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綿花高騰 紡績への影響/製造コスト上昇は必至/価格転嫁へ交渉急ぐ

2018年06月08日(Fri曜日) 午前11時12分

 昨年10月ごろから上昇基調が続く綿花の国際価格。ニューヨーク市場の先物価格(7月限)は5月29日に約4年ぶりに1ポンド(454グラム)当たり90セント台を突破した。6日の終値は90・95セントで、昨年同日と比べると2割近い値上がり幅になる。国内大手紡績各社は価格上昇分の転嫁に向け取引先との交渉を急ぐ。(橋本 学)

 5月29日、ニューヨーク市場の先物価格は1ポンド当たり93・21セントで引けた。90セントを超えるのは2014年6月18日以来3年11カ月ぶり。期近の7月限から19年7月限まで全ての限月で取引制限がかかる4セントの急上昇だった。

 商社筋によると同日の値上がりの背景には、NY市場が3連休明けだった▽中国が米綿の輸入量を増やすとの憶測が広がった▽両国内の一部の綿作地での天候不順で収穫量の減少が危惧されるようになった――ことがあるとみられる。

 翌30日~6月4日は92~93セント台で動き、5日に89・84セントにまで下げたものの6月6日には再び90セント台に。直近1週間のA―インデックスは5月30日に100・70セントまで上昇、1ドル超えは12年4月27日以来6年1カ月ぶり。4日には100・75セントまで上げている。

 現在の価格をどのように見るか国内綿紡績4社に聞いたところ、「非常な高値で、コストアップは避けられない」との共通の声が返った。各社ともに「上昇分の糸値への転嫁を進めていく」と回答した。特にNY先物市場で取引される綿花のメインは、カジュアルなど一般衣料用に使われる中番手糸の原料になる中長綿だ。

 そうした糸の扱いが多く今後、影響が大きいとみられるのがクラボウ。同社は「新綿限月についても高い水準。このままで来季も高値で購入しなくてはならずコスト増は確実」とし、「経費削減はこれまでも物流面、生産面で行っており、期近物を最低限購入していくしかない」と話す。値上げについては、「明確な指針はなく、コストを見ながら適切な値上げをお客さまにお願いする」と言う。

 シキボウは「2012年の大暴騰を除いて1ドル超はこれまでほとんどなかった。現在の価格は異常」とし、「新綿の相場が比較的高く付いていること、中国の購入意欲が旺盛なこと、投機筋マネーが入っていることなどからこの高値はしばらく続く」と予想する。「値上げの明確な時期、基準となる綿花相場の指標は具体的に決めていないが、販売先には随時、状況を説明しながら値上げ交渉を進めていく」と話す。

 フジボウテキスタイルは「ピマなど超長綿の相場は落ち着いており、さほど影響がない」と述べる一方、「中長綿に関しては3カ月先には上昇した価格の綿花を仕入れることになり、コストが圧迫される」と話す。対策としては「値上げについては常時、取引先と交渉をしており、これを継続していく。綿花の代わりにポリエステル短繊維混を増やす手もある」と話す。

 新内外綿は「次回の原料の購入は8月以降の予定で現時点では影響はない」とし、これまでの上昇を考慮して「4月から糸値を3%引き上げた」と話す。今後の相場の見通しとして「非常に高い水準になってはいるが、やがて下降するのでは」と予想する。