メーカー別 繊維ニュース

「ANEX2018」/「予想以上の来場者」/機械・部品、検査機器も

2018年06月11日(月曜日) 午前11時44分

 8日閉幕したアジア国際不織布産業総合展・会議「ANEX2018」は名前の通り、不織布メーカーだけでなく、さまざまな業種から多くの企業が出展した。その一つが不織布機械や同部品、検査機器だが、各社とも「予想以上の来場者で対応しきれない」と声が上がるほど盛況だった。

 短繊維不織布の原料となる合繊短繊維。その製造に欠かせない紡糸ノズル製造大手である化繊ノズル製作所(大阪市北区)は、「12年ぶりの日本開催で日本の来場者も多いが、中国・韓国・欧米企業も訪れている」(戸川和也社長)と言う。同社は、複合紡糸を中心とする合繊短繊維向けに加え、スパンボンド不織布(SB)やメルトブロー不織布(MB)用ノズルも拡大している。

 不織布用の売り上げ比率は45%に達するほどで「今後も不織布用ノズル・装置は2桁%成長を目指す」と意気込む。同展でもスペースを割いてSB、MBノズル、設備を紹介した。スパンレース不織布(SL)用ノズルを得意とする日本ノズル(神戸市)はブース中央に、フィルターを内蔵したSL用ノズルホルダーを配したブース構成で注目を浴びた。

 風合い計測器や試験機製造のカトーテック(京都市)は、「他の展示会に比べて、初日から来場者が多い」(河内敬執行役員営業部長)と驚きを隠せない。日本企業だけでなく、中国、台湾、タイ、インド、さらにトルコなど海外企業も来場した。

 展示会で初披露した紙おむつの漏れや拡散を検証できるダミー人形に関心が集まったほか、不織布の滑らかさの計測機器も注目されているという。

 筬(おさ=リード)製造大手の高山リード(金沢市)は、スイス・テクステスト製測定器やイスラエル・エルビット・ビジョン・システムズ(EVS)製検査システムを出品。2社の社長も来日し、ブースで来場者に対応する体制を敷いた。特にテクステスト製通気性試験機の小型版で価格も従来機の約半分の「FX3340 ミニエアー」には「大手以外の不織布メーカーの関心も高かった」(海外事業本部の山野宏之次長)と手応えを得た。

 もちろん、日本だけでなく、中韓、台湾、インドなど海外企業の問い合わせもあり、インド企業からは1台受注したという。

〈紡績、レーヨンメーカー/生分解性など注目される/天然由来原料の強み生かす〉

 欧米を中心にプラスチックが環境に与える悪影響への懸念が高まる中、不織布分野でも天然繊維や天然由来素材が注目されている。「ANEX2018」でも紡績やレーヨンメーカーは生分解性など天然由来原料の強みを前面に打ち出した。

 ダイワボウホールディングスは、ダイワボウポリテック、ダイワボウレーヨン、ダイワボウプログレス、カンボウプラスの4事業会社合同で大規模ブースを構えた。特にダイワボウレーヨンは、レーヨンの生分解性をアピールする展示も用意し、分かりやすく訴求した。フェースマスク向けに極細繊度レーヨン「ソフレイ」や扁平(へんぺい)断面レーヨン「スキンセル」などを打ち出す。新開発の撥水(はっすい)レーヨン「エコリペラス」も披露した。

 ダイワボウポリテックも、外層にレーヨンスパンレース不織布、中層にパルプを配置した3層構造不織布やオーガニックコットンスパンレース不織布、綿混エアスルー不織布など天然素材に焦点を当てた商品をフェースマスクや紙おむつ向けに提案した。

 オーミケンシもレーヨンの生分解性をアピール。「ホープ極」シリーズとして繊度0・45デシテックスで機能材練り込み可能な「レイトス」、Y字断面でやはり練り込みが可能な「ハイキュビス」、椿油成分など天然由来エキス配合の「ボタニフル」など環境に焦点を当てた。

 繊維関連展示会としては久しぶりの出展となった日清紡テキスタイルも、綿スパンレース不織布「オイコス」で“環境”に加えて“日本製”を前面に打ち出した。綿だけでなくシルクなど他素材との混綿技術もアピールすることでフェースマスク用途への提案を進めた。

 海外メーカーではレンチングが、不織布用再生セルロース繊維を「ヴェオセル」ブランドで打ち出し、生分解性をアピール。欧州でマイクロプラスチックへの懸念から合成樹脂・繊維の使用に対する規制が検討されていることなどの情報発信も積極的に行い、再生セルロース繊維のサステイナブルな優位性を訴求した。

〈「素材は社会を変える」/東レ・日覺社長が基調講演〉

 東レの日覺昭廣社長は7日、「ANEX2018」で「素材には社会を変える力がある」とのテーマで基調講演し、長期的視点に立って新素材を研究・開発し、地球規模の課題解決に貢献していくことの意義を力説した。

 日覺氏は、合成繊維や逆浸透膜、炭素繊維などの開発から事業化に至る歴史を振り返りながら、「組立産業とは違い、1年や2年で優れた新規素材は開発できない。10年、20年の技術の蓄積があって初めてできるという経験則がある」と述べた。長期間にわたって開発投資したにもかかわらず需要拡大のペースが遅く期待した収益が上がらない場合も、「将来性を決めるのは収益化までのスピードではなく、社会的価値。磨き込まれた技術には、市場が後から付いてくる。撤退する必要はない」と言い切った。

 こうした経営の背景には「企業は社会の公器」という理念があり、投資家の求めに応じ短期的利益を優先する米国流の金融・株主資本主義とは違う日本流の公益資本主義の優位性があると指摘した。

 ANEXでは他に、信州大学の濱田州博学長が「世界の繊維系大学の取り組みとこれからの繊維教育」、東京都の小池百合子知事が「東京都の産業振興」をテーマに基調講演した。