メーカー別 繊維ニュース

大手合繊メーカー/車両、コスメ 多彩な提案/吸音材などで素材間競争/「ANEX2018」

2018年06月08日(Fri曜日) 午前11時51分

 アジア不織布産業総合展・展示会「ANEX2018」(東京都江東区の東京ビッグサイトで開催)は7日、2日目を迎えた。初日はあいにくの雨ながら多くの来場者が訪れたが、2日目の午前中から各ブースは人だかりで、各社は対応に追われている。会期は今日8日まで。

 「ANEX2018」では合繊メーカーが車両分野とコスメ分野で多彩な提案を行っているのが目を引く。特に自動車向け吸音材やコスメ向けフェースマスク用途では素材間競争の様相が一段と激しくなっている。

 東レは、衛材、工業資材、新規開発品でブースを構成し、注目はナイロンナノファイバースパンレース不織布。保液性の高さとソフトさを生かしてフェースマスク向けに提案するほか、ポリエステルニードルパンチ不織布と複合することで新タイプの自動車向け吸音材も披露した。

 旭化成も、コンセプトカー「アクシー」の実車を展示するなど自動車分野に力が入る。こちらはスパンボンド不織布層の間に極細繊維層を複合する「プレシゼ」で吸音材を提案。さまざまな素材の組み合わせに対応することで求められる吸音性能を実現。フェースマスク向けではキュプラ長繊維不織布「ベンリーゼ」でセルロースの水酸基の一部をカルボキシメチル化した「CMCベンリーゼ」を披露。吸液時に繊維表面がゲル化することで高い保液性を実現した。止血性もあるためばんそうこうなどメディカル用途にも可能性が広がる。

 東洋紡は、芯部がアクリル、鞘部を吸水性ポリマーのポリアクリル酸塩で構成する吸水性繊維「ランシールF」をフェースマスク用途に提案する。やはり吸液時に吸水性ポリマーがゲル化し、高い保液性を実現する。自動車向け吸音材ではポリプロピレンメルトブロー不織布とポリエステルニードルパンチ不織布の複合で吸音性を制御する方法を採用した。

 帝人フロンティアは、マイクロファイバーポリエステルによる極細不織布で吸音材を開発した。低周波から高周波まで幅広い音域の吸音が可能となる。ポリエステルナノファイバー「ナノフロント」をフェースマスク用途に提案する。肌への密着性が極めて高い。

 クラレクラフレックスは、ポリブチレン・テレフタレートメルトブロー不織布と他素材を複合した吸音材を提案した。熱成形性に優れるのも特徴となる。

 一方、吸音材以外でユニークな車両用素材を提案したのがユニチカ。タイ子会社のタスコで生産する「マリックスAX」を紹介した。積層したポリエステルスパンボンド不織布をニードルパンチし、さらにプレス加工と熱成形することで自動車部材に使える。短繊維不織布よりも強度・剛性の優れるため軽量な不織布製アンダーカバーやフェンダーライナーなどを実現できる。

〈山東省永信非織布造材料/済南にSL新工場/10系列で年9万トン規模〉

 中国のスパンレース不織布(SL)製造大手の山東省永信非織布造材料は同省済南市に人工知能(AI)を活用した新工場を建設する。

 昨年、グループ企業として済南永信材料科学技術を設立。2019年3月には新ラインを立ち上げ、3~5年内に10系列で年間9万トンのSL工場にする。6日開幕したアジア不織布産業総合展示会・会議「ANEX2018」への出展に伴い来日した済南永信材料科技の王晶総経理が本紙インタビューに応じ、明らかにした。

 済南永信材料科技は資本金12億元。敷地面積は20万平方メートル以上で、8工場・10ラインを導入し、「乾式SLに加え、湿式SLも生産する」計画。さらに、AI導入などにより効率化を図り、原料の入荷から製品出荷までもロボット化。「工場だけでなく、さまざまな管理にもAIを導入」し、従業員数は9万トン体制で400人に抑える。

 AI導入だけでなく、「エコやサステイナブルなども重視」する。原料にエコロジーな素材を活用するほか済南永信材料科技は、SLに必要な水の循環や廃熱回収などにより、エネルギー費など既存工場よりも環境負荷を少なくできる。

 山東省永信非織布造材料は04年に設立。現在、5ライン、年産2万5千トンのSL設備を持つ。売上高の約60%が輸出で、日本向けはその20%。「日本は品質は厳しいが、品質管理を徹底することで、需要家から信用を得ている」と話す。

 今後はOEMも含めた日本向けを強化し、30~40%の構成比に高めたいとの意向を持つ。「日本企業との取り組みは品質を高めることにもつながる」と強調。ANEXを通じてOEM先となる新規顧客の開拓を目指している。

 研究開発では、中国での産学連携に加え、「日本の大学との取り組みも行いたい」と言う。

〈商社も確かな手応え/販売代理店として存在感〉

 アジア国際不織布産業総合展示会・会議「ANEX2018」にはヤギ、蝶理の繊維専門商社が海外企業の販売代理店として出展し、ともに手応えを感じている。

 ヤギは英国の高機能繊維メーカーであるロー・アンド・ボナー(L&B)のスパンボンド不織布(SB)「コルバック」、蝶理は中国の蘭渓市興漢塑料材料、福建省喬東新型材料の衛生材料向けの素材を出品したが、両社ブースとも多くの来場者が訪れ、熱心に質問する姿が見られた。

 ヤギの営業第一本部第一部門の嘉納淳第二事業部長は「初日から盛況。特にフィルター系の最終ユーザーが多い」と主力のタフトカーペット一次基布以外の開拓に手応えを示した。同展では従来のフィルター支持体向けだけでなく、粗密化しフィルター性能を高めた商品も一部提案する。

 3次元繊維構造体「エンカ」への関心も高く、「L&Bの代理店として認知度、存在感を高める目的は達成できたのではないか」と、今後のフォローアップも含めて期待感を示した。

 蝶理は通気性フィルムを中心に出品する蘭渓市興漢塑料材料、SAPシートが主力の福建省喬東新型材料のそれぞれのブースで共同出展した。

 特に福建省喬東新型材料のブースは、中国の高級紙おむつで主流になりつつあるSAPシートに対し「中国の来場者や中国進出する日系企業からの関心が高い」と蝶理〈中国〉商業の山口貴裕原料1部2科長は言う。

 SAPシートは自社生産するエアスルー不織布とSAPやパルプなどを複合加工したもので、需要家ごとにカスタマイズして供給する。