アリババ/香港にAI実験室設立/スタートアップ育成進める

2018年06月14日(Thu曜日) 午前11時34分

 電子商取引(EC)中国本土最大手の阿里巴巴集団(アリババグループ)などは、香港の人工知能(AI)関連企業の育成を目的に「香港AI実験室」を、香港政府系ハイテク産業団地の香港科学園(サイエンスパーク)に開設する。スタートアップ企業の事業実現を支援するとともに、年間約10社を対象に資金、技術面などでサポートする育成事業を展開する。

 「香港経済日報」などが伝えた。香港AI実験室はアリババのほか、AIを用いた画像認識技術で中国トップ企業のセンスタイム(商湯科技)グループ、サイエンスパークを運営・管理する香港科技園公司(HKSTP)が共同で設立。先端技術を活用してAIの発展を推進するとともに、スタートアップ企業が研究開発(R&D)しているプログラムの商業化を助ける。AI分野の研究者と企業による交流促進も目指す。

 香港AI実験室の運営費用はアリババ傘下の基金とセンスタイムが共同で負担する。実験室の面積などは明らかになっていない。

〈1社に10万ドル援助〉

 香港AI実験室で展開する育成事業は「スタートアップ企業・アクセラレーター・プログラム」と銘打ち、AI分野に携わるスタートアップ企業を香港でより多く育成することを目指す。

 プログラムは今年9月から始める予定で、年間約10社を対象に実施。アリババ傘下の基金が申請を通過した企業1社につき、株式6%を取得するのと引き換えに10万ドルを資金援助する。

 同時に、アリババ傘下でクラウドサービスを手掛ける阿里雲がクラウドや機械学習(マシンラーニング)の分野で、センスタイムが深層学習(ディープラーニング)の分野でそれぞれ技術協力する。科技園公司はプログラムの実施期間中、スタートアップ企業に無料でオフィススペースを提供する。

 アリババが昨年立ち上げた先端技術の研究機関「アリババ達摩院」も技術面で実験室を支援する。

 プログラムに申請できるのは、申請時点で香港に登記して3年を経過していない企業。創業者の多くが香港永久居民で、香港で業務を展開していることなどが条件となる。6月中旬から申請を受け付ける。

〈若者にチャンス〉

 今月下旬にはアリババ、センスタイム、科技園公司の3社が覚書を締結し、香港AI実験室の設立を記念する式典を開いた。アリババの蔡崇信・執行副会長は「実験室の設立が香港の若者に多くのチャンスを提供する機会になれば」と期待を示した。スタートアップ企業に対し、技術をテストする場を与えることも視野に入れている。

 アリババはスタートアップ企業を支援しながら、新しいAI技術を自社のECや物流などの業務に応用したい考えとみられる。

 センスタイムの創業者である湯暁鴎氏は「香港は知的財産権の保護を重視し、国際的に著名な研究型の大学もある。実験室設立が関連人材の集積につながる」と展望を述べ、科技園公司の羅范椒芬(ファニー・ロー)会長は「3社の協力には大きな意義がある」と強調した。

 式典には香港政府の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官も出席し、政府として科学技術のイノベーション推進に力を入れていることを紹介した上で、「市場規模は大きいが、企業支援は欠かせない。プログラムの成功を願っている」と語る。

 科学技術のイノベーションを巡っては、中国の習近平国家主席が、香港を国際的な拠点とする構想を支持する考えを表明。香港、本土間で科学技術分野の提携を強化し、イノベーションの拠点化を推し進める計画だ。中国科学技術省と財政省はこれまでに、「中央財政科技計画」と呼ばれるイノベーション関連経費の助成プロジェクトの対象を、条件に合う香港とマカオの学術機関、研究機関に広げるとする規定も発表している。

〔NNA〕