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20周年迎える宇仁繊維/ジャカードPJが始動「工業的発想」で未来開く

2018年06月07日(Thu曜日) 午前10時45分

 宇仁繊維(大阪市中央区)は2019年4月に創業20周年を迎える。1999年に宇仁龍一氏が桑村繊維を定年後、4人で創業した同社だが、以来、一度も減収決算を計上したことがない。グループ含め社員数も250人を超えた。成長の原動力は「人」。宇仁社長の考えは「人が増えれば売り上げも増える」と明快だ。人の力を最大限に発揮し、国内生産にこだわりながら生地への一点集中主義を貫き、多品種・小ロット・短納期というシステムを構築してきた。このシステム構築に大きく関係するのが「工業的発想」だ。

〈社長 宇仁 龍一 氏/成長の原動力は「人」〉

  ――創業以来、「工業的発想」を追求しています。

 モノを作って、売る。あるいは、お客様が求められるモノを作る。この考えがブレたことはありません。誰かが作ったものを売るだけでは発展性はありません。当社は18年4月に「5 GO JQ P」(ゴーゴージャカードプロジェクト)」という社内運動をスタートしました。ジャカード織物を大幅に増強しようというもので、各産地の提携工場に当社が購入した設備を貸与したり、当社の占有ラインを敷いていきます。五つのパートに分けており、パート1では播州産地の先染めジャカード、パート2では福井産地のカットジャカード、パート3では石川産地のカットジャカード、パート4では石川産地のフクレジャカードとゴブランジャカード、パート5では福井産地のトリアセテートジャカードやカラミ織りを対象としています。今は合計で60台ほどのジャカード織機が当社の指図で稼働していますが、今年中には合計125台まで拡大し、来年には250台を目指します。

  ――生地開発の高級化も推進しています。

 ジャカードプロジェクトもその一環ですが、デジタルプリントやトリアセテート、シルクなどを増強し、大手アパレルやデザイナーブランドの深掘りを進めています。オリジナルや連携による柄開発、生地開発もこれまで以上に力を入れていきます。

  ――創業以来、業績拡大が衰えません。秘訣は。

 トレンドを追い掛け、あるいはトレンドを作り、それを量産体制に持って行くことでコストダウンを図ってきたからだと思います。安売りをするつもりはありませんが、生地販売にコスト競争力は必要不可欠です。各産地で提携するメーカーや物流倉庫の協力を得ながら、この体制を作り上げてきました。また、当社の力は昔も今も「人」です。特に若い女性の力が成長の原動力になってきました。今後は幹部クラスの育成も重要ですし、女性の産休・育休対策も考えていかなくてはいけません。人材の重要性は今後も変わりません。

〈常務 宇仁 麻美子 氏/若いパワー生かすのが仕事〉

  ――創業20年の節目まで一年を切りました。経営者の一人として意識してきたことは。

 ファッションが好きで、人も好き。そんなメンバーが集まって、楽しく前向きにやっていきたいと常に考えています。当社には若い人が多いので、そのパワーをうまくビジネスに生かしていくのが私の仕事。仕入れ先や販売先、会社の仲間たちと一緒に、わくわくするような仕事をこれからも続けていきたいですね。

  ――繊維・ファッション業界はさまざまな問題を抱えています。

 業界が右肩上がりで成長することはありえないでしょう。ただ、われわれが着る服は誰かが作らないといけないし、国産にこだわる人もいる。新しい商品やサービスを常に提案していけば、活路はあるのではないかと。わくわくするような何かを提案できるよう頑張っていきます。

〈効率生産追求で下支え/泰生/石川県羽咋市千里浜町ハ136-1〉

 2016年8月に石川県中能登町から同県羽咋市へ移転した合繊織布工場の泰生は、移転を機に織機増設を進め、現在はウオータージェット(WJ)織機88台体制を敷く。外注含め撚糸機も豊富に完備しており、強みの強撚織物の一貫生産工場として存在感を高めている。

 同社には宇仁繊維が購入して貸与したWJ織機が5台ある。その他の織機でも宇仁繊維向けを数多く製織しており、これが宇仁繊維の今日までの成長を支える原動力になってきた。宇仁繊維は国産にこだわる傍ら、「『国産だから高い』では通用しない」としてコストダウンを徹底。泰生の24時間フル操業がこの理念を実現する大きな力になっている。

〈圧倒的な染色スピード/トーカイケミカル/石川県白山市湊町丙16-1〉

 北陸・石川産地の染色加工場、トーカイケミカルは小規模工場の生き残り策として多品種・小ロット・短納期を追求している。一般的に生地投入から仕上がりまでは最低でも10日はかかるが、同社では一週間を厳守。4メートルからというミニマムロットも他の追随を許さない。

 同社の染め生地の出荷先の約85%が宇仁繊維で、宇仁繊維の無地染め生地の約70%が同社。資本提携も行っており、その関係は密接だ。同社によると「おそらく世界一」という圧倒的なスピードを実現するのは設備敷設の工夫とノウハウで、下晒し工程が少ないことも管理のしやすさに寄与しているという。今後も安定生産やスピード化を追求しながら、機能加工の開発にも力を注ぐ。

〈オリジナリティーを追求/美研繊維/京都市南区上鳥羽塔ノ森下河原22〉

 美研繊維はオートスクリーン、ロールという旧来からの捺染機を保有する傍ら、2014年にはインクジェット捺染機を2台導入し、デジタルプリントの世界を切り開いている。独自性の付与も奏功して受注は好調で、今秋には日本初となる最新鋭のインクジェット捺染機1台を新たに導入する。

 導入を予定するのはセイコーエプソン製の「モナリザ・エヴォ・トレ」。従来機よりもスピードが50%向上する上、より高精細な柄をプリントできるようになる。これを機に改めてデジタルプリント事業の拡大を狙う。

 同社の加工数量全体の35~40%は宇仁繊維が占める。資本関係や設備貸与などはないが、「互いが深く信頼し合っている」と関係は強固だ。

〈特許技術駆使し販路広げる/オザキプリーツ/福岡市中央区桜坂2-9-17〉

 洋服などにひだを付けるプリーツ加工はスカートやパンツなど最終製品に行うのが一般的だが、宇仁繊維は生地にプリーツを施し、その生地を「宇仁繊維 プリーツテキスタイル」として小ロットから備蓄販売している。プリーツ加工を担当するのが、宇仁繊維が2017年に子会社化したオザキプリーツだ。

 同社は国内主要アパレルブランドのほとんどからプリーツ加工の依頼を受ける有力プリーツ加工業。

 天然繊維へのプリーツ加工や、経糸と緯糸の特性を生かしプリーツ部分と未プリーツ部分を1枚の生地で表現する技術「プリ・オリオレ(織折)」などで特許も取得している。

〈先染めジャカードの担い手/藤井福織布/兵庫県西脇市西脇82〉

 播州織産地の織布工場、藤井福織布はこのほど、ジャカードを搭載したレピア織機2台を増設した。購入費用は宇仁繊維が捻出、宇仁繊維専用機として稼働する。

 同社の織機体制は今回の2台を含め、エアジェット(AJ)織機4台、レピア織機6台。全てジャカードを搭載しており、うちAJ織機2台とレピア織機4台が宇仁繊維専用機だ。

 2015年秋に導入したAJ織機2台とレピア織機2台が同社と宇仁繊維との連携の始まり。今回はジャカード織物を大幅に増強する宇仁繊維の社内プロジェクトに連動した増設。

 宇仁繊維が企画販売するカラフルで表面感のある天然生地展開を支えるのが同社だ。

〈トラブルにも迅速対応/中央倉庫/京都市伏見区横大路朱雀1(城南営業所)〉

 2018年2月、大雪によって北陸産地の物流機能が大混乱に陥った。京都を本拠に北陸や中国地方に複数の倉庫と物流網を持つ中央倉庫はその際、北陸発路線便、貸し切り便などの代替輸送を自社便として行い、北陸での入庫貨物滞留の軽減を図った。深い関係にある宇仁繊維の生地が北陸地方で数多く作られ、出荷されていることに対応したものだった。

 同社・城南営業所の繊維品比率は現在約5割。そのうち8~9割を宇仁繊維の生地が占める。宇仁繊維の多品種・小ロット・短納期機能を物流面で実現させるのが同社だ。備蓄生地のデータを双方で共有するなど効率的な出荷体制を構築してきた。今後も「北陸3拠点(金沢、福井、小松)の立地を生かして繊維輸送を支えていく」。