伸長に貢献しました。

  ――国内市場は衣料品の店頭不振が続いています。

 大手ブランドでの採用拡大を目指す「深掘り36ブランド推進委員会」の成果がイマイチ見られないのは、百貨店を中心に既存のアパレルが苦戦していることも関係しているのでしょうね。SPA系や小規模なデザイナーズブランド向けは上半期も好調でした。

  ――微減収要因は何でしょう。

 輸出が5%減と苦戦したことです。前の期に大きく伸ばしていたことによる反動減であり、再び伸びていくと見ています。同事業の利益率は全部門中トップで、利益貢献はしてくれています。

  ――今期方針として開発生地の高級化を掲げています。

 ジャカード、インクジェットプリント、シルク、トリアセテート、フロッキーやオパールなど後加工物などを増強します。ジャカードはこの4月から社内で「5 GO JQ P」(ゴーゴージャカードプロジェクト)を立ち上げました。織機購入や専有ラインの拡大、賃織り先の拡充などでジャカード織物を大幅に増強するもので、2年後には各産地合わせ計250台のジャカード織機稼働を目指します。

 同プロジェクトは計6人の実行委員会を軸に全社的な取り組みとし、パート1からパート5までに区分けしてそれぞれで50台、計250台のジャカード織機を動かす構想です。

 これまでにも、提携する播州織産地の機業、藤井福織布(兵庫県西脇市)への織機貸与などを進めてきました。藤井福織布では宇仁繊維が購入して貸与した4台のジャカード搭載レピア織機が既に動いていますが、近いうちに2台を増設します。こうした取り組みを各産地で広げていきます。

 インクジェットプリントでは提携する染工場、美研繊維(京都市)との協力関係を強めるとともに、オリジナルの柄開発を加速するためにデザイン企画課も新設しました。見本用のインクジェット捺染機も1台増設して2台体制とします。

  ――創業以来、18期連続増収です。19期(18年8月期)も増収となるでしょうか。

 上半期は微減収でしたが、十分に反転可能と見ています。ただ、企業業績は堅調なのに消費に回っていないという現状の中で大きなことは言えません。3~5%増収というところでしょうか。同時に各子会社の黒字化や増収増益も目指します。

  ――業績拡大に向けたポイントはやはり人ですか。

 当社にはモノを作って売る仕組みはあります。あとは優秀な人材をどれだけ確保できるか。4月の新卒採用は22人で、中途採用も4人います。当社は若い女性が多い分、結婚による退社も多い。プラスマイナスはありますが、人員数は拡大一途です。現在の社員数は今回の新卒採用者除いてグループ全体で268人です。

 服が好きな人、人が好きな人、人に好かれる人、フットワーク軽く動ける人――が当社の人材要件。これからも人材への投資は惜しみません。

〈私の記念日/20周年へ、社員と共に〉

 1999年4月1日が宇仁繊維の創立日。毎年、創立記念日には関係者への紅白まんじゅう配布を欠かさない。来年で満20年を迎えるに当たり、記念式典も計画している。宇仁さんの手帳には、全社員の入社日、生年月日、役職、出身校などの一覧表が張り付けてある。「若い子が多いし、成長を見るのが楽しみ」と取材中も何かあれば手帳に目をやり、人物評を繰り広げる。厳しさの中にも愛情が垣間見える。そんな宇仁さんにとって会社を支えてくれる社員の入社日は全て大切な記念日なのかもしれない。

〔略歴〕

(うに・りょういち) 1999年桑村繊維を退職後、44年余りの経験、実績を基に一部商権と商品を引き継いで宇仁繊維を創業。