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スクールユニフォーム(10)/素材・副資材メーカー編/服地が学校生活を輝かす

2018年05月29日(Tue曜日) 午後4時57分

 学生服は一般衣料とは異なり、入学から卒業まで、毎日の着用に耐えうる強度と学校生活をより快適にする機能性が求められる。さらに礼服としても着られるため品位も欠かせない。こうした学生服の根本的な価値を担うのが素材メーカー各社の独自の開発力だ。

〈新たな「ミライズ」誕生/6月の展示会で披露/ニッケ〉

 ニッケは、学生服用途のウール高混率生地「ミライズ(MIRAIZ)」に新たなシリーズを加える。6月に大阪と東京で開く展示会で披露する。

 大阪が6月14、15日、綿業会館新館(大阪市中央区)7階で、東京が時事通信ホール(東京都中央区)2階で6月28、29日に開く。開催時間は東西ともに初日が午前10時から午後6時、2日目が午前10時から午後5時まで。

 ミライズは長短複合偏芯構造交撚糸「ニッケ ナガラガワ」を使った高級テキスタイルブランドで、上質なウールの性質に加え、軽量、高いストレッチ性と耐久性、家庭での手入れが簡単といった学生服に必須の機能性を備える。素材混率はウール80%・ポリエステル20%とウール55%・ポリエステル45%の2パターンがある。

 幾永詩木衣料繊維事業本部ユニフォーム事業部スクール販売部長は「発売から1年がたち市場からの評価は高い」とし「今期はさらにシリーズを増やして浸透させていきたい」と話す。ニッケグループの販売会社とも連携して販売を強める。

 学生服地のポリエステル混率が高まる中、敢えてウール高混率生地を新たにブランディングすることで、市場にウール素材ならでは価値をアピールする。

〈独自システムで素早い提案/「トライブリッド」に力/東亜紡織〉

 東亜紡織の強みは学校やアパレルの要望を短期間で見本にする提案力だ。多彩な柄の生地もデジタルデータで検索可能なコンピューターシステムを独自に開発しており日々の営業に活用している。

 このシステムはタブレット端末に基本色、ラインカラーなどの条件を入れて検索すれば、自社開発の柄物のデータベースから条件に合った素材が高画質のグラフィックで表示され、画像の拡大も自由にできる。これが素早い提案に生きる。

 2018年1~3月期は減収減益で推移する。学生数減の影響もあって追加発注が減少したほか、輸送費や原毛高などコスト上昇が響き苦戦する。

 市場ではウール高混率の採用を続ける高級ゾーンと、合繊リッチな定番ゾーンとの二極化が進む。同社は高級ゾーン、合繊リッチなゾーンともに独自素材を持って拡販に取り組む。19年入学商戦に向けては、ハイクラスの学生服地「トライブリッド」を重点提案する。

 ウール高混率ならではの上質感をアピールしながら学生服地に必須の強度やイージーケア性を両立した服地だ。一方、合繊主体の素材ではウール25%・ポリエステル75%混の速乾・イージーケア素材「ヴァルモアf」などを提案する。

〈シャツ地でシェア拡大/優れた衛生機能が強み/シキボウ〉

 シキボウは、スクールシャツ用途で独自の機能加工を強みにシェア拡大に取り組む。主要販路は中学・高校向けで一部、園児服の扱いもある。

 定番織物シャツ地が売り上げの大半を占めるが、機能素材も徐々に採用が増えている。近年、ニットシャツがスクール分野で拡大していることを受け、トリコットのシャツ地の提案にも力を入れる。機能では、部屋干し対応、制菌・消臭・抗ウイルス加工といった清潔・衛生面で優れた効果を持つ機能が充実する。

 順調に売れている機能商材の一つが部屋干し対応素材「ルームドライ」だ。速乾機能に抗菌防臭機能を加えることで、室内で干しても不快な臭いが抑制される。大手学生服アパレルで定番的に決まっており着実に実績を積み上げている。

 近年、学校での食中毒やウイルスの集団感染対策として、制菌加工「ノモス」や抗ウイルス加工「フルテクト」「ノロガード」にも高い関心が寄せられている。繊維上の細菌やウイルスの増殖を抑制する加工で、SEKマークのオレンジと赤を取得しており、日本学校保健会の推薦も受ける。

 防汚に関しては防汚加工「汚れま戦隊シリーズ」がイチ押し。ユニークな名前の通り汚れが付きにくく落ちやすい。皮脂をはじめボールペンや油、血液の付着にも対応する。

〈多彩なウール混素材充実/難燃や抗ウイルス機能も/三甲テキスタイル〉

 三甲テキスタイル(岐阜県大垣市)は多彩なウール混素材を供給する。昨年7月の展示会では、ウール混の新素材「グランアベニール」や学生服業界で初という難燃生地、抗菌・抗ウイルス加工を施した生地を発表。柄物では「ジャパン」「ワールド」「宇宙」というテーマで、それぞれのイメージにあった学生服用の幾何柄生地を充実させ、学校の希望に合った企画開発力をアピール。

 グランアベニールは、ウール50%混で上質感、柔軟性、高強力といった学生服に重要な特性を持ちながら、家庭洗濯も可能な多機能素材。これまで同社の定番素材となってきた「リソルサ」の後継として開発した。

 難燃生地は、モダクリル繊維を使用することで飛躍的に難燃性を高めた。授業中の火を使った実験や火災時に、衣服への延焼を防ぐ。抗菌・抗ウイルス加工生地は繊維上に付着した約20種類の菌やウイルスを不活性化できる。

 まだ提案が始まったばかりだが、既に18年入学生向けで採用校も出ており今後の拡大が期待される。

〈合繊高混率品に強み/高視認素材で周辺アイテム/東レ〉

 東レは合繊メーカーとして強みを発揮できるポリエステル高混率の学生服地で販売を伸ばしている。ウールの高騰も追い風だが、それ以上に時代のニーズに合った機能性を実現することが同社の基本戦略となる

 同社の2017年度の学生服地販売は堅調に推移した。詰め襟学生服向けは店頭での実需に大きな変化はなかったものの、備蓄需要で動きが旺盛。別注向けもポリエステル長繊維・ウール混生地「トレラーナ」の販売が拡大した。ポリエステル50%・ウール50%混がベース素材となるが、ウール高騰でポリエステル70%品や同85%品などポリエステル高混率品への引き合いが増加している。このためポリエステル100%梳毛調織物「マニフィーレ」も採用実績が増えた。編み地への引き合いも強まっており、学販シャツ地としてトリコットの販売も好調だった。

 今後は防汚加工「テクノクリーン」など時代のニーズに合った機能素材の導入を進めるほか、防虫機能素材「ウィズリリーフ」や高視認素材「ブリアンスター」などをスクールにも普及させることを目指す。ウィズリリーフは小学生服や園児服への提案を進め、ブリアンスターはレインコートなど学販周辺商品での採用を拡大させたいと考える。

 昨年には菅公学生服、ダイイチと共同で高視認服を作成。横浜市に提供し、市内の小学生や交通ボランティア、市職員など路上で活動する人に着用してもらう公民連携活動も始まった。こうした取り組みも生かしながら、高視認素材の認知度向上と普及に取り組む。

〈学校へインフルゼロ提案/「クレンゼキット」販売/クラボウ〉

 クラボウは全国の学校へ向け、「インフルエンザ“0”活動」を提案する。このほど子供たちの安心・安全、快適、学びをサポートするプロジェクト「クラボウスマイルスクールプログラム」を立ち上げ、その中の取り組みの一つとして進める。

 小・中・高校に向けてインフルエンザを予防するためのアイテムを一つのセットにした「クレンゼキット」の販売を始める。この商品は、独自の抗菌・抗ウイルス加工技術「クレンゼ」の成分を含むスプレー▽クレンゼ加工のマスク・タオルハンカチ▽予防法を啓発するDVDとポスター――をひとまとめにしたもの。

 クレンゼは人体に無害な固定化抗菌成分「Etak(イータック)」を繊維表面に強力に固定化する加工技術で、インフルエンザウイルスを含めて約20種の細菌・ウイルスに対する抗菌・抗ウイルス効果を持つ。

 昨年秋から学校に提案を始め、約10校がモニターとして参加し、実際に感染者数が減少する傾向が見られたという。このうち帝塚山小学校(奈良市)、昭和小学校(東京都世田谷区)は今年秋からの導入を決めた。今期から導入校増に向け本格的な販売を始める。

 キットに加えクレンゼ加工を施した培地とそうでない培地をセットで学校に提供することで、効果があるかを生徒が見ることができるようにし、子供の“学び”の材料にもしてもらう。

〈「プロタック」軸に提案/新体制で相乗効果/御幸毛織〉

 東洋紡テクノウールと御幸毛織は今年4月に合併し、新たな一歩を踏み出した。これまでと変わらず学生服を事業の重要な柱と位置付け、開発を進める。高級紳士服製造の御幸毛織のノウハウを取り入れ、相乗効果が期待される。

 少子化で学生服市場が縮小する中で、同社は成長を続けている。18年の入学商戦でも出荷ベースで前年を上回った。制服のデザインや色は変えずに、ストレッチやウオッシャブル機能を加えてマイナーチェンジする学校が目立った。

 同社のテクノウール営業本部ユニフォーム第2営業部の安藤律子・学服グループ長は「顧客との取り組みで、企画力や開発力を生かす」と力を込める。

 同社の強みは長短複合糸を使った「プロタック」で、従来の学生服では使われなかった繊細なファインウールを採用している。光沢や滑らかな手触りが特徴で、耐久性のある細い糸を使い軽さを出している。太陽の熱を吸収して蓄熱する「プロタックウォーム」も提案する。

 ウールの原料の羊毛価格は年々高騰している。10年前の倍以上に跳ね上がっているといい、スクールユニフォーム市場全体の課題となっている。制服の要望が多様化する中で、耐久性や機能性を出しながら糸の作り方や加工、組み合わせでいかに違う素材を開発できるか。素材メーカーとしての挑戦は続く。

〈副資材トータル提案/機能商品に注力/東海サーモ〉

 東海サーモ(岐阜県大垣市)は、芯地総合メーカーとして国内で唯一、紡績から染色整理加工までの一貫生産を強みとする。糸からの差別化した商品開発に注力し、顧客別の問題解決型の商品や市場のニーズに即した付加価値・機能商品を展開する。特に、近年求められる快適性、イージーケア性に対しては上着の芯地だけでなく、裄綿、肩パッド、さらに伸び止めテープ、襟芯地、ストレッチ素材対応のインサイドベルト芯の機能商品まで副資材トータルで提案する。

 スクールユニフォームでは、その着用頻度の高さから“耐久性”“軽量・ウオッシャブル性”を重視。保形性・軽量・耐久性を兼ね備えたポリエステル100%の接着芯地を開発した。繰り返しの水洗いにも高い耐久性を発揮するほか、既存の芯地と比べて保形性を損なわず約20%の軽量化も実現した。副資材でも同社の毛芯地の技術を応用した独自素材による軽量・ウオッシャブル対応の裄綿、肩パッドを展開する。

 同社は昨年6月、組織体制も地区別の営業体制から顧客ターゲット別に変更した。ユニフォームを含めた学生服は第2グループとして情報を共有化し、より市場のニーズ・ウオンツへの対応を図っている。